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前編

<登場人物>

ロジーナ・・・14歳。初級魔術師。内弟子。

カルロス・・・24歳。上級魔術師。内弟子。

ハンス・・・16歳。中級魔術師。

ブルーノ・・・17歳。中級魔術師。

ウリヤーン・・・18歳。中級魔術師。

ニック・・・24歳。上級魔術師。

クレメンス・・・師範魔術師。師匠。

 上級魔術師カルロスは、後輩のハンス、ウリヤーンと森の中を疾走していた。

背後から追いかけてくる妖魔の数は減るどころか増えている気配がする。


カルロスは舌打ちをした。

このままでは遅かれ早かれ妖魔に追いつかれてしまう。

時間がない。


「おい。ここは俺が引き受ける。てめぇたちは先に行け」

カルロスはそう言うと速度を落とし、後ろを振り返った。

「しかし、先輩……」

ハンスは眉間にしわを寄せる。

「時間がねえんだ。さっさと行きやがれ!!」

カルロスは目を吊り上げ大喝する。

そのすさまじい剣幕に、ハンスとウリヤーンは慌てて先を急いだ。


*****


 師匠のクレメンスは腕を組み、カルロスたちがやってくるはずの方をじっと見ていた。

すぐそばには弟子たちがひかえていた。


「遅いですねぇ」

弟子のひとり――ブルーノが大きなあくびをする。

「場所間違えてるとか?」

ニックが間延びした声で言った。

「カルロス先輩に限ってそれはないっしょ。ニック先輩ならありそうですけどね」

ブルーノは伸びをしながら、小馬鹿にするように言い放つ。

「おい、もう一度言ってみろよ」

ニックは低い声でブルーノを睨み付ける。


「来た」

突然、ロジーナが前方を指す。

そちらの方向に視線を向けると、ハンスとウリヤーンが走ってくる姿が見えた。


「二人だけか」

クレメンスがポツリと言った。

「カルロス先輩が先に行けと……」

息を切らせながらウリヤーンが言った。

「そうか」

クレメンスは「うむ」うなずくと、ゆっくりと弟子たちを見回した。

「時間だ。帰るとするか」

静かにそう言うと、呪文を唱え、魔力を編みはじめた。


「待ってください!!」

クレメンスは術を中断し、ハンスに視線を向けた。

「カルロス先輩がまだ……」

焦った様子でハンスが言う。

「放っておけ」

クレメンスは素っ気なく言うと、再び詠唱にはいろうとする。

「ですが、師匠……」

ハンスは食い下がる。

「カルロスを待っている時間はない」

「ですが……」

クレメンスはため息をついた。

「これ以上、他の者たちを危険にさらすわけにはいかない」

クレメンスは視線でうながすようにを弟子たちをみまわす。


居並ぶクレメンスの弟子たちは、上級や中級魔術師がほとんどだったが、ロジーナのような初級魔術師もいた。

ここは妖魔が住む森の中だ。

皆の身の安全を確保するためには、これ以上ここに留まるわけにはいかなかった。


「それはわかります。でも……」

なおも食い下がるハンスをクレメンスはジロリと睨んだ。

「ならば、お前は気のすむまでここで待っていなさい。私たちは帰還する」

冷たい声で言い放つ。


ハンスのような中級魔術師がここに一人で留まるということは、死を覚悟しなければならない。

それくらい、この森は危険だった。

そのことが分かったのか、ハンスはぐっと黙り込んだ。


「では、行くぞ」

クレメンスは術を完成させ、一同は帰還した。

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