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「ネギ塩丼」と、隣街の冒険者テネト



その日朝早くから人族でランクΒの凄腕冒険者のテネトは、知り合いのドワーフ夫婦から頼まれた手紙を持ち。

町から山一つ半越えた場所に住むとされる。凱希丸(ときまる)と言うドワーフの元へと、手紙を届けに山道を歩いていた。



◇◇◇◇◇



「ハァ~~~、それにしてもちょっと来ないうちに、まるでここいら一帯、別の森に来てるようにガラリと雰囲気を変えたなぁ~!

あの見るからに暗く、ジメジメしていて怪しげだった森が、今ではアチラこちらからキラキラ光輝く太陽の光が美しく樹木の間から射し込んでいるし。

ミィシャー辺りに言わせると、まるでおとぎ話に出てくるような、神秘的な風景になるんじゃねぇか?」


今回の依頼は守る(護衛)対象もなく。基本、自分一人と依頼主の手紙さえ守れば良い為。

普段のピーンっと針積(はりつ)めた様子(依頼)と違い。あまり神経をすり減らさなくても良い事も相まって、久しぶりの依頼で訪れた山の様子を興味深くキョロキョロと観察しつつ。

何やら大きな独り言を呟きながら歩みを進めていた。


「それにさっきからその辺をウロチョロしている小動物の気配と共に、遠くの方で大型動物の気配何かを感じるものの。

背中にピリピリ走るような、ヤベェー魔獣なんかの気配が全くしないし。

本当に何か最悪なタイミングが重ならない限り。安心安全な森へと美しく生まれ変わったんだなぁ~!

まぁ、ここいらを根倉(ねぐら)にしていた山賊どもが綺麗サッパリいなくなったのも。森の風通しがよくなった理由の一つではあると思うんだが。

しかし本当、昔と違って樹木が綺麗に間隔を空けられて育っているし。………………俺達が知らないだけで、誰か山の管理をしている人が住み着いた(居る)んじゃぁないだろうか……………………………?」


昔テネトが依頼で訪れた小さな村で目にした事のある。何やら、その村の木こり(一族)へと代々伝わる。

高値になる立派な材木を育て上げる為。

山に生えた(植えた)樹木一本一本に太陽の光や土の栄養が行き渡るようにと木こり達の手で管理されていて。

そんな木こり達が管理していた山と、テネトが久しぶりに訪れたこの山の雰囲気が何処と無く似ており。

テネトは不思議そうに首を傾げながらも、基本山にとっては悪い事ではないので、それはそれと納得しつつ。

ドワーフ族夫婦の依頼主の為。1日も早く凱希丸なるドワーフ族の元へと手紙を届けるために歩みを早める。



◇◇◇◇◇



ちなみに今、現在テネトが歩みを進めているこの山と言うか、山々が連なるこの山。


愛満が山々が連なる山の1つの山道へと、万次郎茶屋を建て住む前までは、テネトが言うとおり。

本当、最低最悪な山賊グループが山を根城にして住み着いているやら、狂暴な魔獣達がアチラこちらを好き勝手に闊歩(かっぽ)しているやらで、とても危険でいて、それはそれは空気の悪い。

ここだけの話。体に害を及ぼす、凶悪な悪い邪気が森の至る所で独りでに生み出されていた程で、……………………。

ギルド規定1(低)から5(高)までの間の、2番目に危険なランク4の森に指定されていたのであった。



◇◇◇◇◇



そうして昨日は一つ目の山の中腹(ちゅうふく)で野宿し。2日目の朝の時間帯には、無事一つ目の山を下り。

二つ目の山の山道を順調に歩んでいたテネトは、いきなり目の前に現れた。

華ばなしく栄える王都の貴族街ぐらいでしか、滅多にお目にかかれないような。


王国の端に在る、…………こういう言い方はあまり好きではないのだが、王都には確実に劣り。今一つ活気のない、小さな田舎町で暮らすテネトが普段滅多にお目にかかれないであろう。

美しく、また綺麗に整備された。実に歩きやすそうな石畳の道と共に。

こちらもバランス良く間隔を空けて設置された、美しい見た目の街灯が整備されており。

石畳や街灯と共に『ようこそ!朝倉村へ』と書かれた。美しい装飾がなされた看板が目の前に突然現れ。


そんな石畳や街灯、看板を見たテネトは、腰を抜かさんばかりに驚………………………………………かず!


