#2.5 存在理由《Birth count to burst》ダウン・スリー
遅ればせながら今作品の鉤括弧の仕様について。
・「」は声に出した通常の会話。
・「「」」声が重なっていたり通常よりも大きい声量など特殊効果上に有る状態。
電話もこの例に含みます。
・『』心や頭で考えているキャラクターの思考、所謂モノローグ。
・《》はテレパシーや思念など(電話は含まれません)
・{}人外や多種の動物が発する言葉や未知の言語など〈〉、[]、〔〕は使い分けや種族違いを検討中です。
・【】は固有名詞、名前から重要なモノなど。
・()鉤カッコとしての普通の使用や含み等を説明などを持たせるために使用します。
当作品では、この使い分けで行きます、予定ですのでご容赦下さい。
それ以外にも手紙等の表記として鉤括弧を既述とは別の方法で使用する場合があります。
会議室には2つの影を光が作る。
耳を隠す程の長く銀髪の年若い細目の青年が高級そうな、それでいてシンプルなデザインのイスに座り込んでいる。
その後方横には気の強そうな、それでいて男性に似ている雰囲気の美女は立ち控えていた。
美女は不機嫌で睨む態度に青年は咳払いをすると視線の先のディスプレイ画面の相手に話し掛けた。
「やはり今回も此処、数週間に発生している不可解な消失現象の1つという結論で間違いないでしょう。」
後ろの美女から興味を反らすように平坦に告げる
「全く、これも隣国の仕業だろう?」
ディスプレイの1つでは腰深く紫煙を吹かす小肥りな男は尚も続ける。
「記憶に新しい奴等が仕掛けて来た防衛戦の手痛い仕返しのお礼参りのつもりなのだろう」
「内務省ッ殿!!
先程から不謹慎だぞ。
ユリリウス様にも不遜な態度だ。
申し訳ありません。
被害者は正に2桁を越えたと云うのに!」
名前を呼ばれた細目の青年は【ユリリウス・クレッチェンア】と言い、若く見えるが40代の大人だ。
ユグドラシル学園長兼理事長をしている彼は余裕からくる清潔感のある笑顔で優しく諭すように受け答える。
「いえ、気にしていませんよ。
議題を続けて下さい。」
「警察庁さんは大変だ、全国でこのような事件が起きていて対応に忙しいでしょうに、参加成されるとは。」
「警視庁や防衛庁とも連携している問題等は有りはしない!!!!」
挑発と感じると威張り散らすようにディスプレイ越しにドンッと机を叩き立ち上がっているのが見える。
普段の事のように流されて別の者が次を口にする。
「ああ!
そう言えば例の国民名誉の彼も消えたと聞き及びましたが?」
海軍の女性が何気なく発っした言葉に会議は横道に逸れていく。
「それを言い出せば、あのクラスには陸軍将校さんの息子も同席していると聞く、言いッ子なしなのでは?」
内務省に問われた張本人はそれまで通り瞼を閉じたまま微動打にしない。
フンっと鼻息を1度荒くさせると瞳を見せるも山頂のように不動で直ぐに閉じてしまう。
それを図星と捉えたのか警察庁の口髭の整えられた男がシャシャリ出る。
「いやいや、重要度が違い過ぎませんかな?
彼は1学園生徒に過ぎないが例の少年は国家の仮想戦力で有り、そして先の戦線でも成果を示している。
幾ら由緒正しい家系の御息男で有ってもだ。
況してや何の経歴や戦果なしに、いや只の父兄としての催促ならば国として聞きましょうか?
優先度は是非としてもね。」
わざとらしい高笑いを隠すでもなく冗談目化さず披露しているのを余所に会話を戻すように行方不明になった人物の内容に触れる発言を大使館の駐日館員は本心から心情を述べる。
「我が国としても恩のある彼を含め、同じように国民の皆さん、そして自国の恥を晒すようだがですが彼女、エージェントの捜索に協力をしてくれている事に誠に感謝を示して援助を惜しみません。
今後とも、よろしくお願いするますです、池盛都知事」
「はい、勿論でございます。
我が国も全力の捜査を引き続き維持させて頂きます、ありがとうございますジェニファーさん」
米国大使館人と東京都知事との会話で、そこまで静観していたユリリウスの傍にいた美女が口を開く。
「そろそろ、いいかしら!!
腹の探り合いなら他所でやって頂戴!
オジさん達の絵面は見ていて正直キツいのだけど?」
銀髪に派手だが下品に見えないランジェリー(下着)のような格好に豪華な服装を着飾っている彼女は手で煩わしいとジェスチャーをすると本題に入ろうとする。
「これは申し訳ありません、ノル様。
この国家の一大事に利権から来る長年の些事をココでもするとは私の監督不行き届きの到りでございます。
益にもならない茶番を誠に、誠に申し訳ございません」
ユリリウスやノル、【ノエブル・クレッチェンア】と同じ室内の反対側に着席して無言を貫いていた官房長が皆の代わりに謝罪して彼女の意を組み先を促すよう相づちをする。
「いい?
