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安物ぱんつの銭失い?!

 「単品だと1000円近くするんだけどね、5枚セットだと1280円とか…、すごく安いんだ。」

「……なんか、紳士服みたいだね。原価いくらなんだろう?」


 操はようやく、安心と納得が得られたらしい。

 これこそが、僕らの外交努力。


 彼女は、オープンクロッチを取り出しては広げてみて、その過激なデザインを楽しんでいた。


 ……………


 僕は、黒のレースのオープンクロッチ紐ぱんの上から、黒のハイキニショーツを穿く。


「……やっぱり、ガーターベルトの()()()穿くものなんだね。」


 彼女はまだ、ガーターベルトの経験がないらしい。

 豊満なスタイルの彼女だ、きっと似合うことだろう……。

 いずれ、着せてみたいと密かに思っていたのだ。


「トイレ行く時、この方が便利だからね。」


 …ちなみに、最初は……性行為の時にガーターだけ着けて交わるためだと思っていたのだが、そのスタイルで交わるのはいわゆるプロの人だけらしい、という情報を得てから少々…ロマンが薄らいでしまっていた。それも、本当かどうかわからないのだけれど……。


 何事も、知りすぎるというのは良くないのかもしれない。


「……で、最後にこれを着て……。」


 最後に、丈の短めの黒いスリップを広げて、いつものように前後を確かめ、足元に降ろして、足を通して履くように身体を包んでいく。

 胸まで覆ったら、肩紐に腕を左右通して、一度指で摘んで肩紐の捻じれを取る。

 それから、黒のブラストラップを取り出し、スリップの肩紐を胸元で左右連結する。


「あ、ずり落ち防止ストラップ?」

「うん」


 ブラはそうでもないのだが、キャミソールやスリップの肩紐は、男の体型の僕にはあまり馴染みが良くなく、結構な頻度で肩から腕の方へずり落ちてきてしまうのだ。

 そこで、いろいろ探してみると、ブラストラップのずり落ち防止用の補助ストラップというものがあることがわかった。

 まさに求めていたものを見つけて、色違いで6本ほど揃えたのだ。まとめて買ったらこれも安かった。6本セットで800円ほどだった。


「あれ、でもこれ背中側に着けるんじゃないの?」

「……あ、そういえばそうだよね」


 その事は知っていたのだが、背中側のストラップに補助ストラップを付ける作業は僕にはかなり難しく、しかも着けると今度は外すのも大変という二重苦が待っていた。

 そのため、これに関しては妥協して、普段から胸の前側に装着していたのだった。

 ずっとそうしていたため、セオリーから外れていることを忘れていたのだ。


「着けにくくて、……ずっと前側につけてたから、忘れてたよ。」

「ふぅん?らしくないね……。」


 確かに。

 ここまで散々、過剰なこだわりを見せてきたのに、これに関しては随分と()()()()()()付け方をしていると、自分でも改めて思う。


 でも、これには訳があるのだ。

 外しにくい、これも大きな要因ではある。


 だが、一番気にしていたのは、ブラの装着が外部から視認できてしまうことだった。


 そのため、よほどのことがないと、()()()()()()()()は装着する機会に恵まれない。

 僕が、スポブラばかり着けているのは、実はそういった理由もあるのだ。


 スリップの紐はアウターに響きにくく凹凸も控えめで、それほど気にするものでもなかった。

 しかし、補助ストラップは背中でばっちり凹凸が見えてしまうのである。

 これには、非常に悩んだ。

 最終的に、胸前で留めると、アウターに響きにくいという事がわかって、それ以来この着け方なのだ。


「ブラ着けるのも大変なんだね……。」


 彼女は、なぜか神妙な感じで納得していた。

 ……人に心配させるようなことでもないのだけれど。


「だから、近所じゃなく…遠くに出張するときにだけ、ちゃんとしたブラは着けるようにしてるんだ…。」


 スポブラがちゃんとしてないブラ、というわけではないのだが、他に例えが見つからなかった。


