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8【vsアンデット・オーバー】



 建物の向こう側から頭を出し、不気味な目をギョロギョロとさせながらこちらを見下ろしているデカい化け物。

 体長15メートルは優に超えており、アレがボスで間違いはなさそうだ。

 

シャルロッテ「あっ、アンデット・オーバー…魔物の上位種…なんで、どうして…?」


 シャルが呟いた直後、デカブツが雄叫びを上げた。

 その音量はあまりにも大きすぎて、私たちは全員咄嗟に耳を塞ぐ。

 それと同時、目の前の建物が邪魔だったのだろう。

 奴は拳を固めると思い切り建物をぶん殴った。


 ドゴォォンッ!


 その大きな破壊音と共に、その建物がワンパンで崩れ…気がつけば岩などの瓦礫がルミナの方へと飛んでいっていた。


 まずい、アレを破壊する術を私は持たない。

 ならロリ娘に飛び込んで一緒に躱わすか…?

 いや、無理だ…間に合わない。


ルミナ「…えっ……?」

 「「ルミナッ!!」」


 シャルとレイアが同時に叫んだ。

 だが瓦礫が止まる事はなく、豪速球でルミナへ迫っていく。

 あのスピードだとアグネスでも救助は無理だろう。

 …アレは即死だな。

 すまんなロリ娘、助けられそうにない。


エリス「ブレイクバレットォォォ!」


 その時、背後から聞き覚えのある声が聞こえてきたと同時に、ルミナに迫る瓦礫が空中で爆散した。

 その爆発のおかげで巨大な岩だったものが無数の小さい破片となり、そしてルミナの頭へコツコツと当たる。


レイア「ルミナっ!怪我はない!?」

ルミナ「レイアお姉ちゃん…怪我…ないけど……怖かったなの…うっう…」

シャルロッテ「よ、良かったっ……」


 レイアとシャルの二人はすぐにルミナへと駆け寄り、怪我の確認をしながら抱きしめていた。


 一瞬の出来事すぎてなにが起きたのか理解できなかった私は、反射的に背後を確認してみる。

 するとそこに立っていたのは…エリス、それとあとは知らない男が二人、横に立っていた。



エリス「ふぅ…間に合ったわね!こっちは片付いたから助太刀にきたわよ!」


 そう喋るとエリスは、二丁の銃を正面のデカブツへと向けてその場で構えた。

 いつでも準備万端なエリスの様子を見てアグネスはニヤッと笑い、それから私たちを背にアンデット・オーバーの正面に立つ。


アグネス「エリスゥ!ナイスだ!助かったぞ!後で俺と一杯やるかぁ!」

エリス「アグネスさん!私お酒嫌いなの知ってんでしょ!」

アグネス「ダハハハッ!…うっしランディ!お前は嬢ちゃん達を避難所まで護衛しちゃくれねぇか!」


 ふむ、ランディ…巨漢ハゲの目線的にあの好青年っぽい茶髪の男がそうか。

 それならもう一人の明らかに闇を抱えてそうなビジュアルのあの男は…。


ランディ「もちろんっす!この命に変えても守って見せます!任せてください!」

アグネス「おう!それとリゼ!悪りぃがお前は俺たちと協力してくれ!」

リゼ「…了解」


 その時、このリゼと呼ばれる男は何かやばい感じがした。

 ……ただの直感に過ぎないが…この感じがなんなのかはわからない。

 だが…気配、殺気、動作、思考、その全てが全く読めないのだ。

 現に、この闇男は先ほどまで少し後ろにいるエリスの真横に立っていたのだが、アグネスの呼びかけに応じた瞬間、いつの間にか一瞬で私の背後を取っていた。


ルーシェ「…………」


 正直、前にいるデカブツよりこの闇男の方がやばい気がしている。

 背後を取られ警戒している私を他所目に、リゼはゆっくりと歩き出し、そして私の前へと出てくると今度は鎌のようなデカい武器をどこからか出して構えた。

 そうしてここにいる戦闘員3名の準備が整うと、アグネスが腹から声を出し、合図する。


アグネス「行くぞおめーらッッ!」

 

 その掛け声と同時、アグネスがデカブツへ向けて走った。

 その後ろからリゼがピッタリとくっつく形でついて行く。

 だが走ってくる人間は奴にとって恰好の的、無防備でしか無い。

 その隙を逃すアンデット・オーバーではない。

 右拳を固め、二人を吹っ飛ばすつもりで思いっきりフルスイングを放つべく、奴は迎撃の構えを取った。


エリス「させないわよ!そこっ!」


 そうはさせじと、構えているデカブツの左肩付近をエリスは銃で狙い撃ち、4発発砲した。

 その弾は着弾時に炸裂し、威力が強かったのかアンデット・オーバーはその場でバランスを崩した。

 これでスイングを阻止させることに成功。

 そして奴が怯んだ隙にアグネスがジャンプし、大剣を片手で構える。


アグネス「こいつァよぉ…普通は地面に使うマジックアーツだが、おめーにゃあ特別だ。土手っ腹にくれてやるよォ!オラァ!アースインパクトォォォォォッッ!!!」


 そう叫びながら大剣を奴の腹部へ深く突き刺すと、アグネスは柄の部分を思いっきりぶん殴った。

 すると…それは最早、文字では表せないほどの打撃音が奴の体内に鳴り響き、体にある穴という穴から血のような液体が吹き出した。

 そして、完全に怯んで動けなくなっているデカブツに、そのままリゼが追撃をかける。

 あの闇男はアグネスの刺した大剣を足場にもう一段階飛び、顔前まで行くと持っていた鎌を振り下ろした。

 狙いは目だな。


リゼ「…シュッ!」


 だが、驚いたのはこの後である。

 あの闇男はデカブツの眼球…そしてさらには奴の背後の空間までもを巻き込み、同時にぶった斬ったのだ。

 その証拠に、空のなにも無い空間にまで亀裂が入っていた。

 …エリスの炸裂弾で攻撃を止め、巨漢ハゲのデカい一撃で怯まし、闇男が視界を奪う。


 この一連の流れですぐにわかった。

 なんという連携、なんという信頼関係。

 これを事前に打ち合わせなどせずやってのけるとは。


ランディ「さ、奴が怯んでいる今のうちに逃げるっすよ!こちらへ!」


 ランディは奴が怯む隙をみて、今が好機だと考えたのだろう。

 私たちの背中を押し避難所へ誘導させる。

 あの様子を見るに、あとはあの者たちに任せて問題はなさそうだ。

 私がこれ以上命を張る必要もない。

 そう考え、私は素直に茶髪の言う通りにすることにした。


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