超大型クライシスを撃破せよ
胸騒ぎが止まらないまま数十分程が過ぎた。
俺はチームの皆と一緒に出撃の準備をしているところだ。
「超大型ってどのくらいなんだろうな。」
朧丸は弾倉を装備品のポーチに入れながら言った。
「噂では推定5、60メートルはあるそうですね。」
鈴鳴がそう答えた瞬間、周りは沈黙した。
するとナイスタイミングでオペレータールームで指示を受けていた沙織さんがチームルームに戻ってきた。
「えーと、今回のクライシスは推定60メートルはある大物よ。ちょっとこれを見てちょうだい。」
沙織さんはそう言いながらホログラムモニターを展開した。俺達はそれを囲むようにして立った。
沙織さんが展開したホログラムモニターにはその噂のクライシスの映像が映っていた。
クライシスの見た目は八足で何種類かの昆虫のパーツを集めてそれをとことん大きくしたと言う感じだった。
おまけに身体は全身が硬そうな骨格で覆われている。
「鈍足みたいだがこの足じゃあ一歩が長いだろう。それにこの骨格じゃあ、いくら対クライシス用のカスタムをした銃でも豆鉄砲に過ぎないだろうな。」
朧丸は腕を組んで言った。
「そうね。それでさっき司令官が疑問があると言って、この映像を見せてきたのだけど──」
沙織さんはそう言うと別の映像を再生した。
その映像にはクライシスの先頭部分から何やら戦艦の主砲の様なものがゆっくりと伸びてきて、街に向かって砲撃するという内容だった。
「これは無人航空機(UAV)が撮影したものよ。」
「この主砲は、人工物?」
弘がボソッと言った。
「その通り。通常のクライシスには人工的な攻撃手段は出来ないの。これはあくまで推測だけど、このクライシスは民間兵がクライシスと人工的な兵器を組み合わせて作り出した新種ではないかと予想しているわ。」
クライシスは独自に進化を繰り返しているようだが、人間が使う銃や刃物などが生成されたケースがないのだ。
そのため、今回のこのクライシスは初めて人間の使う兵器を自然体に作り上げたのか、民間兵がこのクライシスと組み合わせたのかがはっきりとは言えない状況の様だ。
「ここ最近、この辺りでの民間兵の激しい動きが見られないと思ってたら、こんなものを作ってたのかもしれないってわけか……。」
朧丸はため息をついて言った。
「そう言う事なのかもしれないわね。」
「とりあえず、これからどうするんですか?」
俺は二人の会話に割り込むように質問した。
「そうね、いま一般戦闘員が戦車とかの乗り物に加えて、パワーバトルスーツで出撃したそうなのよ。」
「パワーバトルスーツ?」
初めて聞く名前についオウム返しで質問してしまった。
「ん、常田は知らないのか。最近になって一般戦闘員に導入された高さが3メートルほどの、乗り込んで操縦する戦闘用アシストスーツの事さ。人間の電気信号を呼んで動かすから操作も直感的にできて、重火器を軽々と扱えることから、あちこちの基地で導入が進んでいるらいしぜ。」
朧丸が解説してくれた。
「はあ、そんなものが。」
「うおう、ってことは最新兵器をバンバン使ってるってわけか。」
弘はどこか嬉しそうに言った。
「それで本題。私たち特殊戦闘員はチームごとに手分けして付近にある武器製造工場で開発していた、現在このあたりでクライシスに対する最高の火力を持った兵器を回収することが今回の役目よ。」
「このあたりでクライシスに対する最高の火力を持った兵器?」
弘は興味津々で質問していた。
「ええ。話によるとものすごい火力のライフルらしいよ。」
「そんなもん作ってたのか。」
