『鯛焼き』と竜人族の色落ち子
愛満の朝は早く。まだ空があけていない薄暗い時間から、お店に出す和菓子や軽食になる料理を魔法を上手く使いながら一人で仕上げていく。
そおして朝の仕込みが終わると、家の掃除や家事を手伝ってくれている愛之助と2人。愛満お手製のボリュームある朝食を食べ。
毎朝の日課である。お隣さんの神社に朝作りたての和菓子や季節限定物など含めた2~3種類を神饌(お供え物)用に持参して参拝(お参り)に行くのだ。
ちなみに、本殿 奥の幣殿(神様にお供え物をするための建物)に神饌した和菓子は、その日の夕方までには、いつの間にか無くなっており。
神饌用の籠が、いつも独りでに万次郎茶屋の台所に戻ってくる仕組みになっていて
誰が食べて籠を戻してくれているかは今だに謎なのだが、愛満は真心込めて作った和菓子が粗末にならないと大変喜んでいる。
そしてその日も朝の仕込みと朝食を食べ終え。
日課の神社に向かっていると、本殿近くの社務所 奥から赤ん坊の泣き声が聞こえてきて
最初空耳かなと思いながらも、恐る恐ると泣き声の方へ近づいて行くと、そこには不自然な霧ができており。
霧の中、ぼんやりと大人4~5人から子供2~3人くらいの人影が見え隠れしていて、1人の大人が赤ん坊をあやしているようだった。
そんな少々不自然な霧に、無闇に近づくのを愛満達が躊躇していると
あちら側も愛満達に気づいたようで、無駄な争い事を起こしたくない平和主義の愛満と愛之助の2人は、直ぐさま自分達から挨拶をする。
「おはようございます。
私、この朝倉村の住人で、あちらに見える建物で『お茶屋』を営んでいる朝倉 愛満と言います。隣にいるのが弟で愛之助です。
今日は日課の神社参拝のおり。聞き慣れない赤ん坊の泣き声がコチラから聞こえてきたので心配になり。こちらに来たのですが、大丈夫ですか?」
愛満がいささか緊張気味に自身と愛之助の自己紹介と問いかけをすると
霧の中から二十代前半の白髪と翡翠色の瞳に、頭に鹿の角ような2本の角が生え。愛満より20~30cm位高い170cm位の身長に細身の中性的で、双子のようにそっくりな2人の男性が出てくる。
「おはようございます。ご丁寧な自己紹介ありがとございます。
私は香夢楼と言い。
隣におりますのが弟の一人、朱志香になります。
只今、弟達を連れて旅をしている最中、こちらの村に立ち寄らせて頂いた次第であります。
皆、大丈夫だよ。出ておいで」
と愛満達に自己紹介を終えた。愛満の目の前に立つ香夢楼と言う青年が霧の中に向けて声をかけた所。
香夢楼達の後ろにある霧が晴れ。
香夢楼や朱志香にそっくりな眼鏡をかけた利発そうな少年と、赤ん坊を抱いた陽気そうな少年。
更にはそんな少年に寄り添う。どこか控えめな雰囲気の長髪で、少し幼さが残る十代後半の少年に加え。
少年達から視線を下に下げると。そこには香夢楼達のミニチュア番のようにそっくりな見た目の
10才位の好奇心旺盛な男の子と、5才位の不安げな顔をした男の子達2人の計6人が表れ。
「眼鏡をかけておりますのが、私達の三番目の弟の真香になり。
赤ん坊を抱いておりますのが、四番目の弟の璃知香
で、その横におりますのが五番目の弟の緑香。
緑香の後ろにおりますのが、六番目の弟の衣詩香と七番目の弟の仁香になります。
そして璃知香に抱かれているのが一番下で、八番目の弟の実香尊になります。
実は先ほど泣いていたのが実香尊になりまして、何やらこの場所が気に入ったらしく。
次の旅の行き先を皆で話していたところ突然泣き出してしまい。いつもはすぐ泣き止む所。今回なかなか泣き止まず困っていたしだいでして………。」
香夢楼が弟達の自己紹介をしてくれ。更には愛満の問いかけにも答えてくれる。
そうして香夢楼達が話し込んでいた所。
本日、神社に神餞する為に愛満が持参して来た和菓子に気づいた衣詩香と仁香の2人がソワソワし出し。
それに気づいた愛満と愛之助の2人は、香夢楼達8人を万次郎茶屋へと招待するのであった。
◇◇◇◇◇
その後、茶屋に移動して来た8人は、万次郎茶屋の内観や設備等の初めて見る全ての物に驚愕し。
しばしば固まっていたのだが、愛満から出された。おもてなしの『お茶』や最近愛之助がハマっているらしい。
愛之助オススメの鯛焼きシリーズの中から、衣詩香と仁香の2人が選んだ8種類の『鯛焼き』を食べ。
久しぶりにのんびりとした時間を楽しむ。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん!愛満と愛之助がくれた。この『鯛焼き』って言う食べ物ね。
皮が薄くてパリッとしていて、中の餡子が頭からしっぽまでギッシリと入っててね。甘くて、すんーごく美味しいんだよ!
