000 しょっぱなからどうにも無理ゲーの予感ですが、なにか?
知り合いとの会話とその場ののりでうまれた設定をちょっといじくって書いてみました。
今後どうなるかは未知数ですが、楽しんでいただければ幸いです。
ぱかんっ、と軽い音と共に木の棒で殴ったポリバケツ(仮)が二つに割れた。
後には数枚の小銭だけが残されてポリバケツ(仮)はどこへともなく消えている。
一歩前に出て小銭を拾うと腰のベルトにつけた財布――に使っている布袋――に押し込む。
これで所持金は372ルト、と。
あ、言っておくけど一々小銭拾った額を覚えてて暗算している訳じゃないので。
この布袋、ぼろくて飾り気がない残念な見た目に反して中に入ってる金額を自動計算してくれるし、取り出したい金額ジャストを数えなくても取り出せる素敵仕様。
うん、便利。
で、なぜ木の棒でポリバケツ(仮)を叩き壊すと残骸が小銭にオートでリサイクルされるのかというと……わからない。
そういう世界なのだとしか言いようがないのだ。
もちろん、ここは日本じゃない。
私の知識と語彙で説明するのならば、某最後の幻想な鳥が主人公のゲームだとか、某大型シリーズのビアダル武器屋の冒険チックです。色々と。
まぁ、よくある異世界召喚的な事態におちいっているわけでして。
直後は驚いたしひとしきり文句もつけたけど、最終的に帰るにせよ帰らないにせよ、言うこと聞くしかない状態。
帰りたいなら言うこと聞いて冒険してください。
帰りたくないなら働いてください。
でも紹介できる仕事は冒険だけです。
はい、拒否権ないわけですね。いっそ清々しいな、おい。
と、いうわけで交渉の結果、いくらか生活環境の向上と帰還の選択権――強制された冒険終了後、それなりの生活ができる環境での永住の権利――を取り付けて現在に至る。
はしょるな、と言われそうだけど、あの辺りのことは思い出して楽しい記憶じゃないので割愛。
気が向いたらそのうち説明するかもしれないけど今は嫌だ。
さて。この先どうするか。
立ち止まったまま辺りを見回すがこの部屋――実際には少し広くなっているだけの空間だけど、便宜上そうしておく――にはひとまず敵はいない。
目の前に浮かんでいる半透明のマップの埋まり具合からすると、左下の未探索部分に上への階段がありそうだ。
けれど、体力もあんまり残っていない。回復アイテムもない。
う~ん……。
……考えに沈んでても仕方がないし、行くか。
ほてほてと歩き出してすぐ、後頭部に衝撃がっ。
「……あ~、やっぱ戻されたか」
がしがしと頭をかきながら体を起こす。
見慣れたベッドの上でため息をこぼしてしまう。
確認するまでもなく、身に付けているのは服と素敵お財布と左腕の手甲らしきものだけ。
うん、お約束。
私の仕事は謎の塔を制覇すること。
途中倒されても死なないで部屋のベッドに送り返されるだけ。
その代わり、所持金とアイテムはロスト。レベルも初期化。
塔を一回出る――追い出される――と、なぜか内部構造が変わってます。
はい、なんて不思議な迷宮。
わかりやすすぎて涙が出るね。
うん。
開始三ヶ月たって二百回以上挑戦して、まだ一階すらクリアできてないから心折れて泣いてるんじゃないです……。
お読みいただきありがとうございます♪
まぁ、普通異世界に召喚されたらこんなことになりそうだなぁ、とw
主人公の設定等は近いうちに表面化するので少々お待ちくださいませ。
8/9 入れ忘れていたので、サブタイトルに連番を入れました。




