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#14ノ巻

二回目

 街道に沿って進んでいたはずの優依達は森の中に迷い込んでいた。


「通り雨だったみたいね。

よいしょっ!

この果物は問題ないはずよ。

多分‥‥でも何か有ったら、その時は魔法(スキル)で治したげるから、任せて!」

 雨宿りに、それなりの時間を覚悟したラウザは江戸に()っていたフルーツを、もぎ取り自分と優依、スライムのレッドの分を各々(それぞれ)に渡して悪気れずに宣言していた。


「ったく相変わらず適当で不安だな。

おーそういやぁ。

お前なんで服、着替えてんの?」


「なによ?

私に興味深々ねぇ~、オシャレに決まってるじゃない!

それに衛生と清潔の観点から野山じゃ死活問題よ。

死ぬわよ!」


「ふーん。」


「って何よ!!

そっちから聞いといて!?

まさかアンタ!?

毎日同じのでいる気?

ユウイのにもカバンに入れて有るから数は少ないけど数日は着替えなさい!」


「上着と帽子は?」


「それはッ!

着てなさい。

私もジャケット(これ)形見(だいじ)だから…………。

魔法で綺麗には出来るけど、やっぱり実際に手で洗った物の方が着たときに気持ち良いでしょ?」


「コレか、分かったよ。」

 バックから取り出しながら肌着を脱いで脱いだ服装を地面に置くのは憚られ木の枝に掛けようか悩んでいるとラウザが手を出して無言で受けとる。


「全~部!

里、特製の特別な電撃仕様なんだから!!

感謝してよね!」

 言いながらラウザは優依の上半身の素肌(キズあと)を見て()らしそうになって、その痛ましさと愛おしさを感じて手を伸ばして触れようとして悪臭が風向きに乗ってやって来て腐臭が漂い始めている事に気付いて首を動かす。


「うっせぇ~な、分かってるって。」


「ユウイっ!

‥‥アンデッド!?

腐死者(ゾンビ)、亡者よ!!」

 突然の事で優依はズボンを脱いでる途中で踏んでしまって転けてしまう。

ゾンビ呻き声を上げながら優依達にお構い無しに目掛けて向かっている。


「もう、何やってんの!?

早くしてよね!」

 牽制でラウザは光の(リボン)をゾンビの周囲に魔法陣を展開して拘束させて足止めをする。


「急かすな!!」


「触っちゃ駄目だからね!

ゾンビの瘴気も吸っちゃ駄目よ!!」


「はぁ!?

うおっと!!」


『どうしろってんだ。

地面越しに?

無理だ、背中に周り込んで、今だ!』


「スタンガン(中)!

マジかよ?……………スタンガン強ぉぉぉお!!

コイツっ、効かねぇ~んだけど。」

 攻撃を(かわ)し続けながら、それでいて触れずに手を近付けては電気ショックを当てるも動きやダメージの変化は見受けられない。

スライムのレッドも優依と、一緒になって粘液の糸をゾンビに吹き掛けていたが、やはり効果は薄いようだった。


「大丈夫!

2人共ありがとう。

設置魔法陣(しかけ)の上に乗った…………行くわよ!

はぁぁぁぁ!!

不浄の死魂(ストレイ・ピティフル)よ、今こそ眠りなさい。

天浄昇化(ターンアンデッド)ッ!!

残らず土に返るのです!!」

 (ちり)や灰の山になって崩れ服装やタグが落ちる。

ラウザはタグを拾って表記されている名前を確認する。


「‥‥スタンリー………冒険者だったみたい。

かなり古いわね、500年前の物みたい。」


「冒険者?

‥‥‥あぁ、なんかモンスター駆除とかするって言ってた奴か。」


「何で忘れてんの?

これからアンタも成るんでしょ?

しっかりしてよね。

それより、こっちに来なさい早くっ!

我らから悪と穢れを祓いたまえっ聖潔清廉浄化(ピュア・オーラ)の心魂と身体(クリンミネンス)!!

