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お支払いは異世界で  作者: 恵
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第六話 マルコの正体

今回は二話で一つの話です。七話は今書いてる話がある程度進んだら投稿します。

 シエルが台所の設置の依頼をして二日後。勇達は最低限の調理器具を集めていた。


「包丁とまな板、鍋にフライパン、皿……よし、これだけで十分だな」

「結構大荷物になったわね」

「ボクも持とうか?」

「これぐらい平気、平気」


 紙袋からはみ出る調理器具を抱えながらそう答える勇の前に人影が立ちふさがる。


「おお、勇ではないか!」


 前回と変わらない挨拶でマルコは勇達に近づく。


「マルコ、また会ったな」

「僕と頻繁に会うなんてお前も幸運な奴だな。あまりの幸運に泣いてもいいんだぞ」


 マルコの発言に勇が愛想笑うのが定番になってきたこのやり取り。


「マ、マルコ」

「うわ、マルコ」


 エーシャは少し苦手ではあるがあまり顔には出さないように努力はしている。一方の琴美は明らかに嫌な顔をした。


「なんだ、その顔は」


 二日前の魚のことを思い出し、琴美は不機嫌に顔をそらす。


「お前の姉はなんなんだ」

「ちょっとな」

「まあいい。それよりなんだその大荷物は」


 勇が持つ調理道具を指しながら訊くマルコ。


「ああ、これ? 明日家にコンロが出来るから、調理器具を集めてたんだ」

「ほう。ならば明日いいものをやろう!」

「ほんとか!? ありがとう、マルコ! ならお礼に料理ごちそうしてやるよ!」


 マルコを食事に招待する勇だが、傍にいる二人はいい顔をしない。

 ものをくれるマルコにどうしてもお礼がしたい勇は二人の私情を抜きにして話を進めた。


「明日の昼に、俺が迎えに行くからこのあたりで待っててくれないか」

「承知した。では僕は用事があるからこの辺で。さらばだ!」


 別れを告げ風のように去っていくマルコを見送る中、話に入らなかった二人がようやく口を開くが、


「やっぱりあいつ、偉そうでいやだわ」

「ボクも少し苦手かな」


 内容はマルコを否定するような意見ばかり。

 そこに野太い男性の声が混じった。 


「お前達、さっきの奴と知り合いなのか?」


 背後からかけられた声に反応し後ろを向く。さっきまでいなかったガタイのいい男性がいる。どうやらマルコとの会話を聞いていたらしい。


「ええ、そうですけど」

「あいつに関わるのはやめておけ」


 突然の男の警告に目を白黒させる勇は大声で怒鳴った。


「な、なんでそんな事言うんですか!?」


 男は一息吐き、落ち着いた様子で佇む。


「あいつは……」



 勇達と別れてからマルコはいくつか店に入り何かを買っていた。


「これで全部だな」

「マルコ様」


 店から出てきたマルコを執事服の格好をした初老の男性が呼び止める。


「セバス」


 セバスと呼ばれた老人は少し目線を落とした。


「今日は旦那様と奥様からお話があるそうです。お早めにお帰りください」

「……あぁ、分かっている」


 勇に見せた無駄に明るい表情とは打って変わって表情を曇らせるマルコを心配するセバス。


「マルコ様……」

「大丈夫だ。僕は名高いシャーロット家の息子。帰るぞ、セバス」


 マルコの姿を、胸を痛くしながら見つめるセバスだった。



「あいつはシャーロット家の一人息子のマルコ=シャーロット」

「シャーロット……あのシャーロット家!?」


 エーシャは反応するが、スルンの事情を知らない勇と琴美はあまりピンとこない。


「エーシャ。シャーロット家って?」

「琴美、知らないの!? シャーロット家はこの町で一二を争うほどの大金持ちの貴族だよ!」

「マルコが……」


 確かに試験の時の服装が他と比べてやけに小奇麗に思えたが、まさか別の意味で勇とは違う世界に住んでいるとは思ってもいなかった。


「シャーロッテ家は俺達を平気で見下す。そして金や物で釣って人を利用する。人を道具か何かと勘違いしてやがる。お前らもその内利用されるはずだ。悪い事は言わねぇ、あいつとは関わるな」


