目覚めたら伯爵令嬢でした
ここはセラフィム大陸。
神々と古代魔法の伝承が残る土地で、中央に鎮座するルシアード帝国は、血統と階級が全てを決める、冷たいまでに華麗な国である。
そして、定刻の南部、代々学術と錬金術に秀でた名門—
それが、ルシエール伯爵家である。
「…あれ?ここどこ?」
目を開けると、私は絹の天幕に囲まれたフカフカのベッドの上にいた。
耳慣れない鳥のさえずり、窓の外に見える広大なバラ園、フワフワのぬいぐるみ。そして鏡に映ったのは….
金茶色の髪に、澄んだ青い瞳を持つ、幼い少女だった。
「….え、嘘でしょ。私、死んだんじゃ…」
そう。私は元々、日本で働くごく普通のOL兼オタクだった。
名前は佐藤栞、年齢は32歳だ。
前世でオタ活の為に私は働いた。推しの為なら何時間だって働けた。
しかしついにオーバーワークとパワハラ上司によるストレスの末、階段から足を滑らせ…..
その次に目が覚めたらこの世界の伯爵令嬢、アリスティア・ルシエールとして生まれ変わっていたのである。
「え、貴族?え、伯爵家?嘘、ここって…封建制度ガチ勢のやつ!?」
混乱の極みだったが、それよりも私が震えたのは…..
この世界!!!!女は黙って嫁ぐか飾られるだけという、おぞましい現実が当たり前だったことだ。
どんどん記憶が湧き上がってくる….
まじで男尊女卑やん!!!理不尽の極み。
私は現代人である。そのため思考も現代である。変えてやるこんな世界….
しかし目覚めたばかりの私の頭の中は….状況整理最優先。
そしてプチパニック状態の私である。
けれど、ふと部屋の隅で微笑む両親の姿に、私は落ち着きを取り戻す。
もちろん佐藤栞として初めましてだがアリスティアの記憶もあるので体が脳が安心しているのがわかった。
父、セドリック・ルシエール。
温厚で理知的な伯爵家の当主。錬金術や魔法数学に長け、帝国でも名の知れた天才。
母、カミラ・ルシエール。
優雅で芯の強い剣士。社交界では知らぬものはいない美しきソードマスター。
兄、シリル・ルシエール。
寡黙で天才肌。まだ9歳ながら、理数では右に出る者はいないといわれるほどの人物。
そして、超がつくほどのシスコンである。
最後に私、アリスティア・ルシエール。
ルシエール家では珍しい普通の子。ちなみに7歳らしい…だが中身は32歳の元社畜。
これからこっちの世界の勉強して未来を切り開いていく予定である。というのはまだ家族にも内緒だ。
私がベッドから起き上がるとみんなが私のまわりに走りながら集まった。
「ぼく本当に心配したんだよ、三日も起きないなんて…」
「目覚めてくれてよかったわ、本当に。」
「お父さんも本当に心配したんだよ、」
待って待って待って
「…なんだこの家族、私、メチャクチャ愛されてるんだけど…..」
目頭が熱くなった。そうだ、前世では一人だった。
でも今は違う。支えてくれる人が居る。そして、私は知っている。この世界の経済の脆さを!
女性が教育を受けられない理不尽を。そして、それを変えるための知識を。
「だったら、やるしかない…..!」
私は決意した。
このルシアード帝国を、いやセラフィム大陸のこれから私の!いや、女性の自由のために!
前世で培った知識とオタ活に注いだ情熱を、今回は令嬢として、改革者になってやろうじゃない。
元社畜なめんなよ!!
でも目覚めたばっかだから…一旦休憩で(*´-`)
はじめまして。
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