あとは‥‥‥かの地に陽光(たいよう)金色(きん)の、一差しを、一帯に与えたまえ。

善良なる聖光の(センクチュアリー)展開領域(・デルタゾーン)!!」


(なに)したんだよ?」

 服越しに触ったりして確認する優依を尻目にラウザは完了♡行くわよっと言いながら解説をして優依に教えていた。


「最初のは私達をゾンビの瘴気や負のエネルギー(なん)か、からキレイにする霊験(れいげん)(あらた)かな高貴な魔法ね。

次のは清め払ったゾンビと、その周囲に散らばった穢れとかを清めて、そうね1年くらいは再発を抑える霊験──」


「そうか、もう分かった。」


「ちょっと最後まで聞きなさいよね!!」

 言い合いながら優依はラウザが先程、もぎ取った果物を今度こそ覚悟すると服で黒色のリンゴのような果物を拭いてから食べる。

感想をクチにしては、一行はやっと森を出て抜けた場所に進めていた。


「おん。

(見た目にしては)うまいな‥‥‥。」


「確かに美味しいわね!

けどルルミ(の実)には劣るかしらね」

 外灯や並木道に石畳で整備されている、しっかりとした街道に出ると目的地が近い事を予感させる。

進む事、少しすると分かれ道に差し掛かりラウザは近くから小枝を拾ってくると、パッと放して小枝の転がって示す方向(ほうがく)に向けてグングンと有無を言わさず歩き出す。


「いいのかコレ?」


「ぷぅ~いぃ??」


「だよな。」


「なにクッチャべってんの?

お腹痛くなってないでしょ??

ほら行くわよ!」


◇◇◇◇◇

 隠れ里を出発してから2日目の昼頃、優依たちは1メートルを越える蛾モンスターの群れに襲われていた。


「うげっ、気持ち悪い。」


「危ねぇ、木の裏にでも逃げてろ!!」


「でも燃えたモンスターを水で消火(しょうか)しないと怒られるわよ!」

 森や山に炎が燃え広がり山火事になると周辺の都市や最悪国からの賠償や罪で捕まり兼ねない。

近隣の貿易都市に居を構える冒険者ギルドに追われる身になるかもとラウザは飛び逃れる蛾から、ぶつからないようにと腰を落として怖がりつつも通常(ノーマル)属魔法技(タイプ)の1種、生活魔法のウォーターを必死に何度も発射していた。


「後でやれよ!

攻撃当たりそうで怖いんだよ」

 優依の特異能の数少ない技、スタンガンを蛾のモンスターに当てると燃えたため、それから既に20匹以上を倒しては足元には燃え尽きて水で消した死骸が転がっている。

無軌道に何匹もの蛾が空中を飛んでいるため優依は安易に宙に跳び出せず地面から苦戦を強いられていた。


「巣を()つく奴があるかよ!!

クソっ、舌が痺れてきた。」


「だからぁ~

わざとじゃないって言ってるでしょ~」


「お前ほんと、いい加減しろよぉ!!

オラァ!

コレで最後だぁ!!」


「‥‥‥でも‥‥そのおかげで、この子は無事(ぶじ)でしょ?」

 ラウザの両の手には包帯が巻かれ眠っている仔馬がいた。


「偶然じゃねぇ~かよ。

おうっ!?

まだ生きてた‥‥‥‥ふぅ。

スタンガン!」


「あっ!?

この子、首輪があるから飼われてるのね。

でもこの辺には目的の貿易都市位しか無いし?

そこに向かってる旅の行商隊とかが連れてる子が迷子になったのね多分。

見つけて渡しに行かなきゃよね!

違う?」


「はぁ。

面倒(めんど)いけど、そうだな。」

 飛んで逃げ惑う蛾、相手に苦戦した優依は疲れて腰を落として座り込んでしまう。

そこで優依は自身の衣服が鱗粉で大量に汚れている事に気付き額に手をやる。


 数分後もしない内に優依達の前に商人の1人で馬係だと言う男が現れた。

男は仔馬を助けてくれた御礼にと自分達の馬車に招待したいと言い始め、同行するなら町にも着けるだろうとラウザが了承すると彼は食事を、ご馳走したいと笑顔で再度、礼になるだろうかと溢すのだった。

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