 男はそう言い残してその場を去っていく。


「やっぱり、いやな奴だったわね」

「僕も流石にあんな事を聞かされたら」

「マルコは……マルコはそんな奴じゃない」


 琴美とエーシャの言葉を否定する勇。


「あんたがどんなに否定しても明日には分かる事よ」

「琴美、それはどういうこと?」

「あいつ、いいもの持って明日家に来るって言ったじゃない。もしそれが……」


 金品や貴重なものなら、あの男の言葉が限りなく真実に近い。



 スルンには豪邸が並ぶ地区がある。そんな地区でも一際目立つ豪邸を所有するのがシャーロット家。

 マルコはセバスに荷物を預けるとすぐに両親に呼ばれたため居間に向かう。

 居間に着き、扉を開けると両親は豪華な椅子に腰かけていた。


「ただいま戻りました」

「マルコ……お前、マルチの試験から一度も試験をしていないと聞くが本当か?」

「……はい」


 マルコの答えを聞くと、先ほどまで落ち着いた口調で話していた父親は眉間にしわを寄せ鬼の形相で声を荒げる。


「この恥さらしが! ただでさえマルチの試験に落ちて、その上試験を受けていないだと!? この落ちこぼれが!」


 しばらく肩で息をすると落ち着いを取り戻して深々と椅子に座りなおした。


「……もういい、お前は明日、剣士の試験を受けてこい。落ちこぼれでもそれぐらい出来るだろ」

「父様! 俺は剣士になんか――」

「口答えするな!」


 父親の怒鳴り声で言葉をかき消されたマルコ。その横から母親の甲高い声が響く。


「マルコ! 言葉使いには気をつけなさい! 俺だなんて野蛮な言葉を」

「……すみません、母様」


 絶対的決定権を持つ両親に子であるマルコは歯向かう事が出来ない。


「シャーロット家は誇り高き一族。それを忘れるな。自分以外の人間は全員劣っていると思え」

「分かっています」


 マルコは苦しい表情で答える。


「……僕は用事があるのでこれで」


 両親に背を向け扉に手をかけると、父親に呼び止められる。


「マルコ、おもちゃ遊びはいい加減やめろ」


 マルコは一瞬動きが止まるが、すぐに扉を開け部屋に戻っていく。

 部屋に着いたマルコは買ったものを机の上に出し、作業を始めた。



 次の日。深夜まで何かの作業をしていたマルコは遅く起床するが、約束まで時間がある。鏡の前で服装におかしな点がないかチェックした。


「よし、向かうか」


 机に置いてあった袋を握り、勇の待つ約束の場所に脚を向けた。

 一方勇の家では台所が設置されいつでも料理が出来るように準備されていた。

 親しくなれかもしれない機会を持てる事は喜ばしい事だが、魔女の使いはいつもより会話が少なく静かだ。


「勇、マルコは今日来るんでしょ」


 エーシャは勇に確認をする


「ああ」


 短く返事をする勇。


「もう時間でしょ。早く迎えに行きなさい」


 琴美に言われマルコを迎えに行くが、後ろ姿は何処か力が抜けているような気がした。



 マルコと待ち合わせている場所に着いた勇。すでにマルコは到着しており、勇を見ると声を上げた。


「勇! 遅いではないか! 僕を待たせるなんて!」

「す、すまん」


 相変わらずの調子で勇に接するマルコ。だが勇の方は暗い表情が隠しきれていない。


「……どうした勇。昨日とはまるで別人だぞ」


 心配するマルコ。しかし勇は無理に表情を作った。


「いや、なんでもない」

「そうか……」

「……なぁ、マルコ。遠回りしていかないか」


 不意な提案に疑問符を浮かべつつもその提案を呑むんだ。


「構わないが……急にどうした」

「マルコと話がしたくて」


 勇の表情の変化からマルコは何かを察した。


「分かった」


