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王太子殿下との思い出は、泡雪のように消えていく

作者:木風
王太子殿下の生誕を祝う夜会。
侯爵令嬢にとって、それは一生に一度の夢。

震える手で差し出された御手を取り、ほんの数分だけ踊った奇跡。
二度目に誘われたとき、心は淡い期待に揺れる。

けれど、その瞳は一度も自分を映さなかった。
殿下の視線の先にいるのは誰よりも美しい、公爵令嬢。

「ご一緒いただき感謝します。この後も楽しんで」
優しくも残酷なその言葉に、胸の奥で夢が泡雪のように消えていくのを感じた。
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