僕、あまりの美味しさに仁香と半分こして、8種類全部の鯛焼き食べたんだ。スゴいでしょう!
あっ!それでね。鯛焼きの中で僕が一番美味しかったのが、愛之助が教えてくれてんだけど餡子って言う『黒餡』なんだ。
お兄ちゃん、黒餡の鯛焼き食べた?」
六男の衣詩香が自分が食べて一番気に入った。始めて口にする『鯛焼き』の中の具や感想を大好きな兄の香夢楼に話しかけていると、それを聞いていた七男の仁香も
「お兄ちゃん、お兄ちゃん!
僕はね僕はね!この甘さが口の中に広がような優しい味のカスタードクリームが入った鯛焼きが一番美味しかったよ!
お兄ちゃん達は、どの鯛焼きが一番美味しかった?」
自分が一番美味しかった鯛焼きの味の感想を嬉しそうに言いながら、残り5人の兄達にどの味の鯛焼きが美味しかったか感想を聞いてくる。
そんな幼い弟、仁香の質問に心優しい弟思いの兄達は
「そうですね。自分は『白餡』なる衣詩香が美味しかったと話す。黒餡に良く似た餡子なる食べ物の白餡が口に合い。とても美味しかったですよ。」
「私は『チョコバナナアーモンド味』と言う鯛焼きを食べましたが、初めて食べる濃厚でいて甘い味わいのチョコと言うお菓子にとても驚きましたし。
それと共にとろけるような舌触りのバナナと言うと果物、歯ごたえあるアーモンドと言うナッツの食感が加わり。
絶好な味わいでとても気に入り。美味しかったです。」
「ぼ、僕は、『煮林檎味』の鯛焼きが美味しかったよ。
じっくり煮込んである煮林檎とシャキシャキした食感が残った二種類の林檎の食感が楽しめてね。
甘酸っぱい味がクセになるくらい美味しかった。」
朱志香と真香、緑香の3人が甘味系の鯛焼きの感想を言うと
「俺は『チーズ明太マヨ味』なるの鯛焼きが旨かったぜ!
とろーりとろけたチーズと言う食べ物と、少しピリ辛の明太マヨと言うソースみたいなのが鯛焼きの中でとろけていて
初めて食べる味わいたけど、後味ひく旨さで気に入ったぜ!」
「私は『ベーコンエッグ味』の鯛焼きが美味しかったですよ。
衣詩香の言う通り、パリッとした鯛焼きの薄皮に
中にふあトロっとした、初めて食べる食感の半熟の目玉焼きがぎっしりと入っていて
そこにベーコンと言う初めて食べるお肉みたいな物と、マヨネーズと言う濃厚な味わいのソースみたいなのものが入っていて、それが食べると口の中で合わさり。
それぞれが良いアクセントになっていて、とても美味しかったです。」
皆それぞれ愛之助から教えてもらった。初めて聞き、食べる鯛焼きの中身の名前を交えながら璃知香と香夢楼が惣菜系鯛焼きの感想を答え。
兄弟みんなで仲良く自分がオススメの鯛焼きの具材について話し合っていると、そんな7人の話を聞いていた愛之助が1人。
「そうでござろう、そうでござろう!
なんたって今日の鯛焼きは、複数匹焼き上げる養殖物ではなく。愛満と拙者が天然物の焼き型で、一匹ずつ丁寧に、丹精こめて焼き上げた『一丁焼き』した一品でござるからな!美味しさが違うでござるよ!」
一人感無量な様子で話を聞いていた。
◇◇◇◇◇
そうして皆で、愛之助が新たに持って来てくれた。お皿に山盛りに盛られた。お代わりの『鯛焼き』を幸せそうに食べていると
そこに元気良く。兎族のタリサとマヤラの2人が、いつものように万次郎茶屋に遊びにやって来て、奥の台所で何やら作業している愛満に朝の挨拶を終え。
愛之助の紹介で、年の近い衣詩香や仁香達とすっかり打ち解け。
一緒に折り紙や双六等、様々な遊び道具で遊び始め。
しばらくワイワイガヤガヤと楽しそうに遊んでいた所。
少々遊び疲れた様子のタリサとマヤラの2人が、香夢楼達が座る近くの席にやって来て座り。
愛満が出してくれたオレンジジュースを満足そうに飲み干し。香夢楼に無邪気に話し掛けてくる。
「お兄ちゃん達、旅の人なんだって?愛之助が言ってた。
けど、旅って大変だったでしょう?