「そうみたい。それを使って太刀打ちするみたいよ。とりあえず、私達はこの地区の武器製造工場を探すことになってるわ。すぐに出撃して。」
沙織さんはホログラムモニターに目的地の工場がある近辺の地図を映した。
「了解、出撃しようぜ。」
朧丸の返事に続いて俺たちは武器製造工場へと向かうべくチームルームをあとにした。
工場へ到着する、と装甲車を乗っていた俺は黒雨と共に駆け足で降りて、工場の中に入ろうとした。
すると、朧丸が進むのをやめるよう指示してきた。
「常田、黒雨、少し待つんだ。」
「でも、早くしないと街が……。」
「ああ。その気持ちはわかるが、工場の中の様子がおかしい。この事態で街には避難警報が出ているのに、施設内に人の熱源反応が多数見える。」
俺は直ぐにあのVゴーグルを装着して壁越しにサーマルで中を覗いた。
確かに人の形をした熱源反応がいたるところに見える。手元には銃を持っているようだし、動きを見るからに逃げようとしているより、巡回したり何かを探している感じだ。
「まさか、民間兵に先を越されたか?」
俺がそう言うと朧丸が頷いて言った。
「そのようだな。あいつ等としても噂の銃であのクライシスを消されるのは阻止したいのだろう。逆に言えば、その銃があれば倒せるのかもしれないな。さっそく開発されたばかりの非殺傷弾の出番のようだ。突入するぞ、沙織。」
すると沙織さんから無線連絡で返事がきた。
「オーケー、全員の総突撃を許可するわ。勿論、非殺傷弾の使用を厳守して欲しいけど、やむ負えないなら殺ってちょうだい。」
皆で了解と返事をすると、特攻するように中へと入った。
「誰だ!」
入り口付近に立っていた人は一般戦闘員や俺達の様な特殊戦闘員でもなく、ここの工場の人でもない。やはり民間兵のようだ。
朧丸と鈴鳴はこういった対人の戦闘に慣れているためか、手慣れた手つきで射撃をした。
撃たれた相手はすぐに無言で倒れた。勿論気絶しているだけだ。
「くそ、P.K.D.Fの連中が攻めてきたぞ!」
奥に隠れていた民間兵が無線で付近の仲間に連絡しているのが聞こえた。
「ち、増援がくるな。奥へ強行突破するぞ!」
朧丸はそう言って走り出した。俺達もその後を追う様に走った。
その後も、所々で待ち構えていた民間兵を眠らせながらも奥へと進んだ。
だいぶ奥まで来た頃、サーマルで周りを見ながら走っていると一ヵ所だけ不審な部屋を発見した。
人が寝転がったり壁を背もたれに座っているのだ。
もしかしたらここの工場の従業員で、民間兵の奴らにやられたのかもしれない。
「朧丸、この部屋にいる人たちは……。」
「……そうだな、とりあえず生きている奴がいないか入って確認してみよう。」
そう言われると俺は静かに素早く扉を開けて、中へゆっくりと入った。中は血生臭く、寝転がっていたのは予想通りに従業員の死体だった。
「えぐいな。」
「……ああ。」
黒雨は真っ先に奥で倒れている人に駆け寄った。
「あ…ああ……お、嬢さん。こんな所にいては危ない…よ。」
どうやらまだ息があるようだ。
「大丈夫ですか!?」
俺は駆け足でその人のもとへ行った。
「君…は?」
「P.K.D.Fの者です。近辺の武器工場で開発されているこの辺りで最高火力を持っているライフルを外で暴れているクライシスに使うために回収しに来ました。そしたら、この状況ですよ…。」
「そう…か。君の言葉にしている物と私の思い浮かべているものが一致しているのならば、そのライフルは…ここの工場の武器保管庫に、弾と一緒に置いてある。」
「本当ですか! ありがとうございます。」
俺がお礼を言うと、朧丸が部屋の出口に向かいながら言った。
「常田、その人を連れて黒雨と一緒にいったん外へ出ろ。あとは俺達が回収しに行く。」
