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幕間〜太古ノ調停者〜

いつからそうしていたのかは、彼自身にも分からない。

只、自身はその為に存在している事だけはわかった。

万物万人の争いや悩みの相談を聞き解決、世の平穏を保つ事を。

彼は自身の持つ知恵と力とを、余す事なく活用し、奔走していた。

勿論、全ての争いや悩みを解決出来ていたわけではない。

が、それらにも相談されれば真剣に向き合い、当事者達や引いては世界全体にとってより好い結果となるよう、努めていた。

そんな彼を、人々や異種族は慕い敬い信頼した。

彼自身も、頼られる事が嬉しく、その為に相談された問題解決に更に心血を注いだ。

いつか、世界から争いや悩みが消え去る日を願って。


それは、最悪な形で叶いかけた。


ある日、空に何かが出現し、地上に大規模な攻撃を放って来た。

逃げ惑う人々や異種族。

当然、彼が黙っていられる筈がない。

「貴様ッ!! 何故この様な狼藉を働くのだ!?」

 崩壊を続ける世界の大地から、天空に向って彼は叫んだ。

「私ハ全宇宙ヲ統ベル者。コノ地ニ根付ク生命達ハ生カシテイテモ意味ガナイ。故ニ一度滅ボシ再ビヤリ直ス」

 天空に浮かぶ機械仕掛けのソレは無機質に答えた。

「何故其れを貴様が決めるのだ!! 当世一切の調停は吾が担っているのだぞ!」

「貴様ノ意思ヤ権限ナド知ッタ事デハナイ。生命ノリセットハ決定事項ダ。中止モ延期モナイ」

 一切の感情を含ませずに淡々とした物言いをするソレ。

 対し、彼は身体を震わせ、刀を握った手を更に強く握りしめる。

 そんな彼の近くにいる者達は口々にソレを神と言い、世界崩壊の危機にもかかわらず平身低頭の姿勢を取り続けた。

「神……そうか貴様は神と言うのだな? ならば神よ! 吾は万物万人の調停者として、貴様を斬り滅ぼす!」

「身ノ程ヲ弁エヌ愚カ者ガ。先ズ貴様カラ葬リ去ッテヤロウ」

 ソレは巨大な手を伸ばし、彼を握り潰そうとした。

「むん!」

 が、彼はその手を一太刀の下に切り捨てると、一瞬停止した隙をついて腕伝いに駆け上がる。

 そして空高く飛翔すると刀を振り上げ、ソレの中心部に突っ込んでいった。

両者は激突、天空に巨大な爆発が起こる。


結果から言えば、ソレは姿を消し、リセットは免れた。

が、彼も無事ではなかった。

肉体の殆どは消失し、微小なエネルギー体となった。

そして、爆発の衝撃で出来た次元の狭間に身を寄せ、復活の時を願い眠りについた。

何千年経った時であろうか。

彼の肉体は漸く、人型を取れるまでになっていた。

だが、予想だにしなかった事態も起きていた。

本来の姿ではなく人間の少年の姿となっていた上、彼の中にもう一つの人格が発生したのだ。

交流していた者の中で、人間が一番接する機会が多かったからなのか。

それとも、人々と同じ姿となる事で悩みや苦しみを理解しようとしたからなのか。

それは、分からない。

兎にも角にも人の姿となった彼は、もう一つの人格に主導権を預け、再び眠りについた。


それから後、現世のある夫婦が道で倒れている少年を見つけ介抱、養子として迎え入れる事になった。

そんな彼には一つだけ、覚えている事があった。

「あなたの名前は?」


























「アモン」

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