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第13話:洞窟ダンジョン

挿絵(By みてみん)

マインドル入口



僕は立ち上がり、背伸びをした。


体調は戻っていた。


マインドルは目と鼻の先。

ノームが住む街。


ノーム。


ドワーフに似た、

ドワーフよりも小柄な種族。


特に興味は、無い。


洞窟ダンジョン、行くか。



マインドルから徒歩で五分。



鉱山の一角に、

洞窟の口がぽっかりと開いていた。


周囲はバリケードで囲われ、両脇に、

ドワーフ?ノーム?の警備兵が立っていた。


軽く会釈し、

受注したクエスト票を、警備兵に差し出してみる。


警備兵は、

クエスト票を手に取り確認した後、

僕の全身を舐めるように見た。



「まぁ、せいぜい頑張れや」



そう言って、僕にクエスト票を返した。


まぁ、せいぜい頑張ってみる。


洞窟に一歩入った瞬間、

空気が変わった。


ひやりと冷たく、

湿った石の匂いが鼻に残る。


等間隔にランプが置かれていて、

視界だけは、最低限確保されていた。


誰がランプを?

まぁ、いいか……


狭い通路。

遮蔽された空間。


今までの平原とは違う。



……ふぅ



ゴツゴツとした岩肌をなぞり、

しばらく歩いた。


岩陰に、なにかが動く気配。


スウィフトハンマーを持つ手が、

汗で滲む。


構えながら、息を殺し、

恐る恐る近づく。



——プヨンッ



スライム。


見慣れた、青い塊。

なんだか癒される。


肩の力が抜け、

そして、冷静に考える。



前に平原で戦った時は、

毎回スキルに頼っていた。


でも、ここは洞窟。

死角が多い。


思わぬタイミングで、

思わぬ敵と、遭遇するかもしれない。


クールダウン一分は、致命傷になる。



試したいことがあった。



スウィフトハンマーの、もう一つの顔。


ハンマーヘッドの、片側は平ら。

もう片側は尖らせていた。


ロックピックハンマー


本来、鉱山探査などの、

岩石採掘の際に用いられる工具。


ハンマーの形状次第で、

打撃以外の攻撃もできるのでは。


そう考えて、作った武器だった。


スライムの討伐クエスト時には、

これを試す余裕がなかった。


スライムが怖く無くなった、今なら……



ここで、試しておきたい。



ゆっくりと慎重に、

スライムとの距離を積める。


スウィフトハンマーを振り上げ、

尖った側で、まっすぐ振り下ろす。



パンッ。



スライムが弾けた。

拍子抜けするほど、あっけない。


……うまくいった。


核はドロップしなかったが、

打撃無効のスライムを、スキルなしで討伐できた。


つまり、これは打撃ではない。


「突き」として判定されたのだ。


その事実が、胸の奥で小さく跳ねた。



刃を付けたら……


遠距離攻撃をするなら……


魔法も、もしかしたら……



世界は大きく、広がった気がした。



制作意欲は一旦抑え、

洞窟探索を再開する。


目につくスライムは、倒しながら進んだ。


一匹も倒せず逃げ帰った頃の自分が、

遠い過去のように思えた。


そんなことを考えていると、

前方で、岩の塊がゆっくりと転がった。


どこか不自然な転がり方に、

違和感を覚える。


転がる岩。



——ボムロック。



受付嬢の説明が、頭に浮かぶ。


ボムロックの攻撃手段は、

転がって体当たり。


重い攻撃ではあるけど直線的で、

回避さえすれば、そこまで脅威ではない。


ただ、このモンスターの、

気をつけなければいけない点。



自爆。



ボムロックを瀕死に追い込むと、

この攻撃手段に出る。


半径五メートルほどを巻き込む、

即死級の爆発を起こす。


洞窟内では、回避するのはほぼ不可能。


戦わずに逃げるか、もしも戦うなら、

必ず、仕留め切らなければいけない。


……


戦わない方が賢明だろう。

でも、細い洞窟内で、それもまた難しい。


動きは遅い。

不意打ちはかけやすい。


いま、いけそう……


深く考える前に、足を前に踏み出す。



「核心の一打」



ゴスッ


重い感触。


ボムロックは崩れ、核が転がった。



……か、勝てた。



少し遅れて、「もし」の考えが頭に溢れて、

背中に汗がにじんだ。


「仕留め損ねたら、死ぬ」


今までの敵とは、緊張の質が違った。



暗く、先の見えない洞窟に、

改めて恐怖心が込み上げていた。

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