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春・無題1
『春』
まだ寒い風
イヤホンで塞いだ耳
濡れたアスファルトに
春の雨がまた落ちる
春 春 はる
また落ちる
花が咲いている
前髪で塞いだ目
濡れたアスファルトに
土に還りかけた桜がある
はる 春 春
また朽ちる
陽が差す
緩んで空を食む口
小雨を降らす灰色に
指折り数える春がある
春 春 春
また溢れる
「はる」
また喉を過ぎる
頬を撫でる
春
風と私
春
『無題1』
空気が心地よかったので外に出た
小説を片手に持っている
見慣れた町を進んで、通ったことない路地を通る
しばらく歩くと大きな河沿いの公園があって
そこにある粗末なベンチに腰を下ろした
生きている心地がする
ここ最近、まるで死んでいるみたいだったから
生きている感覚が霞んでいたから
呼吸は無意識で
世界に私は生かされていて
コンクリートに囲まれて
透明な管につながれているような
あぁ、風はいい
空の脈を感じる
生きている
生きている