「分かった。」
すると、このおじさんは俺の手を掴んで言った。
「わ、私の事はいい。君は仲間とそのライフルを回収しにいくんだ。」
「それでは、あなたが死んでしまいます!」
朧丸が困った顔をして言った。
「……人数が減って、無駄に犠牲を出すよりいいだろう。これを…持っていけ。」
おじさんはそう言うと俺に何かの鍵を渡した。
「これは?」
「武器保管庫…の鍵だ。私はこう見えても……保管庫の責任者でね、奴らが攻めてきたときに兵器たちを悪用されないように保管庫に鍵を掛けたのだ。ここの武器保管庫は……核シェルター並みの装甲でできていて…そこら辺の武器じゃ到底破壊出来ない。まあ、破壊可能な武器を持っているんだとしても無駄弾を使うよりはいいだろう…。」
「ありがとうございます。」
そう言って俺は朧丸と顔を合わせたあとにこの部屋を出た。
「どうやらあなた達のいる工場に噂ののライフルがあるみたいね。」
部屋を出て直ぐに沙織さんから連絡がきた。
「ああ。」
その連絡に朧丸が応答した。
「今の事を司令官に報告したら他の特殊戦闘員もその工場に向かわせることになったわ。あなたたちは先に先導して武器を回収してちょうだい。……街は半壊寸前よ、急いでね。」
「了解した。…って事だ、急ごう。」
「わかった。」
それからの道中は、民間兵の姿は見られず無事に保管庫まで到着した。
さっき受け取った鍵を使って扉を開けて中に入ると、色々な種類の武器が沢山並んでいた。
その中でも、奥の方に目立つように黒雨の身長を越える程の長さのある大きなライフルが立て掛けてあった。
「これが噂のライフルか。」
そばに置いてあった弾丸はグレネードランチャーのグレード弾くらいの太さがある長め弾丸だった。
それにその弾丸は薬莢を除く部分が赤かった。
「この砲弾みたいな弾、赤くないか?」
「ああ、多分メサイア鉱石で作られた弾丸だろ。」
弘が答えてくれた。
「メサイア鉱石? なんか魔法石みたいな名前だな。」
「ん、知らないのか?」
「…ニュースとかはあんまり見ないんだ。」
「そうなのか。まあいい、これは最近発見された鉱石でな、結構希少で世にあまり出回っていないんだ。話しによるとクライシスとの相性が凄く悪い磁場を常に放っているらしい。それを少量、クライシスの体内に入れるとクライシスの細胞組織がぼろぼろになって衰弱していき、最終的には死ぬんだとか。」
珍しく弘が頼れるような話をしている気がする。いつも脳筋でしかないと思っていた。
「ふむ、そんな代物があったとは。」
「この弾丸ほどのメサイア鉱石があれば通常サイズのクライシスなら近づくだけで直ぐに衰弱死するだろうな。」
この程度の大きさで、近づけるだけでクライシスを倒せるのか。
「よし、雑談はそこまでだ。ライフルも回収したことだし早くここを出よう。」
朧丸がライフルを背負って言った。
弾丸は鈴鳴が持っている様だ。
「ああ、そうだな。」
倉庫を出ると、今度は誰かが走って来る姿が見えた。
「貴様ら、そいつを渡してもらおうか。」
走って来たのは民間兵の様だ。
民間兵がそう言っていると、奥から今度は数人の人が現れた。だが、奥から現れた人達は装備を見るからに俺達同様、特殊戦闘員の様だ。
「ふん、そうはいくか。」
朧丸はそう言って民間兵に向かって銃を構えた。
パン パン パン
数発の銃声あとに膝をついたのは朧丸だった。
「マスター!?」
鈴鳴は声を上げて名前を呼ぶと素早く朧丸に駆け寄った。
銃弾は全部、朧丸の腹部に命中していた。撃ったのは駆けつけてきた特殊戦闘員の奴らのようだ。
一体なぜ?