 いつもとは違う道で勇達は家に向かう道中、しばらくの沈黙が続くと勇の口が開く。


「マルコ。お前貴族だったのか」


 一瞬体に冷たさが走るが、顔には出さずに取り繕う。 


「……黙っていたつもりはない。まぁ、貴族である僕と知り合いだなんて光栄な事だろ。なぁ、勇!」

「あ、あはは」


 相変わらず愛想笑いをする。だが、すぐに暗い表情を浮かべた。


「他の人に言われたんだよ。お前の近くにいない方がいいって。ただ、利用されるだけだって」


 勇のその言葉で黙ってしまったマルコは目線を少し落とす。


「お前はそんな事しないよな」


 一体何を言えばいいのかマルコには分からない。

 黙り続けるマルコにそれでも勇は喋り続ける。


「なんとか言ってくれよ。俺達……友達だろ」


 友達と呼ばれ目を丸くするマルコだが、すぐに表情を戻した。


「いつから僕とお前は友達になった……まぁ、お前といると貴族である事を忘れるられて、とても心地が良いとは思っている」


 嘘偽りのないマルコの本心。勇の心を縛る思い鎖のようなものが少し解け心が軽くなる。


「そっか」


 そうこうしている内に家に着いき、勇は案内を始める。


「ここが俺達の家兼魔女の使いのギルド」

「なかなか、大きいな」


 マルコは率直な意見を述べると勇は扉を開いた。


「ただいまー」

「失礼する」


 家の中ではエーシャと琴美が椅子に座って、入ってきた二人を見つめている。


「マルコも椅子に座っててくれ。今から料理するから」


 マルコを椅子に座らせた勇は新品の台所に着くと魔法で火をつけ、フライパンを近づけたり、離したりして火加減を調節する。


「ねぇ、マルコ」

「なんだ、勇の姉」

「琴美よ」

「で、なんだ」


 疑惑を抱く琴美はいくつか話を聞き始めた。


「あんたって、シャーロット家なの?」

「そうだ」


 マルコは隠さず答える。


「あんたはなんでマルチ試験を受けたの?」


 その問いを投げかけられると何故だか琴美の瞳から視線を外した。


「そんなの……自分の名を広めるためだ」

「そう」


 質問を終えマルコから視線をそらす。


「琴美はよく分からん質問をする。エーシャもそう思わないか」

「あ、うん……そうだね」


 マルコとの会話を出来るだけ避けようとしているエーシャ。


「なんなんだお前達」


 二人の態度に違和感があって仕方のないマルコは居心地が悪くてしょうがなかった。



 数十分後いは、勇は料理を作り終え料理を並べていた。

 メニューは野菜などが入った魚介スープとエアフィッシュの翼を甘く煮たもの、主食は店で買ったパン。

 食欲をそそる香りに逆らうことが出来ないエーシャと琴美はさっきまでの態度とは打って変わってはしゃぐ。


「おいしそうな匂い!」

「勇! 早く食べるわよ!」

「はいはい」

「……本当にお前達の事がよく分からん」


 と、マルコは言うが、料理の匂いを嗅いで自分の食欲を抑えるのに必死になっている。

 料理を並び終えた勇はマルコの隣に座る。


「じゃあ、いただきます」

「「「いただきます」」」


 食事が始まり、各々が食べたいものに手を伸ばす。


「あ~、このスープ。魚の出汁がきいてておいしい」


 顔をほっこりさせる琴美。


「マルコ、味はどうだ?」


 勇がマルコに料理の感想を聞く。。


「うまい! ただの魚介のスープのはずなのに今まで食べた中で一番うまい! このエアフィッシュの翼も甘いタレがなんとも言えん!」


 勇の料理に絶賛するマルコ。室内から和やかな雰囲気が漂ってくる。


「勇の料理ってとってもおいしいんだ!……あ」


 マルコが勇の料理を褒めた事に嬉しくなって、ついマルコに話しかけるエーシャ。


