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第14話:モーグルの広間

挿絵(By みてみん)

慎重に敵を倒しながら進むうち、

五階層ほど降りただろうか。


やがて通路が途切れ、

学校の体育館ほどの空間に出た。


四方は岩壁。

だが床だけが異様だった。


直径五十センチほどの穴が、

無数に空いている。


一つ覗き込む。

闇しかない。深さは分からない。


空間の反対側には、大きな扉。

次の階層へ続く道だろう。


行くしかない。


ハンマーを構え、穴を避けながら足を運ぶ。



――ガラッ。



踏んだ岩が崩れ、足が沈む。

咄嗟に体を引き戻し、転落を免れた。


その直後、別の穴から影が飛び出す。


金属が擦れる音。

ギン、と衝撃が腕に伝わる。


反射で受け、振り払う。


影はもういない。

穴へと潜り込む後ろ姿だけが見えた。



モーグル。



地面を自在に掘り進み、

ドリル状の前肢で突き刺すモンスター。


位置を変えながら警戒するが、

足場が不安定で思うように動けない。


穴が多すぎる。


わずかに体勢を崩した瞬間、

背後から衝撃が走った。


肩を掠める。


防具越しでも分かる、鋭い刺突。



穴は、繋がっている。



急いで体勢を立て直し、壁際へ移動する。

背中を守るためだ。



ボゴッ



鈍い音が背後から響いた。

背にした岩壁が弾ける。


モーグルが掘り抜いた穴から、

突き上げるように現れた。


足に衝撃が走る。

膝が沈み、片足に力が入らない。


片膝をつき、視線を上げる。



穴。


穴。


穴。



無数の穴の中に灯る、無数の光。


眼だ。


一つ、二つではない。

三十はいる。


一斉に襲われれば、終わる。


この空間に、安全な場所はない。


穴の奥でモーグルたちが、

こちらの様子をじっとりと伺っている。



あぁ、帰りたい。

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