始めるわよ。
この特異能力とは別の現象を、うちに所属する研究局技官員が調査したの!」
「彼は学園の所属だよ?」
「今、細かい事はいいじゃない!!」
「そうでしたな。
ノル様は一応は警察庁に出向中で御座いますからね。」
内務省の盾川原の言葉に警察庁の男性は苦笑いをして口を開くのを止める。
「ほら来なさい。」
呼ばれた丸眼鏡に緊張の汗を流す白衣の男がノエルに声のみで指図され急いで入室して前に出る。
「えっと、はい、、あの、えっと、ご紹介されまし、ましたった。
当学園の代三研究所の田仲と申しますすッ。
申し訳ありません。
気を取り直して、結論から言わせてもらいますと、やはり超能力つまり特異能では無いと100%証明されました。」
ディスプレイ越しにいる彼等の各々や画面外も騒ぎ、ざわ付き出しているのが分かった。
「えっと、、ですね。
全ての現場に調査は出来ておりませんが、現在にて全4~5ヶ所までの調査結果からそう断定させて頂きました。」
「なんと、それは。」
政府の言葉を遮り、或いは聞こえていなかったのか田仲は続ける。
そしてその発言は更なる衝撃を与える事になる。
「えっと、ですね。
防衛庁さんから兼ねてから指摘のあった敵国からの攻撃無いし誘拐なのではっと有ったのですが我々、学園の判断としましては別の異なる次元からの転位に因る誘拐、テレポーテーションだと結論付けました。」
変わらず椅子に腰掛けているユリリウスやノルマに一斉に顔が向くが平然とした態度で焦りを見せず余裕は崩れていない。
話し合いはそれからも続けるはずだったが余りの検証結果に関係各所部署は対応や今後の根回しに動くため急遽お開きになる、しかし誰も居なくなったはずが光が漏れる。
それを見つけて扉を、こっくりと覗く者が現れる。
「それで君の指揮していた1個小隊は消息不明したと言うのは本当なのか?」
「はい、しかし1人だけ五体満足で帰還しました。
しかしかなり焦燥仕切っており、訳を聞くと自身を1人抗うのに精神力を削ったようで今は安静にさせています。
倒れる前の証言と実際の現場から判断するに護衛対象及び警護員と共に他任務や非番の者以外は私の故郷に飛ばされたと言うのが有力な見解です。」
「そうか、、、そうなのか、、。
、、、、いやだが、その隊員が回復次第、私も聞き取りには同伴させて貰いたいのだが良いだろうか?
ん、誰だ!?」
照明の消された会議室での密談は不意の侵入者によって中断された。
◆◆◆◆◆
──安堂 英雄それが彼の名前、しかし本当の名前は【南勾玉守護ノ任 英雄】と言い平安時代から続く家系の長男であり将来の約束されていたはずだった。
されど軍事関連の要職に就く実家と親戚等の委細巨細から家長の父親の鶴の一声で彼の今後を危ぶみ名家を名乗るのを伏せ、今は母方の姓と名は読み方を変えて別人として学園に入学していた──
それらの事情から海外に渡航していたため1年間を留学していたと呈の形でユグドラシル学園に1年遅れで一般の特異能者として1学年に編入、優等生を演じ平凡を装い卒業するはずだった。
そして今、安堂 英雄は己の人生から外れ運命に阻まれるようにして重大な選択肢を迫られようとしていた。
現在、彼は突然の落雷や豪雨と光の柱に目を見開き驚きながらも爆発は劣化でガス管から引火したと説明され国の専用作業員がいるので復旧は手伝わないでいいと言われるも元来から性格からか復旧作業を自身の超能力を使い手伝っていた。
彼に感謝する空都の住人達から幸いにも民家からも離れていたため死傷者は0人だったと聞き安堵していた。
作業も大方が完了して来た頃、時間も時間なので今日は城に泊まり明日以降に国に協力するなりを決めると伝えていたのだが大臣の1人が待っていてくれたらしく手配された部屋に通されて就寝するのだった。
それから数日、英雄はクラスメイト達と決裂していた。
孤立といっても言い。
「一致団結ね、ハッ。」
「国王の話を鵜呑みにするのが良くないのも分かる。
でも今は皆で一致団結して一つに固まっていた方が良いのも分かるだろ?」
「だから鵜呑み以前の問題だろ!
誰でも彼でも信用してる安堂の意見が最初から間違ってんだよ!!!」
「こんな時だから助け合って、」
「なんだ安堂?
優等生の、お前らしくも無い。」
「ごめん、委員長~。
この状況でそのスタンスには着いては行けないわ~」
「もう良いでしょ安堂くん?
全員賛同してないよ。」
「だから意見の擦り合わせを!!」
「もうムリだ安堂。
3日だ、平行線で聞く耳持ってない奴のが多い。
参加してない奴もいる、諦めろ。
わざわざ集まってくれてありがとう、みんな悪かったな!
