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初喧嘩

高見はそのまま何も言わずに俯いて部室を出ていった。


「ちょ…待ってくれ!高見!!」


俺はあわてて部室を出て、高見を追いかける。


「待てって…!」


「触んないで!!」


追いついて、高見の肩に触れようとして、拒絶される。


「……『頭が痛い』んだよね…。だから私とも帰らずにあの子と…。」


「違うって!誤解だ!」


「誤解?!じゃあ、なんで誤解されるような事するのよ!」


高見が泣きながら振り返って俺を見つめてくる。


「……っ!」


「何なの…、やっぱり…私のこと好きじゃなかったんだ。遊んでたんだ…。」


その言葉は、高見の本心から出ている言葉とは到底思えなかったが、


それでも俺はムッときた。


そしてそんな俺が言い放ったのは…。


「お前だってあの川上とかいう先輩にデレデレしてたじゃねーか。」


高見はとっさに顔を上げる。


「何故それを…」という顔をしているのに、余計に腹が立った。


「知らねーとでも思ったのかよ。


俺がなんで嘘をついたって?俺がなんで先に帰ったって?


自分はどうなんだよ!!」


「ち…違うわよ!あの先輩は…。」


「何が違うんだよ!?全部見てんだからな、控え室での事。」


「なっ…じゃああのキスも…?」


「…!?キスぅ!!?」


予想外の発言に俺の口調はさらにキツくなる。


「…あ…いやぁ…違うの!ごめんなさい!…あ…」


俺の目の奥が熱くなる。とっさに走る。


逃げたかった。


死のうかと思った。




校舎を出て校門へ向かう。


ーもう何も考えたくない。その一心だけで俺の行動は成り立っていた。


校門にもたれかかるようにして、誰か立っているのが見えたが、


それどころでは無かった俺はもう、その人の顔も見ずにそのまま横を過ぎようとした。



「………何やってんのさ。」


聞いた事のある声が、俺の耳に届いた。


だが、聞き慣れてはいない。どこか懐かしい…。


無意識に俺は声の方向を向いた。



あいつが立っていた。


俺と口を聞いたのは2.3回。



無口なドラマー、坂城 瑠璃(さかき るり)が。

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