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超短編集

泡のような魔物

作者: 西山景山
掲載日:2024/04/22


 冒険者の男は魔物の調査の依頼を受け、町外れの小さな洞窟へと来ていた。


「何なんだ、この魔物は」


 次々と襲いかかってくる魔物の群れを剣で薙ぎ払いながら、男は呟く。


「まるで切った気がしねえ」


 目の前の魔物を言い表わすとするなら、"泡"だ。軽く触れただけで弾け飛ぶおかげで、触れた側は一瞬何が起きたのか分からなくなる。

 本当に自分が倒したのか、もしかすると切られる前にわざと弾け飛んだのではないか、まだ魔物は生きているのではないか。そんな感覚に囚われる。


 だが結局、魔物はそれ以上の力を見せることなく、ただ一人の冒険者に蹂躙されるのだった。

 後に、その魔物には『スライム』という名が付けられた。


 

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