#18ノ巻
二回目
ウィザードの3人はンの村から見知らぬダンジョンに飛ばされた挙げ句に満身創痍で彷徨っていた。
生活魔法で水を出せても食べ物がなければ生命は生きていけない。
運命は極限状態の彼等に更なる拍車を掛ける。
藪を揺さぶる音で3人は抱き合い震える
怖がるも出てきたのはウーパールーパーのような毛の有るモンスターだった。
拍子抜けする事、数分もすれば息を整えて立ち去ろうとしていると、そのウーパールーパーは逃げるでも無く戻って来る。
3人に、一鳴きして振り向かせると果物を分けてくれたのだった。
そのモンスターの種族名はバブル・サラマンダーと言い水陸両用で人の膝辺りの大きさで水属性と土属性を得意としている。
それなりに生息地が判明しておらずレア度で云えばかなり高い。
その事に気が付いた二メートル程の人物が2人に伝えるか迷っていると、その内の1人の女性が先に行動に出ていた。
「アンタ!
可愛い見た目してるってのに心まで優しいなんて!
なんて良い野郎なんだい!」
「いやいや、性別は分かるまい?」
「茶々入れるんじゃないよ!」
「お礼って訳じゃないが、ウチ等と来ないかい?
その見返りは世界征服だよ!」
その声に首を傾げていたが瞳を輝かせると差し出された両手に乗り1人と1匹の間に温かく優しい魔力の遣り取りが行われた瞬間だった。
これでリンクが形成されパスが引かれた事で使い魔の契約が成立したのを意味していた。
「凄いじゃないかクドゥル!」
「あったり前でしょうよ!
あれ?
でもウチってば、テイムリング持って無いわよ!
ごめんなさいね。
多少の間は私達と同じように歩かなきゃになるわ!」
クドゥルの言葉にバブル・サラマンダーは身体から水や泡を出して喜びを表現していた。
「チャム~~~」
「濡れるじゃないの!
もうヤンチャなんたから」
「うむ。
アレは便利な物だからなボォン!
ここを脱出すれば街で入手するか本部に手配して貰えるよう掛合ってやろうボォー」
と、そこで彼等は気付く。
森の遥か先から木々を抜けて発光している事に。
「あの光!?」
「閃光か?」
「例の光の柱ボゥ!?」
「あの力、例の例なのでは!?」
「やはり天は我らの味方をしてくれるようだね!」
「強烈な光の先には、その正体が居るのが世界の真理!」
「そうと決まれば追いかけろ!!!」
険しい草木を3人と1匹は走るのだった。
「お前の足では遅い。
私が抱えてやろうボォン!」
しかし閃光は、その1度だけだったために見失なってしまい何とか辿り着いた頃には誰も居らず、ゴロゴロと小岩や土砂が移動された痕がある崖路に出ただけだった。
ウィザードの3人と1匹はダンジョンを抜けていた。
◇◇◇◇◇
謎のリッチ改-華-から明かされた真実と依頼を優依は1つ返事で了承した。
しかし道を塞いでいた大岩をリッチが破壊した事で、一様は通行が可能には成ったが竜車や馬車が通れる程の広さは確保されていないため撤去作業が続いていた。
そこにレッドスライムのレッドの声に呼ばれている気がした優依はレッドの飛び跳ねている所までやって来る。
すると岩に下敷きにされていながら丸で逃げ出そうとするように激しく揺れて風を無視して靡いている白色の細長い布があった。
「ん?
何だ、これ?」
「何よコレ?
うわ!?
生きてるっ!!」
優依に隠れるように背後から顔を見せたラウザの、おかげで優依は疲労と冷静さを取り戻せた気がした。
「おぉ。
妖怪‥‥‥‥のなんだっけ?
あぁ、一反木綿だっけか。」
「夭怪でしょ?」
エッヘンと又も物知顔が出来て満足げなラウザに作業をしていたブルー・ナイツのネリピアが疑問をクチにする。
「アヤカシ?