「貴様ら何のつもりだ!?」
弘が怒鳴る様に言った。
鈴鳴は鋭い目付きで彼らを睨んでいる。
「うおっと、そんな目で見るなよ嬢ちゃん。残念ながら俺達は特殊戦闘員をスパイしてただけで、もとから民間兵側なんだよ。」
奴らがそう言っていると、地面から熊の様なクライシスが出てきた。
「くそうっ!」
弘はクライシスに向かって銃を乱射した。
俺は黒雨と一緒に、逃げようとする民間兵と裏切り者に銃撃をした。
しばらく銃撃戦をしていると鈴鳴が近づいて来て言った。
「常田さん、これを。」
鈴鳴はあのライフルと弾丸を持ってきた。
「彼らとの戦闘は私が引き継ぎます。マスターがあなたと黒雨だけでもこれを持って外に行って欲しいと言っています。」
「だけど……。」
「ここは俺達に任せろ、時期にちゃんとした増援も来る!」
弘は銃撃をしながら言った。
「分かった。」
俺はライフルと弾丸を受け取ると弾丸を黒雨に預けた。
「よおし!」
弘はそう言うと素早くグレネードランチャーに持ちかえて施設の壁を吹き飛ばした。
「近道だ、行け!」
「助かる!」
それから黒雨と一緒に空いた穴から外へと出て、ここまで来るのに乗ってきた装甲車のもとへ向かった。
「まいったわね、裏切り者が中にいたなんて……。とりあえず早いうちに司令官に報告しないといけないわ。」
無線越しでも沙織さんに元気が無いのが伝わる。
「これからどうすればいいですか…?」
「そうね、話によると、あのクライシスは大きな大砲以外にも様々な銃器を身体中に持っているみたいで、一般戦闘員は中々苦戦しているみたい。早いうちにそのライフルでメサイア鉱石を撃ち込む必要があるわ。それで、本当なら専門のライファーが来るはずなんたけど、道中にいる民間兵に足止めを食らってるみたいなの。常田、あなたがあのクライシスを吹き飛ばしてちょうだい。」
「俺がですか!?」
「あなたしかいないのよ。いい? 今から指定するビルの屋上に行って。そしたらクライシスの中心に向かって一発、その弾丸を撃ち込めばいいわ。指定する建物はあなたの端末にマークしておくから確認して。さあ、急いで!」
「……了解です。」
俺が端末を確認しようとすると、黒雨が心配したような顔をして手を握ってきた
「…大丈夫、何とかなるさ。」
そうして改まって端末を確認すると、そんな遠くない場所のビルが指定されていた。
俺と黒雨は走ってそのビルへと向かった。
電源が落ちていたため、非常用の螺旋階段を使ってビルの屋上まで登った。
屋上へ到着するとクライシスが街に砲撃している様子がよく見える。ここから見渡すがりでは街の被害は尋常ではなさそうだ。
俺は直ぐにライフルのバイポットを展開して設置し、黒雨に預けていた弾丸を装填してスコープを覗いた。
「よし、落ち着け自分…呼吸を整えて。」
バイポットで銃を固定しているはずなのにスコープがかなりブレているように見える。この一発で決まると思うとかなり緊張する。
ゆっくりとトリガーに指をかけた。
ものすごいプレッシャーの中、黒雨は手を合わせて祈りながら、ただクライシスを見つめていた。
ズガーン!
