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不思議な塔にまつわるあれこれ。  作者: ちびやな@やなぎ
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007 餌付けパート2と名前の話題。

ふと気付いたらお気に入り登録して下さった方が!

ありがとうございます♪

……気付くの遅かったのは……仕様です。ごめんなさい(T-T)

 今回もジュースとバゲットサンド、サイドメニューに揚げ野菜とサラダをテーブルに並べてから話を再開する。


「とりあえず、私の名前はシヅキ・レン。

 姓がシヅキでレンが名前。オッケー?」


 もう一度、名前のところだけゆっくりはっきり、カタカナ表記を意識して発音すると、今度は聞き取れたらしい。


「こちら風に言うとレン・シヅキですね。

 こちらではあまりない響きですが、なにかいわれがあるのですか?」


 だいぶ発音しにくそうに復唱された。

 意味がわからないと発音しにくいのか、音の並びがこの国の言葉にはないのか、翻訳されて日本語に聞こえている私にはよくわからないけど。


「うぅん……。

 一応レンは花の名前。

 水の中に生えてて、根が食用になるんだけど。

 ハスって言ったらわかる?」


「ハス……?

 水中に生えて根が食用になるというと……。

 クモネのことですか?

 こう、つながったままのソーセージに近い外見で、中にいくつも穴がある根菜ですが」


「たぶんそれかな」


 聞いた感じ、近そうだ。

 当たらずとも遠からず、だろう。


 ……私の前でクモネ、レン、クモネ……と呟いているのを見てたらちょっとかわいそうになってきた。


「呼びにくいなら適当な呼び名をつけてもらって構わないけど?」


 今日はかりっと焼いた厚切りベーコン?と生野菜のサンドイッチ。

 これも美味しい。


「呼び名を、ですか?」


「うん。

 名乗って聞き取ってもらえない、発音してもらえないんじゃ名前としてはどうよって話だし。

 何か適当につけてくれたらそれで通すことにするよ」


 考えてみたら、こいつに通じないのであれば、この先ずっと、誰に名乗っても通じないんだ。

 それなら適当な通称を決めてもらった方がいいような気がする。


「……なぜ私が?」


「私が考えるとまた通じない可能性があるから」


 私が名詞と定義してる言葉が伝わりにくいのなら、自分で考えたところで本名の二の舞の可能性が高い。


 そう説明すると、ディノは少し考え込むようにしていたけれど、やがて盛大なため息をついた。


「理屈としては正しいのですが……。

 ……その、あなたの世界では誰かに呼び名をつけることに特別な意味があったりはしませんか?」


「別に? 全くの他人にも勝手なあだ名つけたりするし」


 さらりと返してから首を傾げる。


「そういう風に確認するってことは、こっちでは何か意味があったりするの?」


 切り返しにディノは曖昧なうなずきを返した。


「あだ名くらいなら子供のうちはつけっこをしますが、成人してから異性に通称を決めてもらうというのはあまりありませんね。

 ……恋人同士か夫婦であれば別ですが」


「……なるほど、こっちではそこそこ意味のある行為なんだ?」


 けれど、私も名前が使えないんじゃ困るしなぁ。


「そこはほら。召喚した責任でこの世界での後見人ってことで?」


 私が気にしなくても相手が嫌なら仕方がないかな、と思いつつ少し方向性を変えてみる。


「まぁ、養子にとった子供に新たな名前をつける習慣はありますけどね」


「ならそののりで。あんまり珍しくない無難な名前でよろしく」


 名前負けは嫌なんでついリクエストをすると、ディノは小さく笑った。


「では、ミュルカ・ファータ、と名乗ってはどうですか?」


「ミュルカ?」


「ええ。

 女性の名前としてそう珍しくないですし、短いので覚えやすいでしょう?」


「女性名?」


 どうもこちらに来てからこいつ以外に女扱いされていないんで、女性名を名乗るのに若干違和感がある。


「確かに今の宿では男性だと思われている方が気楽なのはわかりますが、ずっとというわけにもいかないでしょう?」


「そうだけど、誰も女だと思ってないって事は逆に名前で性別ばらさなくてもいいような気もするんだけど」


「……毎回間違われるのも面倒でしょう?

 この名前であれば名前ですぐに女性とわかりますし」


 一瞬なんとも言い難い表情になったディノが、私が納得してないと見たのか少しためらってから「先程のようなことが度々あっては困りますから」と付け加えた。


 確かにあんなイベント、一回限りで充分すぎるなぁ。


「でも、あの宿だとなんか女だってわかるとかえって危険が増えそうな気がするんだけど」


 いかにもうさんくさい感じの連中が結構出入りしてたよなぁ、と思い出していると、ディノは「そのことですが」と話を変えた。


「私はここの寮に入っているんですが、立場柄、部屋には一応従者用の小部屋がついているんです。

 もっとも私はそんなものを雇ってないので空き部屋になっているんですよ。

 あなたが嫌でなければ、食費程度でその部屋を提供できますが」


「……それって、性別的には問題ないわけ?」


「大丈夫だと思いますよ。

 従者用、とはいっても実際には家族を住まわせることも多いですから。

 形としては私の妹として手続きしますし」


「――はぃ?」


 思わぬ台詞につい半疑問系で問い返してしまった。

 でも、私悪くないと思うの!

お読みいただきありがとうございます♪


次話は8月26日17時投稿予定です。

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