‥‥ですか。」
「そう、小さいモンスターの意味よ!」
ラウザの言葉にアルマリカが通り過がりに答える。
「これは古い呼び方だな。
珍しいが確かアンチ・カーテンと言ったはずだ。」
その言葉に集まって来たブルーナイツの1人の副ギルド・マスターのジュスが意外そうな声を出す。
「ギルマス、カーテンですか?」
「姉さん、細っこいですよ~この可愛いの。」
アルマリカの実妹マクアポスタが岩を持ち上げて確めてみる。
「マフラーっぽいですね。」
男性と見間違える程の美貌のデミナスは人一倍の土砂を平気な顔で運んでいたが通り過ぎ様に感想を言って捨てに去って行った。
優依が端っこ、を掴まみ逆さにブラブラしていると、ぶら下がされた事に小さい一反木綿は事態に遅れて把握したのか逃げようとするが掴まれていたため成功していなかった。
「ふあ!?
ぷぷあぁぁぁぁ!!??」
「濡れてるじゃない。」
ラウザは、それを見て魔法陣を発動させる。
「〈洗浄の二水清流〉
〈乾燥の温風〉」
〈光清潔化〉!!」
洗われ乾燥されて最後に綺麗にせれ放心状態から回復するとニョキっと胴体を上げて優依達をしっかりと確認して自身がキレイになったと分かると目を輝かせて頬を刷り寄せて優依にマフラーのように、くっついてしまう。
それを見たレッドは焦って、そのまま優依の腕を駆け上がろうとするので跳ねた所を優依がキャッチするとレッドの汚れを払ってから頭に乗せてると安心したように鳴き声を上げてフードの中へと戻って行った。
「なんなんだ?」
「まぁっ!
害も無さそうだし仲間的にもパーティー的にも増えて良かったんじゃない?」
「ユっユ、ユウイさん、後で私にも触られてくれませんか??」
「ああ、あぁ。
コイツが嫌がらないならな。」
「あ、ありがとうございます。」
ネリピアの勢いと迫力に押されて引き気味に了承しているとアルマリカに勅使なめられていた。
「テイムはどうするの?」
「今は無理そうだし、それに疲れたかな。
早く向かうためにも道を広げないといけないだろ?」
「良ければ私の回復魔法、掛けましょうか?」
アルマリカが優依に近寄ったのも見てラウザが不機嫌に邪魔をしようとして不意に顔を崖に向ける。
「!?
あそこ!
風の音、穴があるじゃないの!!」
「何っ!?
あの大きさ‥‥‥岩が有った場所だろう!
まさかアソコからリッチが出て来たのかも知れない!
皆ッ、いくぞ!!」
女の顔からギルドマスターの顔に切り替わると風属性魔法の使い手であるジュス達に運んでもらいブルーナイツの面々は斜面を登らずに空洞地点に到着する。
即座の行動と優依を休ませようと考えていたアルマリカの配慮で置いてけぼりにされてしまった優依達だったが優依がラウザをお姫様抱っこして空宙を足場に数秒の遅れで辿り着いていた。
「あ、ありがとう。
‥‥‥‥もう下ろして。」
塩らしく機嫌の良くなったラウザを余所に優依は首を傾げてブルーナイツと合流する。
各々が馬車から予備を装備し直した剣を抜刀して穴の内部に入る、優依も遅れて警戒すると腰のナイフかバッグの鉄パイプか悩み素手にスタンガンを準備してラウザを確認してから続くのだった。
崖の上部に、ぽっかり空いた穴の中は人が手を加えた研究室のように成っていた。
様子からリッチが保管されていた洞穴と言う予想は概ね辺りのようだ。
ブルーナイツの1人が生活魔法のトーチ、明かり魔法を発動させると割れた空の水槽、天井からの雨水の水滴で窪みのある机。
そして、そのテーブルの上には資料等が散乱していたが等身大の手首だけのディスプレイ・スタンドが、一際に異彩を放っていた。
1週間連続投稿、明日がラスト!