物凄い銃声と共に俺は銃ごと数センチ後ろに下がった。あまりの反動に肩が痛い。
一方で弾はクライシスの中心部付近に着弾したらしく、細胞組織が一気にもろくなり始めていた。
「……当たったのか。」
俺は一気に肩の力が抜けた。
「常田、やったわね!!」
沙織さんが興奮して言ってきた。
「な、なんとかやれました。朧丸達の方はどうなんです?」
自分の方が一安心すると、朧丸達の方が気になってきた。
「今度こそ、裏切り者じゃない特殊戦闘員の仲間が到着して無事に制圧したそうよ。朧丸も仲間の衛生兵に治療してもらってるみたいだし、きっと──」
突然、沙織さん声がノイズ音と共に切れた。
「沙織さん…?」
パチ パチ パチ
沙織さんの名前を何度か呼んでいると、俺と黒雨が上がってきた螺旋階段の方から誰かが拍手をしながら上がって来た。
「いやいや、お見事。君は大した人だ。……少し目障りいなくらいにね。」
姿を現したのは偉そうな態度でスーツを身にまとった男で、4人の武装した仲間を連れていた。
そいつが俺らの目の前に来ると武装した仲間が、俺と黒雨を囲むようにして並んで銃を構えてきた。
俺はライフルを構えるのにアサルトライフルを地面に置いていたため、仕方なくハンドガンを男に向けて構えた。
黒雨は何もせず、黙って立っている。戦力差を見て無駄に抵抗をするのを控えているのだろう。
「あんたは誰だ…?」
「私は君達に民間兵と呼ばれている組織の……言わばボスだ。」
「ボスがこの人数で、俺に何の様だ?」
「そうだな。言うなら君が少し邪魔になってきたから、私が直々に廃除しに来た。ついでに、何度かしくじっている彼女の処理も含めてね。」
すると、男は小さな銃のような物を素早く構えると黒雨に向けて撃った。いきなりの事だったため、俺はなにも対処できなかった。
「黒雨!」
黒雨は撃たれた所をおさえながら倒れた。
撃たれた首もとを見ると、小さな注射器の様な物が刺さっていた。
「動くな。」
しかし、黒雨に近づこうとすると武装した連中の一人が銃口を向けて威圧してくる。
「黒雨に何をした?」
「別に知る必要はないさ、君も直ぐに死ぬのだからね。」
男はそう言うと、俺にもその注射器を発射する銃を向けてきた。
その時、一機のヘリが上空に飛んできた。
そしてヘリの扉が開いた瞬間にライフルの射撃があり、武装した連中の一人が撃たれた。
「く、何者だ!?」
ボスと名乗った男は、腹を立てた様子でヘリを睨んだ。
「あんたのターゲットの仲間よ。」
ライフルで射撃をしていたのは沙織さんだった。
そしてヘリから数人の特殊戦闘員と沙織さんが降りてきた。
「く、想定外だ。一時撤退とする。」
そうしてあいつらはビルを駆け足で降りて逃げていった。
「今は追わなくていいわ。それより大丈夫、常田?」
「おかげで助かりました。でも黒雨が……。」
黒雨は呼吸が荒くなっていて、苦しそうだった。
「大変、すぐに衛生兵を!」
沙織さんがそう言うと、衛生兵の女性隊員が黒雨をタンカーに乗せてヘリの中に運んでいった。
「それにしてもどうして来たんですか?」
「あなたと通信が途絶えた後も、朧丸達に連絡したらちゃんと繋がってあたのよ。それでそんなに離れていない場所で通信障害は人為的な通信妨害の可能性が高いと思ってね。人手不足もあって私がヘリで駆けつけたのよ。」
「ありがとうございます。おまけに射撃の腕いいですね。」
「そりゃ、もと戦闘員だったからね。」
沙織さんがそう言っていると、さっきの衛生兵の女隊員が駆け足で来た。
「すみません。」
「どうかした?」
「彼女の容態がどんどん悪くなっています。」
「むう、まずいわね。…緊急で医療棟に運んでちょうだい。」
「分かりました。」
衛生兵の女隊員は返事をするとヘリに乗り込んだ。
「常田、あなたは黒雨と一緒に基地の医療棟へ行って。私は朧丸達と合流して一段落したら行くわ。」
「分かりました。」
俺は言われた通りにヘリに乗り込むと直ぐに上昇を開始した。
下では沙織さんが心配した顔をしてこのヘリを見つめている姿が見える。
黒雨が無事に回復すればいいのだが。
あの男は黒雨に何を撃ち込んだのだろうか……。