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幕間〜2代目龍帝誕生〜パート2

「……母さんは?」

別室に移動したクノアは、戻ってきたマレアスに様子を聞いた。

「何とか一命は……ですが、予断を許さない状況です」

「……」

「クノア様。ご傷心の所、誠に申し上げにくいのですが……」

「……なる」

「と、おっしゃいますと?」

「龍帝になる」

マレアスは、希望と不安がないまぜになった表情を浮かべる。

「クノア様、ご存知かとは思われますが、シソ様の後を継がれるという事は、今までの生活は不可能になるという事。勿論、ご親友であるお二人とも会われる事は……」

「……確かに、会えなくなるのは辛い。でも俺に選択肢はないんだろう?」

「!!」

「ここまでの道中、絶望感に打ちひしがれていた民達が、俺の姿を見るなり希望の眼差しを向けた、気がした。恐らく彼らは俺に母さんの面影を見たんだ。自分達が慕い、そして自分達を救ってくれる存在の面影を」

「齢五にしてそこまでお見通しとは……、恐れ入りましてございます」

マレアスは深々と頭を下げた。

「そこで……頼みが一つある」


数十分後、城内及び各避難所に急遽、モニターが設置された。

怪訝な表情を浮かべる民衆。

そして、映し出されたのはーー

スーツを着た青年であった。

歳の頃は十代後半。


「諸君、お初にお目にかかる。我は初龍クノア。先代龍帝シソの息子だ」

どよめく民衆。

「やはりさっき感じた気配は本当だったんだ……!」

「でも、さっき抱えられてた方はもっと小さくなかった?」

「そ、そういえば……」

そんな彼らの声が届いたのか、視線を動かしまた戻すクノア。

「諸君が疑いの目を向けるのも無理はない。確かに我は先程まで齢五の子供であった。無理を言って、急成長したのだ」

一見突拍子もない事を彼は言っていたが、この世界には様々な能力を持っている者がいる。

故に急成長したという話は真実なのだろう。

だが、それを持ってしても民衆の目には絶望が渦巻いている事に、彼は気づく。

「よかろう。では、我の真の姿をお見せしよう」

次の瞬間、彼の両手と首筋、両頬にダイヤ状の鱗が出現。

そして、背中から巨大な翼が展開した。

「そ、その翼にその鱗……!」

「間違いない、あの方はシソ様の御子息だ!」

いつの間にか、民衆達は歓声を上げ、クノアを称えた。

「約束しよう。我は諸君らに希望を、平和を再びもたらす事を!」

クノア! クノア! クノア! クノア!

その祝福と期待を一身に受け、彼は決して軽くない重圧と責任を感じていた。


「クノア様。大変素晴らしいご挨拶でした」

「あれは果たして挨拶なのか……っ」

「クノア様!」

よろめき倒れる所をマレアスに抱き止められたクノア。

その身体は煙を上げ、もとの幼い体躯に戻っていた。

「これ、結構疲れるな……」

「左様でございます」

側に控えていたカダレエが告げる。

「年齢というものは扱いが非常に難しい要素。クノア様のお身体の疲労は想像に難くありません」

「……成長するまで、耐えるほかないか……」


それから直ぐ、彼の龍帝としての激務の日々が始まった。

多少の覚悟は彼もしていたが、現実はそれを遥かに上回った。

都市の復興における人員の采配は勿論の事、ラスカゾークの残党の動向にも絶えず目を光らせていなければならない。

勿論、マレアスら四天王を始めとする配下達も彼を支え、彼の手となり足となり奔走した。

民衆も彼を慕い期待した。

その期待通り、彼は何年もの時間をかけて、漸く都市を大戦以前の水準に戻す事が出来た。

が、全ての問題を解決できたわけではない。

一つ解決したかと思えば、また次の問題が発生する。

そんな日々が毎日と言って良いほど続いていた。

如何に彼が王の資質と力を兼ね備えていても、まだ子供である。

心体両方の疲労は如何許りであっただろう。

特に心労の方は尋常ではないものであった。

幸いにも、彼のミスによって死人が出た事はなかったものの、そうなりかねない状況に依然あるのもまた事実。

彼を慮った者達が立憲君主制を提案するも、時期尚早であると意見が出た為に保留となり、彼は君臨し統治する状態が続く事となった。

いつの間にか、彼はマレアスらにすら王として常に接し、素の自分になれるのは寝る直前の一人きりの時のみとなっていた。

一日のハードスケジュールをこなし、ベッドに倒れ込むクノア。

彼が思わず呟くは、

「母さん……」

未だ意識が戻らない母と、

「吾紋……」

大親友にして良き相談相手だった者、そして、

「……ミィ……」

自身が恋慕う者の名であった。

そのまま彼は枕を抱きしめながら、深い深い眠りに落ちていった。


それから指揮系統や人材育成も好調となった事で少々の余裕が出来、彼が吾紋とミハルに再会する迄には、更に数年を要した。

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