ケリ2
部室を出ると、俺は廊下を力の限り走った。
ー高見に会いにいくんだ。
一刻も早く誘いたかった。どうしても謝りたかった。
しかし、今日はいつもいるハズの場所にいない。
仕方なく彼女の教室に向かい、
「あの…高見ってどこか知らない?」
俺はすぐそばを通り過ぎようとしていた女子生徒二名を捕まえて聞く。
「え?憂希?…あの子今日休みよね?」
「うん、なんか体調不良らしいね。」
「そっか…ありがと。」
俺は廊下を再び走る。
俺はポケットから携帯を取り出してコールする。
「…ッもしもし?高…。」
『ただいま、電話に出ることができません…ピーッという発信…』
俺は走るのをやめて立ち尽くした。
何か連絡手段をひたすらに考えた。
そして、目の前から声がした。部長だ。
「お!どうした?蓮華。そんな絶望的な顔して。」
「先輩…。」
「なんだなんだ!話てしてみろよ!この木元部長に!」
部長は右手を胸のあたりにバシッと拳を打ちつける。
「ふん…。なるほどな。」
「部長は…どう思いますか?」
「いいと思うよ、俺らは音楽で気持ちを伝えてナンボだからな。」
「ですよね……。」
「だが……どうせ来てほしいなら、もっと凝ったサプライズにすべきだろ。」
「…?」
「ライブまであと一週間。こっちから音沙汰をなくしてやる。」
「…!?」
「まぁ、あれだ。
連絡はライブチケットと軽くメモ書き程度に書いて、ポストにでも入れとくんだよ。
それっきり!つまり、向こうに仲直りしたい気持ちがあるなら、ライブに来るしかない。」
「……。」
「それで、ライブでドバーーッ!!…分かるか?」
「まぁ…大まかな内容は…大体掴めました。でも…。」
「なんだよ?」
「…それって、向こうに仲直りする気がなかったらどうするんです?」
「そんときはお前…アレだよ。男だろ!?」
「………。」
俺はとりあえず、部長に言われた通りに、腹をくくることにした。