「勇の料理は確かにうまい。僕の専属のシェフにしてもいいぞ」


 マルコは褒め言葉のつもりで使ったその言葉が、和やかだった空気を一瞬で凍らせた。


「やっぱり……あんたは……」


 思わず口から漏れだす琴美の言葉。だがマルコはボソッとしか聞こえず、何を言っているのか分からない


「ん? 何か言ったか?」


 マルコは聞き返すが素っ気ない態度を示す


「別に」


 それから琴美は黙々と食事を続ける。

 勇とエーシャも不安そうな顔をしながら食事を続けた。


「なんなんだ」


 釈然としないままマルコは近くに置いてある煮つけに手を付ける。

 しばらくして食事を終えた一行。

 お客であるマルコは今までで幸福な食事に満足していた。


「勇の料理は素晴らしかった。また機会があれば食べさせてくれ」

「ああ、機械があったらな」

「そうだ! 勇にこれをやる!」


 勇に渡す予定のものを取り出すためマルコは持っていた袋の口を開ける。


「昨日言ってたいいものか?」

「ああ、ちょっと待ってろ」


 マルコは袋の中に手を入れ何かを掴み取ると、勇達に見えるように出す。

 手にはまるで宝石のような赤い球体があった。


「ありがたく思え! これはとても珍しいもので――」


 向かい側に座っていた琴美が遮りようにマルコの手を払った。

 そのまま、宝石のような石は床に転がる。


「あ、危ないではないか! 何故こんな事を!」


 琴美の手をしばらく言つめた後、突拍子もない行動に感情が高ぶったマルコは立ち上ががり琴美に問いただす。


「確かに……私はあんたが嫌い……でも……勇があんたをここまでかばうから……少しは……違うと……思ってた」


 琴美はポツリポツリと言う。


「でも……やっぱりあんたは……私たちを見下してたんでしょ!」


 キッと睨みつめる琴美の目にマルコの体は自然と後ろに下がった。


「そんなこと」

「どこがよ! さっきも、ものを使って私達を利用しようとしたんでしょ!」


 涙を目に溜めながら琴美は感情的を押さえられない。


「ち、違う! お、僕は喜んで――」

「どうせ……どうせ……あんたに……貴族のあんたに! 私達の気持ちなんか分かるはずがない! もう私達に近づかないで!」


 琴美の言葉が耳の中で反響しマルコの心に深々と突き刺さる。


「お、おれは……」


 震える体を必死に抑えながらマルコは家から飛び出してしまった。


「マルコ!」

「勇! 追いかけなくていい!」


 追いかけようとするが琴美はそれを制止させた。


「勇、僕達は利用されそうだったんだよ。そんな人を追いかける必要は――」

「違う! あいつはそんな奴じゃない!」

「勇も見たでしょ! あんな宝石渡してきて、私達をバカにしているのよ! そんな奴が私たちを理解しているはずがない!」

「黙ってくれ!」


 勇は怒声を上げ周りが静かになる。


「ねえちゃん。さっきマルコに俺達の気持ちが分からないって言ったけど」


 琴美とエーシャを睨みつけて言い捨てた。


「マルコの気持ち、ねえちゃんもエーシャも分からないだろ」


 家から走り出しマルコを追いかけに行く勇。その言葉で二人は勇の後ろ姿をただ見つめる事しか出来なかった。

 勇の飛び去った部屋の中を静けさが包み込む。

 そして、それを破るかのように扉を開く音が響く。


「勇くん飛び出して行っちゃったね」


 当然のようにシエルは家に入ってくると二人を見ながらそう言った。


「……いつからいたんですか」

「マルコくんが怒鳴ったあたりかな」


 シエルは勇達が食事を終えたあたりに入ろうとしたが、マルコの怒声を聞きしばらく様子を見ていた。


