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久方振りに浴びる太陽の光は、身体を熱らせ、目を焼き、命の灯火を強くする。


「あーー!町が見えてきた!!」

ずっと暗く、ずっと同じで変わり映えしない景色に包まれていたからか、太陽、雲、蒼空、そして町。

その全てが、おれに「君はしっかり生きてるんだ」と言ってくれている用な気がして、ニヤケてしまう。

でも少し残念だ……。

森を出てからの道中、モンスター達の姿どころか気配すら感じない。水の魔法?を覚えてから、少し試してみたい事があったんだけど。


まあそれは仕方ない。


それからも、ひたすら歩いた。気づかなかったけどいつからか、舗装された道になっていた。もう町は近いって証拠だ。

目的地が近づいてくると、どんどん不安が大きくなる。これは子供の時からの癖みたいなものだ。

学校へ行く時、バイトへ行く時、動物園に行く時、水族館に行く時、スーパーで食材を買う時。

何に不安を抱いてるのかはもう分かってる。


イレギュラーな状況になったらどうしよう。


頭の中はいつもそれだ。例えばコンビニ、買うものはこれとこれ、所持金はこれくらい。お釣りは200円。それ以上でも以下でも無いのに、足りなかったらどうしようと不安になる。


いま抱いてる不安は上げだしたらキリが無い。

言葉が通じなかったらどうしようとか、おれの知らない文字が使われてたらどうしようとか。

でも何故だろう…この世界に来てから1回も…………


元の世界に帰りたいって思ってない。


異世界に来てしまったという驚きはあっても、そこに恐怖や不安は無かった。

まあ、元の世界に未練が無いのだろう。

家族は好きだ、ついでに実家の猫もね。大好きな友達だって居た。それに、一方的だけど思いを寄せてる女性も居た。もう何年も連絡は付かないが…。

これだけ大事な存在が居る。けど、未練はそれほど無い、これが結論。


そんな事を考えながら歩いてると、気づけば日は暮れ大きな月が空に浮かぶ。子ぎつねはおれの首にかかり、子ウサギは、おれに抱き抱えられ、スヤスヤと眠っている。そしておれは歩いた。


町までたどり着いたのは次の日の夕方だった。

「通行料を払うか、冒険者ギルドのライセンスカードを提示してください。」


やっべーーーーどうしよう。金なんて持ってないしギルドなんて入ってねえよ。

てか、なんだ?この不親切な窓口の設計は、いくら何でも高すぎるだろ、めっちゃ見下ろされてる。

…そういえばモンスター倒した時に子うさぎが拾っておいてくれた宝石みたいなやつがあったっけ。

「…あのー、これ使えますか?」

「これは…冒険者の方ですか?でしたらライセンスカードを。」

「あ、いや。冒険者では無いんですけど?」

「え?ではこれはどうやって…」


やばい、もしかして冒険者以外のモンスター討伐は禁止されてるとか?まずいなこれ。

「いや、あの、これは…知人に!知人に頂きました。」

「そうですか…。すみませんが、通貨以外での支払いは原則受け付けてません。可哀想ですが通す訳には…。」

だいぶ困らせてるようだ。「可哀想ですが」って大人になってからそんな対応されるの相当酷な事を言われてるんだろう。


「あの、まだですか?」

後ろから声がして振り返ると、視界に入ったのはお腹。………お腹?

「え?」

で、でけえええええええ!!

何センチあるんだ?バスケ選手くらいはあるだろこれ。

「何かお困りのようだが。」

「あ、すいません。もし急ぎ出したらお先にお通し致します。」

「いや、急ぎでは無いが、どうやらそこの坊やがお金が無く通れないようだが。」


ぼ、坊やって失礼な。そりゃあんたよりも背は低いけどよ。

「そうなんですよねー。どうしましょうか、このまま外に放置するのも何だか気が引けるし。」

「ん?これは?」

さっき頑張って(ここ重要、いやホントに。)腕を伸ばして置いた宝石に大男が手を伸ばした。

「あ、それはこの子がこれで支払いたいって…。あ、もし手間じゃ無ければ、この宝石で換金して頂けないでしょうか?」

お!まじか!…ってこの子?なーんかおかしいなさっきから。これじゃまるで、おれが子供…。

おい嘘だろ?手がちっちゃい。え?え?まじ?

「坊や、それでいいかい?」 「え、あ、うん。お願いします」

声も高い、なんで今まで気づかなかったんだよおれ。


親切な大男改め大人のおかげで、何とか町に入ることが出来た。


「アフロディーテへようこそ!」

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