「へぇー!石畳にしても街灯にしても、本当に細かやかに美しく作っているもんだね!

うんうん!それにしてもこんな辺鄙な場所まで連れて来られて、こんな一目見て手間隙がかかったと予想できる石畳や街灯、看板を作った職人さん達、本当に大変だっただろうに……………。

ちゃんと仕事に見合った金、貰えたのかなぁ??

それにただでさぇ、戦争の影響が今だ色濃く残り。アチラこちらで物資なり、食糧難が言われている中。

ここの領主は、かなりぶっ飛んだ事をやったもんだ!

あっ!けど待てよ。そもそもこの辺りに物資なり、食糧を運ぶにはうちの町を通るわけだし。

そもそもうちの町に、そんな大勢の人や物資、食糧なんかが運ばれていくの見たっけ??

う~~~ん、………それともうちの町を通らずに、別の場所を通って運び入れたか?………………解らん!いくら考えても解らん!

まぁけど、俺としてはとても歩きやなって助かるから、これもこれで良いか!」


何やら他人事のように呟きつつ。

最後の方は別の事を考え始めて、不思議そうに考えながら、その場を通り過ぎるのであった。



ちなみにテネトは徒歩2日で朝倉村へとたどり着いたのだが、普通の人ならば、徒歩で5~6日はかかる距離になり。

または馬車等の乗り物を使用した場合、それでも2~3日はかかる。

大変険しい山道になるのだが、凄腕冒険者と言われているだけテネトはスゴく。

在る意味、強靭的な運動神経を持ち、鋼の肉体を持った人物になり。


他にも冒険者の腕も一流ながら人間性も素晴らしく。

身持ちも固く。女性メンバーとパーティーを組んだとしても女性関係で問題を起こした事は一度もなく。

他の冒険者仲間や町の人達からの信頼も厚く。


全てにおいてパーフェクトに見えるテネトなのだが、ただ一つだけ。本人も気付かない欠点があって、……………そう!何を隠そうテネト。かなりの天然な、天然過ぎる残念な子になるのだ!


だから普通の人が見たら腰を抜かさんばかりに驚く所。

先程のように見事に違う所を心配して考え混み。スタスタと歩み続けて、凱希丸が住む朝倉村に到着するのであった。



◇◇◇



その後、朝倉村に無事到着したテネトは、運よく万次郎茶屋へと朝ご飯を食べに行く為、村の本通りなる道(元山道)を歩いていた第一村人でもあり。

手紙の届け先でもある凱希丸本人へと、凱希丸の自宅の場所を聞く為。

本人とは知らず知らずのうちに声をかけ、トントン拍子に依頼を完了。

依頼を無事終えれた事にテネトがホッと胸を撫で下ろしつつ。

自宅が在る山の下の町へ帰ろうと引き換えそうとしていた所。そんなテネトに凱希丸が声をかけ。


「テネトさん。さっきも言ったっぺが、こんな遠い所にわざわざ手紙を届けてくれ、本当に助かったっぺ。

ありがとうだっぺや、本当に嬉しかったっぺよ!」


テネトへとお礼の言葉を伝えつつ。

普通の人ならば、始めて来た物珍しい村を見て回る等する中。特に村へと興味を示さず。来た道を帰ろうとするテネトの姿に


「それにしてもテネトさんや、まさかお前さん、今から山を下るつもりじゃないだっぺよなぁ?

まだまだ日があり明るいとは言え、あっという間に暗くなるだっぺし。

ここまでに手紙を届けに来てくれる間、何回かは野宿をしたと思うだっぺよ。

だからせめてものお礼じゃないだっぺが、今日はワシの家に泊まり。明日、山を下る事にしないだっぺか?

そうそう、それにだっぺ!この村名物の旨い飯と、最高な風呂に招待するだっぺよ!