僕も戦争のせいで住んでた町が危ないからって、いろんな安全そうな場所を移動しながら旅して来たから、旅の大変さは少しだけは知ってるんだ。」
「にいたんたち、たいへんらったにぇ。
マヤラもいっぱいあるいちぇ、あちいたい、いたいなって、ちょびっとえんえんちたんじゃよ。」
タリサとマヤラの2人が自分達家族の旅で苦労した話と共に。
愛満と愛之助達2人との出会った話、朝倉村が出来た経緯等をいろいろ話してくれ。
途中子供が話してくれる話なので、何度か意味が解らない箇所等が多々あったりしたのだが
タリサ達の話を聞いていた香夢楼達5人は、タリサとマヤラが話疲れて遊びの輪に戻った後も、何やら真剣な顔でしばらく話し込んでいた所。
そこへお茶のお代わりを持った愛満がタイミング良くやって来て。
5人にお茶のお代わり等を聞いてきたので、香夢楼達は何やら決意した表情で顔を見合わせ。大きく頷くと、香夢楼が緊張した面持ちで
「あ、あの!実は折り入って相談したい事があり。是非とも相談にのってもらえないでしょうか?」
と愛満に相談を持ちかけ。自分達が旅をしている本当の理由を話始めた。
◇◇◇◇◇
実は、自分達は血が繋がった兄弟ではなく。
竜人族にまれに産まれてくる『色落ち』という者達で、濃い色の髪の者ほど力が強いとされ。
力がある者がもてはやされる竜人族のなか
自分達のような真っ白な髪色の者は、皆一応に力や体格等が他の竜人族の者達より劣ってしまい。
皆似たような顔立ちの色白い肌に、男とも女ともハッキリしない中性的な顔立ちの者が多く。
一目見て解る男らしさや女らしさが美しいと考えられている竜人族の者達からは、気持ち悪いや出来損ない等と意味嫌われ、迫害や差別をうけており。
ほとんどの場合、白髪の赤子が産まれると親や親族の者が縁起が悪いと産まれたその日に無かった者として、どこか山奥に捨てられたり。
捨てられないにしても育児放棄は当たり前で、食事を満足に貰えず。いわれない言葉や力の暴力等の奴隷のように扱かわれる毎日になるのだと言う。
その為、『色落ち』の者達は悲しい人生をおくる者がほとんどで、700才は軽く生きれる長命な竜人族のなか10才までしか生きられないと言い。
そんな『色落ち』の子供達の現状に、昔から疑問や憤りを感じていた。竜人族の中では珍しい考えの自分達の養父母は、周りから馬鹿にされようが、陰口を叩かれようが
たくさんの捨てられた色落ちの子供や、育児放棄されている色落ちの子供を見つけては、子供達を引き取り。大切に愛情たっぷりに育て。
竜人族以外の国で、安心安全に生活できるように送り出すという。素晴らしい事をしていたのだが、年々年老いてくる老いには勝てず。931才のある日養父が亡くなり。
養母も残される子供達を心配しながらも、後を追うように養父が亡くなった次の年には高齢の為、亡くなってしまったのだ。
その為、残された8人は養父母亡き後、生活のすべがなく。
竜人族の国で細々と暮らしていたが、酷い迫害や差別をうけ。生活がままならなくなり。
このままではいけないと考えた香夢楼達年少者組が話し合い。幼い弟達を連れ。
色落ちの自分達でも安心安全に生活できる安住の場所を求め。気が付いたらココまで旅をして来たそうで
先程、タリサ達から朝倉村の話を聞き。
もし良かったら自分達兄弟8人も村外れでも何処でも良いので、朝倉村に住ませてもらえないだろうかとの相談だった。
そんな香夢楼達の話を聞き。
愛満は、やはり朝倉一族の自分が呼ばれるくらいまでパワーバランスが崩れてしまったこの異世界では、大吉村の克己のような理不尽な話や、香夢楼達の色落ち子達のような悲しい話が溢れ。
こんなにも理不尽な事がまかり通っているのかと腹ただしさや憤り、悲しみを感じ。
零れてしまいそうな涙を必死に我慢しながら、香夢楼達、兄弟8人の為に自分が出来る事を必死に考え始めるのであった。
◇◇◇◇◇
そうして愛之助を呼び寄せ。2人必死に考え込んでいると、愛満が何か閃いたらしく。
香夢楼達、兄弟8人さえ良ければ、朝みんなと出会った神社の社務所に住まないかと愛満が考えた話を話し始め。
