続・3丁目のにゃんごろー
俺様はにゃんごろー。3丁目に住むトラ猫だ。
最近、ボスに新しい舎弟が出来たらしい。
3丁目はそんな噂でもちきりだ。
が、しかし。
まだ、どんな奴なのかは分かっていない。
なぜなら、奴が姿を現さないのだ。
ボスに聞いても
「新しいお友達が出来たんだけど…今日も来ないわねぇ」
くらいしか言わないのだ。
…そう、ボスは俺たちのことを「お友達」と表現する。
きっと、ボスにとってはそうなのだろう。
だが俺たちにとってみれば、ボスはボスで俺たちは舎弟だ。
ボス、そこんとこヨロシク頼むぜ?
さて、そんな話をしているうちに本日の見回り終了だ。
ん?なんで俺が見回りなんかしてるのかって?
そりゃー、俺が元3丁目のボスだからよ。
まぁ、その辺の話をしだすと長くなるからな。
また今度、ゆっくり話してやるよ。
さて、ボスのところに顔を出さねば…。
「にゃーん(ボスー)」
「あら、にゃんごろーじゃないの。いつも時間に正確ねぇ。」
「なうーん、ゴロゴロ(当然じゃないですか。時間厳守は野良猫社会のマナーですぜ)」
「今日のお夕飯はお刺身なのよ。一緒に頂きましょう?」
お刺身様ですと?!
なんてツイてるんだ!
…誰だ、今「夕飯目当てかよ」って言った奴。
コレは見回りと言う労働に対する、労いタイムなんだぜ?
「今準備するから、ちょっと待っててね?」
ボスがそういって立ち去った後、カサッと音がしたので振り返ると、そこには隣町のボス猫がいた。
「にゃーん?(なんだ、隣町のアンドリュー(笑)じゃないか)」
コイツ、どっからどう見ても和猫まじりの雑種の癖に、なぜかアンドリューと名乗っているのだ。
だから俺などは名前の後に(笑)をつけないと気が済まない。
「キシャー!(いい加減(笑)をつけるなよ!)」
そういえばコイツ、最近若い雄猫に負けたとかなんとか…そんな噂を聞いたような…。
「なーん(なんで隣町のお前がここにいるんだ?)」
「フー!(お前には関係ないだろ!そっちこそ噂になってるぜ。人間ふぜいの配下に成り下がったってな!)」
「にゃぅーん(ボスには恩があるからな。お前には関係ないだろ)」
「あら、もう1匹増えたのかしら?」
俺とアンドリュー(笑)がそんなやり取りをしていると、ボスが戻ってきた。
手には俺用の皿にこんもりと盛られたお刺身様が…!
「あらあらあらぁ…、パンダちゃんじゃない!最近見ないから気になってたのよぉ」
ボスがニコニコ顔でアンドリュー(笑)に声をかける。
うむ。今パンダとか聞こえたが…。
アンドリュー(笑)の方を見ると、ぱかーんと口をあけて阿呆面をさらしている。
「パンダちゃん、怪我はもう良いのかしら?一緒にお刺身食べていく?」
なるほど。
奴は喧嘩に負けた後、ここでボスの手当を受けたらしい。
しかし…。
「にゃーん(パンダか…)」
「キシャー!(誰がパンダだ!俺はもう帰る!)」
確かにパンダカラーだ。
白地に黒の模様入り、耳が黒で、尻尾は短くて白いからな。
「あら、パンダちゃん行っちゃったわ。まぁ元気そうで何よりね。さ、にゃんごろー。お夕飯を一緒に頂きましょう?」
「なうーん(アイツはほっときゃいいんですよ。お刺身様、ありがたく頂戴しますぜ、ボス)」
うん。
今日も3丁目は平和だ。
ジャイアントパンダは「ネコ目」「クマ科」「ジャイアントパンダ属」だそーです。