どうだっぺ?是非ここは俺の顔を立てると思い、何とか申し出を受け入れてくれないだっぺか?」


と申し入れ。


そんな凱希丸からの申し入れに、別に急いで町に帰る用事もないテネトは、凱希丸の申し入れに甘える事にし。

凱希丸と一緒に朝ご飯を食べに万次郎茶屋へと移動する。



◇◇◇◇◇



その日も朝早くから万次郎茶屋でまったりと『緑茶』を味わっていた愛満と愛之助の2人は、ここ最近の密かな悩み。

新規のお客さんが茶屋へと訪れていない事をどうしたらいいものかと話し込んでいた。


「愛之助、やっぱり新規のお客さん増えないね。

ハァ~~~、………………来てくれるのは村の人達ばっかりで、ありがたいのはありがたいんだけど、…………………。

それじゃあ、村にお客さんが増えた訳じゃないし。『風呂屋・松乃』で働いてくれているアルフさん達にも、働きに見合ったお給料が払えないし……………。

ハァ~~、誰か冒険者のお客さんでも茶屋や松乃に来てくれないかなぁ~。

そしたらクチコミで、この村の事が広まり。お客さん達が増えてくれるかも知れないし。

この村が賑やかになって、皆幸せに暮らせたら良いんだけどなぁ…………………。」


万次郎茶屋への新規のお客さんが増えたら良いと言うより。村に人が訪れ。村に暮らす兎族のアルフ達を始め。

村の皆が笑って幸せに暮らせる事を願う愛満は、どうしたら村に人が来てくれるのかを考えて悩む。


「愛満、焦らなくても大丈夫でござるよ。少しずつ、少しずつでござるよ。

それに愛満が皆の為に頑張っている事は、拙者も村の皆も知っているでござるし。

この前見たDVDに出ていた。目がグリグリしたおじさんが言っていたでござるが、『小さい事からコツコツと!』でござるよ!

うんうん!『小さい事からコツコツと』いい言葉でござるねぇ~!

拙者も微力ながらでござるが、愛満の為、また村の皆の為にと『小さい事からコツコツと』頑張るでござるよ!」


愛之助に励まされながら、今日もお客さんが来るのを待っていた所。

茶屋の扉に付けられたベルが鳴り、茶屋の扉が開き。朝ご飯を食べに来た凱希丸の顔が見える。


「あっ、凱希丸さん、お早うございます。それにいらっしゃいませ。」


「えっ、凱希丸殿でござるか?

いらしゃいませでござる!」


「凱希丸さん、おはようございます。朝ご飯ですよね…………って、えっ!お客さん連れて来てくれたんですか?

ありがとうございます!