「これから先、たぶん色落ちの子供は人数は減るにしても必ず竜人族の中に産まれる事だろうと思うんだ。
だからね。少しでも、その子達が迫害や差別を受けず。安全に笑って生活できる場所が僕は絶対に必要だと思うんだ。
けど、その為には安全で広々した場所共に。その子達を守り育成する人達が絶対に必要になるし。
将来その子達に何かあったら気兼ねなく帰ってこれる。心の拠り所のようになる場所が絶対に必要になるとも思うんだ。
だからね。香夢楼達8人さえ良ければ、朝みんなと出会った神社と言うか、神社内の社務所に住んでもらってね。
色落ちの子供達を育てていく孤児院の用な。
神社境内のあちらコチラに咲いてる白梅にちなんで、『白梅園』なる孤児院みたいなのをやってもらえたら、………嬉しいなぁと考えたんだ。
あっ、もちろん!僕も愛之助も出来る事はいろいろ手助けするし。香夢楼達の力になるから、どうだろう?駄目かなぁ?」
「拙者も、拙者もでござるね!愛満の話を聞き。その考えに賛成でござるし。
拙者の出来る事であれば、香夢楼達のお手伝いをするでござるよ!
それで……………香夢楼達はどう考え、思ったでござるか?」
愛満の考えに賛成な愛之助も賛成の声を上げ。先程から何も声を発しない香夢楼達に意見を聞くと
愛満達の話を聞き終えた香夢楼達5人は、大粒の涙を流しており。そんな涙を必死で拭きながら
「きょ、今日初めて出会った自分達や竜人族の問題なのに…………そこまで真剣に自分達色落ちの者や子供の事を長い目で考えてくれ。助けてくれるなんて、本当にありがとう。………………ありがとうございます。
もちろん!自分達のような者でも他の色落ちの者達の助けになるなら、それは力になりたいし。頑張らせてもらいたいです!」
所々嗚咽を漏らしながら、絞り出すような声で香夢楼が答えてくれ。
トントン拍子で話が纏まり。
香夢楼達の涙も止まり。ある程度落ち着いた所で、さっそく香夢楼達が住む事になる。
社務所を見に香夢楼兄弟8人や愛之助達の12人は移動した。
◇◇◇◇◇
足早に神社に着いた愛満達は、まずは香夢楼達がこれから住む事になる社務所の中を調べ。
まずは香夢楼達の今までの気疲れや旅の疲れを癒してもらいつつ。
愛満は、これから『白梅園』に来る子供達がある程度大人になってからや。香夢楼達が村での生活に慣れた折りには、神社や境内の掃除を含め。
社務所内に在る。お授け所でのお守り、お札の販売・接客等の仕事をしてもらい。
お給金を稼ぎ。この村で不十分なく、のびのびと普通に生活できるよう。まずは自分が率先して神社の基盤作りを頑張らなくちゃと独り言を話していると
そんな愛満の独り言を聞いた香夢楼が『それぐらいなら明日からでも出来。自分達に任せて!』と言われ。
だいぶ先になると思っていた。神社のお授け所の営業が明日から始まる事が決定するのであった。
そうして改めて平屋建ての社務所奥の住居部分になる。
部屋数多く。広々した部屋を調べながら、これから香夢楼達の生活に必要になる生活用品や、足らない雑貨等を香夢楼達と相談しながらメモ張に書き出していっていた所。
遠慮気味に近付いて来た真香から、昔竜人族の養父母と暮らしていた際、養母から習い。
内職で作っていた物をお授け所の隅にでもいいので置かせてもらい。売っても良いだろうかと相談され。
もちろん大丈夫だよと返事を返しながら、真香が持っている実物を見せてもらった所。
少々粗末な布切れながらも、動物や草花を型どって綺麗に手縫いや刺繍がして有り。
中には独自に配合されたハーブや香木が詰め込まれ。良い香りと共に可愛らしい『香り袋』や、練り固めた『お香』の数々を見せてもらい。
それを見た愛満は、お授け所の隅じゃなく。ちゃんとしたお店を建てて売った方が絶対に良いよと力説し出し。
そこは自身が持つ。持ち前の力をフルに使い。
社務所横に建物内部から簡単に行き来できるように改造した。
境内の美化を損なわない和のモダンでいて、広々した売り場と共に作業場、休憩所、御手洗い付きの店をものの5分もせず建て上げ。
