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#16ノ巻

二回目

 あれから1日が経ち馬車での移動で、お尻が痛くなってきた頃。

もう少しもすれば目的地の貿易都市が見えてくる距離に、いよいよと、なっていた。

それなりに商隊のメンバーと打ち解けてきた中で優依も会話に入っていた。


「赤いスライムですね!

珍しいです!!」

 おさげ、に雀卵斑(ソバカス)、簡易の御揃いの甲冑を着ているネリピアの手の平で照れるように揺れるスライムのレッドは可愛く相槌のように鳴いては女性のみで構成されているブルーナイツのメンバーに撫でられていた。


「‥‥‥アンタもテイマーなのか?」


「いえ、ワタシ達は馬に乗って戦う騎士なので、敢えて名乗るなら馬限定のテイマーですかね?」


「そうか。

‥‥‥‥‥なら育成って言うかテイム相手との生活での苦労とか気を付けた方がいい事とか聞いてもいいか?」


「は、はいっ!

私なんかで役に立てるなら何でも!!」

 その大声に竜車の護衛で先頭にいたギルド・リーダーのアルマリカが微笑んだ。


 所変わって竜車から少し後方の馬車ではラウザとマーメイドテイル商会の代表である会長のクリリームンに、とある話をするために迫っていた。


「ねぇ?

アイスの事なんだけどね!

盗賊が盗んだのを、あっ!

盗まれたとは知らずに貰って食べたんだけど、それが凄~く美味しくてね!」


「それは、それは有難うございます。

当商会自慢の秘密の新商品でございますから。」


「そうなの!?

まだ発売してないって事!?」


「そうですね。

数年前に出会った御抱えの商品開発者のアイデアが最新の錬金術技術で作る事が可能になり、やっとレシピ通りに再現が成ったばかりの我が商会だけの極秘の新作ですからね!」


「へー!

って、なら~あの(とろ)ける感じとシャリシャリの左右で違うのも、その新技術なんだ!」


「はい?

そ‥う…です…ね?

そんなのでしたかな。

良ければ、しっかりと保管されている物を召し上がりますか?」


「えっ!?

いいの?

なんか催促したみたいになっちゃって悪いわね。」


「いえいえ。

では此をどうぞ!」

 水魔法や魔法道具、氷の魔石で冷凍保存された特製の荷馬車から運ばれて来たカップのアイスクリームを手に取り同封のピンクのスプーンを刺そうとしてラウザは憤る事になる。


「何よコレ!?

カチカチじゃない!!

私が食べたのは、もっとフワフワでクチに入れたらミルクの薫りがスゥーときて直ぐに溶けたわよ!

それに反対の方はシャリシャリで少し硬い位の塩梅(対比)が良かったのに何よコレぇ!!!」


「えーーーーーーー!?

は、えっと、それは、えっと、その。

えぇ!?

それは恐らく盗めれてポケット中などで溶けてしまい中途半端な状態で食されたからでは……………あぁ!!

いえ、そんな食べ方が有るなんて考えもしませんでした。

詳しく御聞かせ願えますか!

ぜひ教えて下さい。」

 クリリームンも知らない、考えも浮かばなかった、その食べ方に商機を見出だすと逃がしまいとラウザの体験を詳しく聞こうと、これまで様子を伺いタイミングを図っていたラウザと入れ替わるように反対に、しつこく迫り始めようと目は商人の目に変わりギラギラとしていた。


「!?

急にどしたのよ?

でもそうね!

技法って言うのかしら?

私は高いわね。

アイデア料、弾みなさいよね?」

 ファラっと払った髪を靡かせながらラウザは馬車の中で決めポーズを取った。

小石を乗り上げたのか馬車が1度揺れてしまい良い所でカッコが付かないラウザなのだった。


◇◇◇◇◇

 行商人のクリリームンとブルーナイツに同行している優依達はソネアトーン・ネルカン交易都市へと目前の距離にして立ち往生を余儀無くされて足止めを食らう事になっていた。

理由は崖路の崩落で道が岩で埋まり塞がってしまったからだ。

同じように立ち往生していた商人等が撤去作業をしていたので優依達も手伝いをしていた。


「ここ数日、この辺りは雨が降っていてね。

特に昨日の深夜から朝方まで降った雨で地盤が酷く緩んでしまったみたいなんだと。

って獣人(ビースト)(あん)ちゃん、細っこいのに凄いね」

 一時的に筋肉やツボを電流で刺激して更に脳にも流す事で脳を騙して火事場のバカチカラをコントロールする(すべ)を身に付けている優依をクリリームンとは別の地元民の商人から帽子とフードの耳付きの形状から勘違いをされていた。

そして訂正もせずにクチ数も少ないのと相槌くらいしか返さない優依のために勘違いはそのまま勘違いされ続けていた。


 最初、優依は崩落(なだれ)と知って素直に納得すると撤去作業には参加していなかった。

マーメイドテイルのクリリームンは自分の従業員を作業に向かわせ、警備のブルーナイツも数人が作業に回っていたと言うのも有るだろう。

尚且、他の行商人らも同じように人手を動かしている中で優依は自分まで手伝うのは面倒臭いし人が、ごちゃごちゃしても嫌だと思ったからだった。

クリリームンに誘われティータイムを過ごしているとラウザが魔力も溜まったし行ってるも言い出たので、ここで足止れてから其なりに成るのかと何となく優依も手伝いに出るのだった。

それに続くように馬車は空になっていた。


「ヨイショ!