「それにしても、見る目ないね」

「やっぱりシエルさんもそう思いますよね。勇はあいつに騙されてる」

「早く止めないと」


 勇を追いかけようとするがシエルがそれを止める。


「見る目ないのは君達の方だよ」

「え?」

「何言ってるのシエルさん! 会話を聞いていたならあいつが宝石で私たちを釣ろうとしたのを知ってるでしょ!」

「宝石ってのはこれのことかい?」


 床に転がっている球体のもの拾い上げる。


「そうです。あいつ、これを落とした時大声を上げたんです。相当貴重なものだったんですよ」

「確かに大声を出してたね。でも、あの時は危ないと叫んでたと思うけど」


 シエルが何を言いたいか分からない二人。


「それがどうしたんですか」

「反射的に危ないって出てくる時は大抵、人が危険な時だと私は思うなー」

「だからって、あいつがそういう意味で使ったか分からないじゃないですか!」

「確かに私も最初は分からなかった。でも、これを見たら確信を持てたよ」


 球体を掌にのせ、魔力を加えるシエル。

 魔力が加わった球体は突然激しく燃え出した。


「これは魔力を加えることで発火する魔道具(アーティファクト)。しかも加える魔力に比例して火が強くなる優れもの。この世界で一つしかないものだよ」


 もし手を叩いた時、琴美の手が偶然魔道具に当たっていたら琴美は怪我をしていたかもしれない。あの時のマルコの怒りは魔道具の事ではなく、琴美の心配から出たもの。


「で、でも! 結局はそんな貴重なもので私達を……エーシャもなんか言ってよ!」


 エーシャに援護をしてもらおうとするが、エーシャはシエルの言葉でその魔道具が根が付けられないほどのものだと気付いた。


「もしかしてそれって…………マルコが作ったんですか?」

「え、そんなわけ――」

「その通りだよエーシャちゃん」


 この魔道具がマルコの手作りだと聞き、琴美は驚きを隠せない。マルコはそんな人物ではないはずだと決めて付けているから。


「そんな、マルコがそんな事するわけない! 貴族のあいつが私達のために作ったなんて」


 依然と自分の主張を変えようとしない琴美に流石のシエルも痺れを切らし、口調が強くなった。


「勇くんの言葉を借りると……マルコくんの気持ち、琴美ちゃんには分からないよね」


 勇の言葉とシエルの言葉が頭の中で重なる。


「確かに、マルコくんの気持ちはマルコくん自身しか分からない。でも、君達は分かろうとしようとしたのかい? 少なくとも、勇くんはそうしようとしていたはずだよ」


 琴美もエーシャも、シエルの言葉で自分達がどれだけ酷い事をしたのか実感した。

 他人の言葉に惑わされ、上辺だけしかマルコを見ていなかった琴美とエーシャに対して、勇はマルコの心を理解しようとした。そして今もそのための行動を起こしている。


「私……マルコに謝らないと……じゃないと、一生自分が許せない」


 兄弟のはずの勇とここまで心の違いがあり、自分がみっともなく思う琴美。


「ボクは……勇の内面で好きになった。なのに……マルコの内面を見ようとしなかった……自分が……恥ずかしいよ」


 内面を見て勇を好きになったはずなのにマルコの内面を見る事をないがしろにしてしまった。

 矛盾している自分の心が嫌になり涙が出そうになるがエーシャは堪える。


「君達が過ちに気づけたなら大丈夫。心から謝ればきっとマルコ君と仲直りできる。でも、今はその時じゃない。ここは勇くんに任せるんだ」


 マルコとちゃんと向き合える日を胸に抱きながら二人は頷き、勇の帰りを待った。



読んで下さり、ありがとうございます。

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