その際これから先、愛満が様々な柄や色合いの布を準備するので、布の色や柄が違う動物や草花の『香り袋』と共に。男性用にシンプルで格好いい香り袋も作り。
独自配合した『お香』を今のシンプルな丸の形だけじゃなく。可愛らしい草花や動物に型どり。
詰め合わせにして簡単にラッピングして売り出せば自分用は勿論の事。プレゼントやお土産に最適で、絶対人気が出るよと真香にアドバイスしたりして
【ちなみに!そんな話をしている横では、愛之助がマ○メロさんの『香り袋』の依頼をしていて
自身が只今着ている服のマ○メロちゃんの刺繍を見せながら
更にはマイ○ロちゃんが描かれた。自身愛用のハンカチを手渡しながら、マイメロちゃん使用の『香り袋』の作成を緑香へと必死に頼み込んでいた。】
これから訪れるであろう。竜人族の色落ちの子供達が住み生活する『白梅園』を社務所裏に広がっている。
何もない空き地と、その奥の森を自身の力を使い整え。
広々とした縦長の平屋建てを建築し。社務所と渡り廊下で行き来出来るようにする。
他にも様々な野菜や米が植わった畑、ハーブ園。
先程整備した森の木を無駄にしないように使い。またまた自身の力を使って、木製の遊具等を装備した公園等を作ったりと、まだ見ぬ子供達の為。
途中、タリサやマヤラ達から話を聞いた。兎族のアルフ一族の皆さんやドワーフの凱希丸さん達が手伝いに来てくれ。
皆で泥だらけになりながら一生懸命作り上げた『白梅園』を見つめ。感無量になる愛満であった。
そして最後に、香夢楼達5人と愛満、愛之助で話してあって決めた。
白梅園の在る1部屋に、特殊な魔方陣を焼き付け。
迫害や差別を受けて苦しんでいる色落ちの子や捨て子をこの場所に召喚する事の出来る。
かなり特殊でいて、移住の際に神様一族から最強の力を授けて頂いた愛満しか生み出せず。悪用が絶対に出来ないよう施した高度な魔方陣を施した。
◇◇◇◇◇
その夜、自室で愛満は改めて自分がこの世界に移住した意味を考え。
ボッーと自分の両手を見つめながら、自分の小さな両手では、この世界で苦しむ全ての人達を救う事は出来ないだろう………。
それならば生意気かもしれないが、できるだけ自分の近くにいる人達や関係のある人達を助け。
声を出して笑って生活できる。安心できる環境をつくってあげたいと心の底から強く思い。
一人でも多くの人達が、家族や愛する者達と平和に笑って暮らせる世界になることを、よりいっそう心の底から祈る愛満なのであった。
【『鯛焼き』と竜人族の色落ち子、の登場人物】
竜人族とは、髪色の濃い者ほど力が強いとされていて
また力が有る者、男性らしい見た目の者、女性らしい見た目の者ほど良しとされ。
逆に色落ち子と言われる。白髪に淡い翡翠色の瞳を持つ者達は、他の者より力が弱く。
色落ち子達は皆、容姿がひどく似ているのも特徴で
見た目も細身の中性的な事から強さ、力が全てと考えられている竜人族の間では意味嫌われ。酷い迫害や差別、暴力を受けている。
・香夢楼
竜人族(色落ち子)、二十代前半、白髪、翡翠色した瞳、頭に鹿の角のような角が2本生えている
170cm位、細身の中性的な見た目
8人兄弟・長男、兄弟思いの心優しきお兄ちゃん
・朱志香
8人兄弟・次男、兄弟思いの心優しきお兄ちゃん
・真香
8人兄弟・三男、眼鏡をかけた利発そうな少年
・璃知香
8人兄弟・四男、兄弟1の陽気者
・緑香
8人兄弟・五男、十代後半、長髪、控え目の雰囲気の少し幼さが残る少年
・衣詩香
8人兄弟・六男、お兄ちゃん大好きの少年、年の近いタリサ達とすっかり仲良くなる
・仁香
8人兄弟・七男、お兄ちゃん大好きの少年、年の近いタリサ達とすっかり仲良くなる
・実香尊
8人兄弟・八男、ここだけの話。赤ん坊ながら何やら不思議な力を持つご様子
・愛満
今回、いろいろと考えさせられるご様子
・愛之助
今回、自身最近ドハマりの『鯛焼き』ファンを増やせて、ご満悦のご様子
・タリサ&マヤラ
今回、新しい友達が増えて嬉しいご様子