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不思議な塔にまつわるあれこれ。  作者: ちびやな@やなぎ
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027 手続き行脚。

 翌日。

 傭兵ギルドで手続きをするために、まずは役所に行く所から開始。

 ディノを代理人指名して、役所で正式な戸籍を作ってもらう手続きをした。

 面白いことに役所はこの世界でも役所の雰囲気だった。



 手続きが済むまでの数日間だけ使える仮の証明書を持って傭兵ギルドに。

 ここはなんだか、今までいた宿みたいにちょっと柄の悪い人が多くて、少し落ち着かない雰囲気。

 一人で行けって言われたらちょっとためらうかもしれない。


 いくつかある窓口のうち、一つを選んだディノについて行くと、てきぱきと登録手続きをしてくれた。


 登録を済ませて塔の調査依頼をディノに読んでもらったら……。


 ※ギルド注※

  出口や階段が見つからなくなるというトラブルが頻出。

  依頼を受ける場合は人数分の帰還符を用意してください。


 こんな一文が添えてありました。


「やっぱり、出入り口消えてるみたいだね」


「……こんな大事なことが報告されていないというのは問題ですね」


「ま、内部も随分広いし、どこ歩いててもまったく同じ雰囲気だから迷ったせいだって思っちゃったのかな?」


 オートマッピングじゃなかったら確実に迷ってる自信がある私がそう呟くと、ディノは少し首を傾げる。


「だとしても、それならそれで方向感覚が狂いやすいと……。

 あぁ、そうすると自分たちの失態になってしまうから報告しづらかったんでしょうね」


 同情半分呆れ半分、といった体でディノが苦笑いになる。


「ところで、塔の中はそんなに広いんですか?

 報告書にも以前よりは広いと書いてありましたが」


「うぅん……。毎回同じ広さじゃないのもややこしい所でさ。

 記憶頼みだけど、一番狭かった時は塔の外見から想像した広さとそう変わらない感じだったかな。

 一番広かった時は五~六倍あったんじゃないかなぁ?」


 思い出しつつ言うと、ディノが軽く目をみはる。


 ちなみに、塔は元から結構広い。

 一フロアの面積がサッカーのフィールド二面分くらいはあるんじゃないかな。

 だから一フロア分とはいえ、くまなく調べようと思うと結構大事だったりする。


「それで更に魔物が出るのだから本当に面倒な話ですね」


「まったくもって。――それで、これ、私でも受けられるの?」


 手続きの時に聞いた説明だと、ギルドに登録しても受けられる依頼には制限があるという。

 最初のうちは極簡単な依頼しか受けられなくて、実績を積んでいくうちにどんどん引き受けられる依頼は増えていく、というありがちなシステムらしい。


 国が出している、それも高価な魔術具が必須の依頼を登録したばかりの駆け出しが引き受けられるのかわからない。


「まぁ、閲覧していいと言われた資料の中にあったわけですしね。

 ミュルカの登録には神殿から推薦状を添えておきましたから、多分大丈夫だと思います。

 手続きしていきますか?」


「ええと、細かい条件は大丈夫そう?」


 尋ねるとディノはもう一度用紙に目を落とす。


「これはどのフロアまで行った証拠を、だとか、何を倒して来い、というタイプではないようです。

 塔に行って、中を調査してその報告書を提出、という形になりますね。

 実際に塔に入ったかどうかは塔の門番達に証明をもらえばいいそうです」


「……それって、文字が書けない私にはできないんじゃ?」


「口頭での報告も受け付けるそうですよ。

 それに、ミュルカの場合は数日に一度か、もう少し間隔を開けて気のむいた時に報告にくればいいかと」


「あぁ、その程度なら面倒じゃなくていいね」


「では申し込みましょうか」


 窓口に行くと、さっきの紙を見せていくつか説明を聞いて、ディノが代筆でいくつかサインをする。

 それで終了だった。



 次に向かったのは魔術師ギルド。

 ここはなんだか雰囲気が図書館っぽい。

 静かで騒いだら怒られそうな感じだった。


 でも、入り口のつくりは大して変わらない。

 待合の椅子が置いてあって、受付がいくつか。

 そして、掲示板があっていろんなものが張り出されている。


 ついきょろきょろしていると、ディノが小さく笑って掲示板を指さした。


「あの辺りに張ってあるのは、窓口の担当者表や講義の日程表、それに標語ですね。

 気になるのなら後で説明するのでひとまずは手続きを済ませませんか?」


「あぁ、そうだね。ごめん」


 確かに、ディノは自分の仕事を止めて付き合ってくれているんだから余計な事で手間をとらせたら悪い。


 今日三回目になる窓口での手続きだけど、これが一番時間がかかった。


 なんでも、本来なら魔術師ギルドに登録するには魔力測定を受けないといけないんだという。

 だけど、その測定っていうのが結構時間がかかるからそんな暇もない。

 くわえて、私の場合は暴走させた前科があるからかえって危ないだろうっていうことで、それの免除申請が必要らしい。


 さらに、本来なら基礎過程の講義を受けないといけないんだけど、読み書きができない人用のプログラムとなるとまたそれが数年がかりで、基本毎日五時間くらいあるという。

 そんなのに参加してたら塔の調査が進まないんで、これまたディノとザームさんが個別指導をするという条件での免除申請。


 その上で、ディノが主として教えるって事で今度はディノが弟子をとる手続きやら、あれやこれや……。


 となりで見ているだけの私は途中から眠気と戦うのに必死だったけど、一通りの手続きが終わると、ギルドカードが渡された。


 このギルドカードも魔術具で、表面に書かれている――と聞いた――名前やランク以外にも、ギルドの依頼をこなしたり、試験に合格したりで溜まっていく功績値や評価、連絡先など色んなが記録されているらしい。


 これを専用の魔術具にかざすことで数値を書き込んだり読み取ったりするという。


 ちなみに、同じ方式を傭兵ギルドと神殿と役所でも使っているので、私は都合四枚のカードを持ち歩かないといけないらしい。


 ……なくさない様にカードケース買おうかな。



 最後の神殿での手続きはすごく簡単だった。

 なにせ、神殿でそこそこの地位にいるディノの手伝い、という形での登録なんで文句つけられるはずがないと言いますか。

 ディノが前もって書いておいた書類を見て、私に年と名前を確認してから役所でもらった仮発行の身分証を見せたらそれでお終い。

 すごく早かったです。

お読みいただきありがとうございます♪

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