でも、これまでこんな大きな岩が落っこちて来るなんてのは無かったってのにね~」


「そうですね

私も始めて遭遇しましたよ」

 袖を捲り同じように撤去作業に本格参戦しているのはクリリームンその人、本人だった。


「なんだい!

オイちゃん、良い歳して高そうな格好してからにっ、ワシらと同じ輸送担当かい!

おうっ!?」

 そこに怒号を響かせ水を含んだ土砂が流れ落ちてくる。

幸いにも被害は0人だったが撤去作業はイチから遣り直しだ。


「又、始めっからだぁよ!」

 麦わら帽子の田舎(むら)商人は呆れと怒りを岩石に向けている所に満を持してラウザが登場する。


「困ってるみたいね!

私の魔法で退かしてあげましょうか!!

えっへん、1発よ。

1発!」

 ふんすっと鼻息を1つ吐いて胸を張ると馬車に魔力回復に戻っていたラウザが可憐に大岩の前に立ち睨みを利かせた。


◇◇◇◇◇

 落石で道が塞がれ土砂が落ちてきた事で完全にソネアトーン交易都市に続く道は土砂に埋もれていた。

見えなくなった反対側に居た者の声も僅かにしか届かなくなってしまっていた。

現場の雰囲気は盛り下がっていく、一方でラウザの性格が持たらす天性から成る空気クラッシャーがココでも発動されて破壊されると場の雰囲気は1発で、一掃され和まされるのだった。


 ラウザ本人は真剣に、そして偶々、その瞬間に馬車から降りて本音からの言葉(ひとこと)を言っただけなので笑われてプリプリしていた、その時だった!

地面に広がり散らばっていた無数の水溜まりの1つに丁度、骨の指や手に見える水溜(みずたまり)が合った。

その水溜から人骨の手が浮き上がり出てくるように体現すると、その水は本物の骨と成り変わると水溜、その物の自体が消えてしまう。

他の水溜が吸い寄せられて人骨の手に集まると見る見るうちに実体を持つ1体の骸骨になっていた。


 何処から途もなく風に吹かれて舞い落ちてきたローブを掴むと羽織り息をするように体を前後されると谷を塞いでいた巨大岩石に歩いて近づくと意図も容易く粉砕していた。

その轟音で反対側から姿を表すように優依達に、ローブ1枚を着ているだけの骸骨が姿を見せるのだった。


 土煙が漂い湿気でホンの少しの霧が周囲の足元を覆い始める。

土煙が晴れても現状を把握仕切れずとも()れど臨戦態勢を取っていた優依は行商人たちの前に出ていた。

しかし、どうすれば良いのか当然のように分かっていなかった。


「あのドクロ、なん(なん)だ!

敵、味方か?」

 反対側の作業メンバーなのかと異世界なので骨の人間も居るのではと優依は考えていたからだ。

優依の率直な疑問にラウザは遅れて必死に答えていた。


「‥‥‥‥そっ、そんなモン、敵に決まってるじゃない!!」


「優依さま!

あれはスケルトン、もしくはリッチでございます!

手練れの貴方でも御気を付け下さい!!

 クリリームンの解説にファンタジーやアニメ等の知識に乏しい優依は思わず感想を溢す。


「リッチ?

何、金持ちなのアレ」


「はぁ!?

こんな時に巫山戯(ふざけ)てる場合!?

死して尚、魔法と魔力で生きている強大な魔法使いを謳う私達、神仕を真っ向からバカにしてる陰険でマヌケなヌケサクよ!!」


「小学生か!

って違うのかよ。」

 言いながら優依はリッチへと走り出していた。

優依を先頭にブルーナイツの面々も馬には乗って居ないが走って付いて来ていた。


「ユウイさん。

騎士は馬が無くとも戦えるのです!!

我々も、お供させて下さい!」

 アルマリカの声に優依は、一言短く〝あぁ〟と答えながら突き進むと未知の相手であるリッチに1発を入れていた。

しかしその拳は骨のみで構成される手の平で受け止められてしまい失敗に終わっていた。

そして遅れて魔力で作った長い杖を作るとそれを振るって魔法弾を射ち出し間一髪で優依は避けるのだった。


「これは完全にリッチだ。

リッチーやワイトとも言いますが只の骨のモンスターのはず!?

魔法使いのクセに白兵戦も(こな)す等、聞いた事もない!?」

 アルマリカの言葉は疑問であり答えを求めてのモノでは無かった。

のだが今回はそれに回答が反ってくる。


{{そこらの有象無象のリッチと同じ次元で語られたくは無いなぁ~!

言わば我輩はリッチの進化系!

究極の位置にあるリッチ改-華()-なのだよ!!}}


「なに喋っただと!?」

 それも本人足るリッチからとは予想も付かず驚きよりも震えが先に肌に出てしまっていた。


「え、なに?

喋るの珍しいの………ほーん。

ゲットしてみるか?」


「アンタ正気!?」

 ラウザのツッコミが谷間に響く頃には優依はリングを嵌めている右拳を握り静電気を貯めるとリッチに勢い任せに向かうと魔力弾を掻い潜り腕を翳すと魔力のパスを注して繋げていて既に始めていたのた。

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サイトnoteにて開催されていたコンテストに作者本人が応募した作品になります。決して無断転載や盗作では御座いません。 両サイトnote、なろうで注意事項や連絡確認済みです。 https://note.com/4869_joker555/n/nc064a437bb93?sub_rt=share_pw この作品はフィクションです。 実在の人物・団体・事件・災害・国家・歴史・時代とは一切関係がありません。
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