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第3話パート4

件の荒野を駆ける吾紋とゴーカサット(救世)。

(えーと、気配がするのは……お、ここだな)

先頭の彼女はある地点で立ち止まり、空間のある一点を見つめる。

(念のため隠しておくか)

そう言うと、懐からビー玉サイズの球体を取り出し、空中に放り投げる。

瞬間、球体は破裂し黒い煙となって彼女ら及び周辺の空間を覆う。

(これで良し。次は……)

「機理神君」

彼女は吾紋に向き直る。

「喋って良いんですか?」

「あぁ。この中なら気づかれる心配もない。さて、急な質問で悪いが……君は自分に疑問を感じた事はないかい?」

「疑問ですか?」

「自身の危険を顧みず怪物に立ち向かおうとする気概、一瞬の内に標的を捉え制圧する身体スペック、そしてピンチの時にも恐怖心を制御し妙に冷静で居続けられる思考、どれも一般人は持ち合わせている事がないものばかりだ」

「い、言われてみれば……」

「そう、言われなければ気づかない。何故なら、君にとってそれは普通、いや寧ろ低い状態と言えるだろう……調停者だった、以前と比べるとね」

「調停者?」

(吾の事だ……そして、汝の事でもある)

(!)

(仔細は全て理解している。汝、吾を顕せ。さすれば、汝の親友達は最悪の未来を辿らずに済む)

(本当ですか! でも、どうやって……)

(造作もなき事)

次の瞬間、彼の足下から黒い霧が立ち上っていく。

霧は吾紋を包み、人形に漂う。

その様子を、ゴーカサット(救世)は不敵に微笑み、眺めていた。

「見させてもらうよ。機械仕掛けの神を下した古の調停者……」


「アモン」


同時刻 異空間


「ここは……どこだ」

クノアは、自分が謎の空間に佇んでいる事に気づいた。

「確か……ヴェートの掌から煙が出て……」

辺りを見回しながら、状況を整理するクノア。

そして彼は、自身の足下を見た。

仰向けに倒れ伏す銀髪の少女。

「……ミイ?」

理解するのに数秒の時間を要した後、全身を怖気が襲う。

「ミイ!!……!? ……!!」

瞬間、彼は思い出す。

数分前の自身の所業を。

「俺が……!? ミイを……!?」

膝から崩れ落ち、前屈みになるクノア。

「そんな……そんな……!」

背後から殺気を感じ、咄嗟に身を捩って躱すクノア。

そこにあったのは自身に刀を向ける、二人の者が混ざり合ったような男の姿。

「ほぉ? まだ動ける余裕があったとはな」

「ヴェート……いや違う、誰だ……」

震えながらクノアは尋ねる。

「死に行く者に教えても、意味はあるまい。それにしても情けないものだな……あれだけ強大な力を持ち民衆を統率していた貴様が、今はこうして尻餅をつき恐怖に体を震わせている」

後退りをしたクノアは振り向き、ミハルを再認識する。

「あ……あぁ……」

彼には、状況を打開する余力こそあった。

が同時に、彼の精神は崩壊寸前でもあった。

「俺が……俺が、ミイを……」

敵に背を向け、動かない恋人を凝視するクノア。

「そうだ。貴様がやったのだ。貴様が、貴様自身が、その者の命を奪ったのだ」

一歩一歩標的に近づくヴェートであった者。

「悔め。嘆け。苛まれろ。そうして絶望を抱いたまま……」

刀身が、彼の脳天に狙いを定めながら振り上げられ、

「逝け」

そして、標的目掛けて向かっていた。

その時であった。


ビシッ!! ビシビシッ!! ガシャアアアアン!!!!


空間にヒビが入ったかと思うと、硝子の割れるような音と共に土煙が、もうもうと立ち込める。

半蔵であった者は、クノアの後頭部スレスレで刀身を停止させ、煙の上がった方向に視線を移す。

そこに立っていたのは、裾出しシャツにブラウンのロングコートを着た女性。

そしてーー

「……」

黒い霧を漂わせる鎧のような甲冑のような出立ちをした怪人物。

「貴様、何者だ?」


「吾アモン。万物万人の調停者にして……神を斬り滅ぼし者也」

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