ここからは自己責任って解釈で行動してくれ。
チームを集ってる奴もいるし、単独行動も好きにやってくれ。
んじゃ解散ッだな!」
長ヶ三千 十燐の号令でゾロゾロと出ていく元クラスメイト達に英雄は自分の不甲斐なさを恥じていた。
出て行くなり個々人達は方針を決めて、参加して居なかった者と合流するなりを行うだろうと流れをせめてもと誘導させて解散させると十燐は英雄に近づき声を掛ける。
「いつか分かってくれるはずなんだ……………。
僕は彼らを助けたい。
ここが平和な世界だと何故、言えるんだ。
学園の生活で信頼や友情は…………僕の…………。」
「ああ、そうだな。
時間が有ればな‥‥‥でも無理だ。
クラスメイトの奴等の目線は別を向いてる。
端から聞こうとしてねぇ~よ。
危機を危機と理解してない節さえあった。
新しい世界に自分の欲を優先させてんだよ。
でもそれが普通の高校生の思考なんじゃないか?
俺達とは違うさ。」
「えっ?
どういう事?」
英雄の考えに賛成して連いて来ると新たに加入したメンバー達は頭にハテナを英雄と十燐の会話で浮かべる。
「あ?
言って無かったかな?
英雄、喋っちまっていいかな?
おい、ったく凹んでるコイツの代わりに説明するとだな。
まず英雄と俺は親友なんだ。」
「そうなのですか?
入学から御一緒させて貰っていますが貴方達が授業以外で話されている所を見たことなくてよ?」
「そうだっけか?
そこから説明しなきゃだったか、うっかりしてたぜ。」
話も長くなるだろうと場所を変える事になると何ならと彼等は英雄の自室で談笑し盛り上がる。
英雄の考え方と根本こそ違うが残留する者たちも空都に残っているらしいと知ったのは英雄が気持ちを落ち着かせ始めた後日の事だ。
「リーダー各の少年と彼に賛同する者達の他が我々の味方として残るようですね。」
「ほう、他の地上に降りたいという奴等も、あれやこれやで先延ばしは成功している。
そうだな。」
「ハッ、引き続きマインド・コントロールの魔法、チャームを薄く発動させ必ずや我らの野望のために!」
「ホッホッホッ。
野望等と見聞の悪い。
せめて計画や国のためと言いなさいな。」
◇◇◇◇◇
茜 志帆は【澤泡亘 夏彦】等の一代勢力や女子グループとも別行動を取り通称【残留組】と呼ばれるようになった安堂派に属していた。
そして、そんな彼女と密約を交わしたはずの彼、山門 宏人はと言うと……………。
スーパーマンも顔負けの上空一万メートルに学生服を靡かせて飛行……滑降している最中にいた。
「うぎゃゃぁあーーーーーあぁぁぁぁわわわわーーーー!
た・す・け・てーーーーー!!!」
◇◇◇◇◇
竹神楽 優依は謎の暗殺者との激闘を終えて脱げていた片方の上履きを木の根元で見つけ履き直していた。
「‥‥よく見なくても寒くないのか?
寒いだろ。
裸足だしよ、雨も降ったんだし。
コレ着るか?」
「‥‥‥いえ、わたしは与えられません。
奴隷ですから。」
「奴隷?
そういや、そのコスプレの耳も何だ?」
「コス……プレ……??
わたしは獣人ですよ?」
「獣人?
なんだそれ……………んーん……漫画とかのか?
えっ、あ!
海外に飛ばされてんだと思ってた、マジか。
別の世界とかなのかよ。」
「‥‥‥‥ん?
ここはデルタルアバ大陸です。」
『やっぱり空からやってきたので神様なのでしょうか?』
「デルタルア?
マジでか………………。」
「‥‥‥えっと、‥‥それでは此で失礼します。」
「あぁ、あっ!
ちょっと待ってくれ。
この辺で人の多い街とか人通りの道とか分かるか?」
「‥‥すみません分かりません。
‥‥‥その‥‥良かったら家に来ますか?」
「‥いいのか?」
「はい、命の恩人ですし日も暮れますから。
でも早く帰って下さいね。」
「ん?
あ、あぁ。」
「…………服、汚れとか落としましょか?
それに水洗いと感想もしますよ。」
「今か?」
「?
はい。」
「まぁ魔法なので直ぐに終わりますから。」
「魔法??」
「‥‥スキルです。
知らないんですか?
スライムさんも寝てしまったので静かにしますね。」
「魔法ね~。
マジで外国じゃないのか…………こいつもいるしマジか。
‥‥‥道中でも良いからさ、俺に色々教えてくれよ。」
「良いですよ、奴隷の役目です。」
「‥‥‥奴隷………………。」
1/10(水)、修正しました。
5/7(火)、日本の記述を変更しました。
5/30(木)、茜志保の名前を正しい志帆に直しました。
5/31(金)、文字の抜けている箇所を直しました。
サイトnoteにて開催されていたコンテストに作者本人が応募した作品になります。決して無断転載や盗作では御座いません。
両サイトnote、なろうで注意事項や連絡確認済みです。
https://note.com/4869_joker555/n/nc064a437bb93?sub_rt=share_pw
この作品はフィクションです。
実在の人物・団体・事件・災害・国家・歴史・時代とは一切関係がありません。