もう、本~~~当に!村の人ばっかりで新規のお客さんが全然増えなく(来なく)て悩んでたんですよ。助かります。

あ、どうぞ、どうぞ!お好きな席に座って下さい。」


少々………いや、かなりテンパり気味の愛満は、念願の新規のお客さんを前に満面の笑みを浮かべ。

2人をテーブル席へと案内して、『お茶』や『レモン水』、『おしぼり』等を取りに行く為。一度その場を愛之助へとバトンタッチしつつ。


茶屋内奥へと移動して少し落ち着きを取り戻した様子の愛満は、持って来た『レモン水』や『おしぼり』等を2人の前に置き。

日本人の心。おもてなしに努めながら凱希丸の隣の席に座る人物を、短い時間ながら、かなり打ち解けた様子の愛之助達から紹介してもらい。

ガン見はいくらなんでも失礼なので、急須から湯飲みへと『緑茶』を注ぎ入れながら、そこは上手くチラ見し。


短かい時間の間に愛満のテンションが上がったり、戻ったりで、自身でも、なかなか良く分からないフアフアしたテンションの中。

一度その場を離れ。凱希丸達の様子が見えるカウンター奥へと移動し。密かにその場から冒険者のテネトなる人物を観察し始める。


まず一目見て簡単に解った事は、テネトの見た目は20代前半に見え。

人族の男性で、アッシュブラウンの爽やかな髪の色と共に、淡い紫色の美しい瞳の色の人物になり。

他にも(ほど)よく筋肉のついたソフトマッチョの肉体に、180~190cm位の高身長。

冒険者を生業にしていると言うだけあって、動きやすそうな服装でいて、胴体や脛等の体の大事な部分がサポーターのような物で守られており。

腰には冒険者に相応しく、鞘に入った剣が携われていた。


そう言った結果を踏まえ。愛満は、これはかなりの女性にモテるであろう。

顔面偏差値の高い、高身長の男らしい顔立ちの人物になるなと観察を終え。

少しだけ、……………そう、少しだけ。羨ましさでグッと奥歯を噛み締めたのであった。



◇◇◇



そんなこんなの状況で、チラっとテネトをチラ見しただけの愛満が、短い時間ながらテキパキと一人脳内でテネトの観察をしている間。


心優しい凱希丸や愛之助の2人が万次郎茶屋のシステムやメニュー等をテネトに教えて上げ。

軽食の『まぐれ(主人の気まぐれ)』を2人前と共に、食後に和菓子セット2人前を愛之助へと注文し。

凱希丸からの注文を愛之助経緯で受けた愛満は、真面目に働け自分!と自分自身にカツを入れつつ。

カウンター奥のミニコンロで、凱希丸達からの注文の品である『軽食・まぐれ』を2人前作り始め。


少し厚めの豚バラ肉をフライパンでこんがり焼きながら、そこに水、みじん切りにした白ネギ、鶏ガラスープの粉末、日本酒、レモン汁を混ぜ合わせた。

愛満特製『ネギ塩ダレ』を絡め、焼き上げた『ネギ塩豚』を、丼に大盛りに注いだ麦飯の上に並べ。

仕上げにブラックペッパーをパラパラと振りかけて、中心に白髪ネギをこんもりと置き。

お好みで糸唐辛子を盛り付けたりして、『ネギ塩豚丼』を完成させる。



◇◇◇◇◇



一方、何やらいつもと違う愛満の様子を見た凱希丸が、愛之助に何事かと質問してきて


「ちょいちょい愛之助や!愛満、どうかしただっぺか?

今日、どこか具合でも悪いだっぺか?」


「う~~~ん、………そうでござるねぇ~…………………。

具合が悪いと言えば悪いでござるし、悪くないと言えば悪くないでござるし…………。

う~~ん、あの状態は具合が悪いと言うのでござるだろうか?………何と言えば良いのでござるか……………う~~~~~ん、悩むでござるねぇ~??」


「だっぺ???結局どっちだっぺ???」


愛之助が凱希丸へと良く解らない答えを返しつつ。

2人が頭を悩ませていると、今日もまた万次郎茶屋へと遊びにやって来たタリサとマヤラの2人が、凱希丸やテネト達へと朝の挨拶をすませた後。遊び仲間の愛之助を連れて行ってしまい。


その後も暫くの間、凱希丸は1人。愛満の体調が良いのか悪いのか、頭を悩ませ続けた。


そうしてそれから少しして、香ばしく美味しそうな匂いを漂わせたお盆を持った愛満がやって来て


「お待たせしました。

今日の『まぐれ』の献立は『ネギ塩豚丼』と、汁物が『卵とわかめのかき玉汁』

小皿が『蓮根(れんこん)と海老のチヂミ風』、漬物が『胡瓜のピリ辛醤油漬け』になります。

それから今日のオマケは、ネギ塩豚丼の大盛りと『(にら)人参(にんじん)糸蒟蒻(いとこんにゃく)のナムル風』です。

ではでは、ごゆっくりお召し上がり下さい。」


2人前に料理がのったお盆を置くと、またカウンター席の方へと戻って行く。


「う~~~ん、今日も美味しそうだっぺねぇ~♪

さぁさぁ、テネトさんも温かいうちに食べようっぺ!

いただきますだっぺ!」


「い、いただきます?」


愛満や愛之助達から食事を始めるさいの挨拶『いただきます』の意味を教わっている。

朝倉村の村人・凱希丸の食事の挨拶を見たテネトが、自身も凱希丸の挨拶を真似しつつ。

見た事もない美味しそうな料理を前にして幸せそうに笑みを浮かべ、豪快に食べ始めたのであった。



◇◇◇◇◇



「ハァ~~~~、町の側と言うか、俺達が住んでいる山の上に、あんな良い村が出来てたなんて、本当知らなかったし、気付かなかったぜ。

それに始めて体験した万次郎茶屋の料理も和菓子もスゴく旨くて!

