放課後
初の作品です。
若輩者ですが、感想、評価を頂けたら幸いです。
一週間前だ。アイツに告白されたのは。
アイツっていうのは、今の俺の彼女。
高見 憂希。
陸上部のエース、2年ながらも3年のキャプテンと対等に張り合ってる。
しかも成績優秀。んでもってクールで美形だから、まぁ、モテるモテる。
なのに…なんで俺なんかと…。
分かんねーなー。
あ、俺は、滝本 蓮華。
うちの家はラーメン屋『滝麺』。
その息子だからかなんだかしらねーが、
ラーメンのスープを飲むのに使う、あのスプーンみたいなヤツと同じ名前だ。
ただ、これだけは言っておく。
ラーメンを食すときに使う「れんげ」は「げ」を強く発音するが、
俺の「蓮華」は「れ」だ。
ドラ○ンボールのナ○ック星に出てくる「デ○デ」とおんなじ発音だ。
分からない人はスルーして良い。ジャンプの鳥○明 先生すんません。
とにかく、ラーメンを食すときに使うものと一緒にするなということだ。
それだけは譲れない。間違って「げ」を強く言わないように。
んで、今学校。
ちょうど授業が全部終わった、放課後というやつだ。
普通の生徒ならさっさと帰るか、寄り道、もしくは部活動、委員会とか。
俺の場合、まぁ後者だな。
アイツの部活を見る事もあるが、自分の部活もだな。
俺は軽音楽部に入ってる。
いま、某アニメで有名になってる部活だ。
ちなみにパートはボーカルとギター。
もしくは、その両方を一気にやっちまうギターボーカル、通称ギタボなんかもやったりする。
なんで入っているかというと、中学のときからずっとバンド活動をやっていたからだ。
不良がやるだなんだと、世間一般からはあまりよろしくない部活として広まっているが、
俺から言わせりゃ、そんなのは偏見でしかない。
大体、吹奏楽部は良くて、なんで軽音楽部はダメなんだよ。
クラシックにばかり執着しすぎてる今の音楽家気取りは
新しい風というか、ポップ、ロックのすごさを知らないんだよな。
「蓮!今日は部活か?」
教科書を鞄に詰めていると、ふいに後ろから声をかけられた。
俺の事を、「げ」抜きで、呼び捨てで呼ぶ奴はこいつしかいない。
俺の幼なじみ、谷 闘磨だ。
「ん、そうだな…今日は部活して帰るわ。」
「そうかー…。なんかお前、彼女できてから部活して帰る日、多くね?」
「…、ッまぁ、一緒に帰るくらいはしてやりたいからな。」
「おー、カッコいいねー。よっ、色オトコ。」
「ッうるせー!」
「はは!じゃあなー!」
闘磨は、黒帯の少し出た鞄を引ったくって教室から出て行った。
あいつは町道場で空手を習ってる。
両親は、男が生まれたら必ず武道をやらせようと思っていたらしい。
名前もその名残だ。
本当は、柔道女子の谷選手と同じ苗字なので、
柔道をやらせようと思っていたらしいが、本人は柔道場でなく、
空手道場に走って行ってしまった、というのが、空手を始めたキッカケだとか。
というか、あいつが柔道をしていたら、
俺はあいつと今のような関係にはなっていないだろう。
俺と闘磨は同じ町道場で出会った。
あいつは3歳からやっていたが、俺は5歳のとき、親に連れられて空手を習い始めた。
そのとき、経験の少ない俺が闘磨から一本取ったのが仲良くなったキッカケだ。
一本取ったときは、闘磨は悔しくてか、俺と喧嘩になり、
その時に親同士が顔を合わせ、気があうようになり、親の連れで否が応でも
会わなければならなくなり…の流れで、いつのまにか、一緒にいるのが当たり前になっていた。
あいつになら、何にでも気を許せる気がする…。
…っと、また想いにふけっちまった。
もうとっくに部室開いてんじゃねーか…。
早く行かねーと…………。