店の人達も皆感じが良かったし、風呂屋も全て最高だったなぁ~♪

そうそう!一番驚いたのは、どの店も値段価格が庶民的で、俺みたいな冒険者の懐にも優しく。

茶屋や風呂屋の事を凱希丸さんに聞いたら、今は先の戦争で、どこもかしこも物価が上がってしまっている中。

他の町で普段払う金額の半分ぐらいの格安の値段で済むから、本当信じられないくらいに驚きだよなぁ。」


行きと比べられないくらいに軽い足取りのテネトが、1人長々と一人言を話しつつ。

何やら思い出した様子でニヤニヤして


「それに長期の宿泊にしても『風呂屋・松乃』の番頭さんのアルフさんに聞いてみたら長期間になる連泊や、前もって決まっている宿泊に関しては、早目に予約したら早割で2割から3割は安くなるそうだし。

あまりのお得さに、思わず再来週に3週間の予約を入れてしまったくらいだぜ!」


何やら再来週の3週間、『風呂屋・松乃』に連泊の予約を入れた事を話。


「後、何やら昨日風呂屋の風呂に入ってから、たまに(うず)いていた古傷の痛みも全くしなくなったし。

体も軽くなったような気がして、昨日からずっと体調も気分も良いんだよなぁ~。」


昨日『風呂屋・松乃』の風呂に入って以来。昔ギルドの依頼のおりに負った古傷の痛みが無くなった事を不思議そうに呟き。

更にはいつもより体の調子が良く。

何やら戦争を始めて以降テネトが感じていた。肩や頭からズッシリと重りのような物がのし掛かけられているような。

慢性的な()り?重りが取れたかのような清々しい気持ちにもなり。

訳が分からないものの『風呂屋・松乃』や万次郎茶屋。ひいては朝倉村を気に入ったテネトは


「よし!町に帰れば爺ちゃんや婆ちゃん達から譲り受けた自分の家が在る事だし。

少し仕事を増やして頑張ばるか、節約を心掛けて外食を減らしたりして生活すれば、多分2~3ヶ月に一回は『風呂屋・松乃』に長期で泊まりに行ける計算になるし。

ここは1つ、頑張りますか!

……………あっ、そうだ。確かエケセの奴が、古傷が疼いて辛いと言ってたから、町に帰ったら『風呂屋・松乃』や万次郎茶屋の事教えてやろう。

う~~ん、それか今度一緒行ってみるのも良いよな!

うんうん!やっぱ今度一緒に朝倉村へ行こうって誘ってみるか!」


あの後、食後用に注文した『和菓子セット』まで全て綺麗に食べきった凱希丸とテネトの2人は、その後凱希丸の案内の元『風呂屋・松乃』へと移動して、様々な種類の風呂やサウナ、マッサージ機等を長い時間のんびりと満喫。


そして夜ご飯には凱希丸の奢りで、風呂屋内(ふろやない)に在る。

この世界独自のと言うか、兎族の故郷の料理になるらしい。美味しい料理や焼き菓子等を提供している食事処で食べ。

凱希丸の家で初めて体験する。フカフカで温かい布団を満喫したテネトは、大満足のなか凱希丸宅に一泊し。


昨日と同じ、万次郎茶屋でお腹いっぱい朝ご飯を凱希丸と一緒に食べテネトは、朝倉村を十分に堪能し。

仲良くなったドワーフ族の凱希丸を始め。万次郎茶屋の愛満や愛之助達。兎族のタリサやマヤラ、アルフ達から見送られつつ。

また愛満達からの山のように貰った沢山の土産と共に、山を下って町へと帰って行ったのであった。



◇◇◇◇◇



こうして愛満待望の村への冒険者第一号のテネトの登場により。一歩、一歩、確実に朝倉村の噂が冒険者達の間で密かに話題になって行き。

愛満を守る完全無敵の壁を通れる者だけが、夢と希望がつまった朝倉村へと足を踏み入れられた。



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