「なーるほど……。じゃあ、今日は大丈夫なんだよね?」

「…まあ、そうなるね。」


 すると(みさお)は、僕の着けた補助ストラップを外した。


「うん?どうしたの?」


 彼女に尋ねると、


「せっかくだから、ちゃんとした付け方しようよ、ほとんどした事無いんでしょ…?」


 そう言って彼女は、僕の背中側に回って、スリップの肩紐に改めて補助ストラップを装着してくれた。

 そして、左右をきゅっと絞って固定していく。


「きつくない?」

 彼女が尋ねる。

「う、うん…」

 一度、肩紐を指で引いてみて、締め付け具合を確認する。

「大丈夫みたい。」


 彼女は正面に回る。

「うん、この方が胸元がスッキリしてていいよ。」

「……あ、ありがと。」


 まさか、彼女にフィッティングを手伝ってもらえるとは……。

 色んな経験が増えていく。

 望むことさえ叶わなかった喜びが、また一つ……。


「これで…、一応完成…かな。」


 そう言って僕は、軽く両手を広げてみせた。

 彼女はそれを見て、うんうんとうなずいている。


 そして……、おもむろに僕の足元にしゃがみ込み、スリップの裾をぴらりとめくってぱんつを見ている。


「えっちぃね~むふふふ…♪」


 おっさんか…

 僕は、思わず苦笑した。


 …………………


 出発前に、彼女も着替えて、旅先用の着替えもカバンに詰め込んでいた。

 その間に僕は、お湯を沸かして保温ポットに充填しておく。


 移動中にお茶が飲めるというのは、とても幸せなことなのだ。

 運転中に差し出してくれる一杯の、なんと嬉しいことか。

 彼女と付き合ってから、そのことがしみじみと感じられた。


 ペットボトルのお茶や缶コーヒーでもいいのだが、普段家で飲んでいるインスタントコーヒーと急須のお茶に慣れてしまっているため、買ったお茶などはどうも物足りなく感じてしまうのだ。手間がかかる話ではあるが、お金の節約にもなっているので、二人の間ではこれがいつものやり方だった。


 お湯を沸かしながら、ちらりと操の様子を見ると、ちょうど下着姿になっていた。


 ふむ……、今日の操は桃色の下着か。

 ブラはフルカップの4列ホック、かなり大きいものだ。

 ぱんつは……、いつものコットンぱんつだな。


 ブラに関しては、ワイヤーが苦手でノンワイヤーのものを好んで選んでいると言っていた。


 ──その気持ちは僕もわかる。


 最初はそうでもないが、長時間つけているとカップ下のワイヤーが肌に食い込んで着けているのがつらくなってくることもあるのだ。

 特に女性の場合は、僕と違って趣味で着けているわけではない、毎日着けることを余儀なくされているのだ。なるべく快適なものを選びたいというのが本音だろう。


 しかし、下着にはシルエットを美しく見せるという役目もある。そのため多くのブラは使用感が低下するのを承知でワイヤーを入れているのである。


 ブラも、本当に多種多様だ。

 それだけで何冊も本が書けてしまうほどの歴史と文化、変遷と制作の裏側など…。

 上げればきりがないほどの要素が詰め込まれているのだ。


 なぜ男がこれを身につける世界にならなかったのか、それは分からないが、そうであったなら、もう少し快適なブラが誕生していたかもしれない。

 ブラジャーというものが女性にだけ使われるというのは、ある意味で大いなる損失なのかもしれないと僕は思っている。


 ふと、操の姿を見ながら考える。


 ………

 彼女は嫌がるだろうか…?


 ──抵抗っていうか…、

 あたし天音(あまね)の着たものだったら、全然平気よ?──


 彼女を信じてみようか。

 ……そう思い立ち、僕は…もう一度クローゼットの部屋へと足を運んだ。


 ─────


 火の元、よし。

 戸締まり、よし。

 水道の水抜き、よし。 

 鶏さんの食べ物、よし。


「うん、おっけーかな。」

「こっちも、おっけー。」


 家の、戸締まり諸々を済ませ、僕たちは車に乗り込む。

 ばたん。


 さて…と。

 お出かけ前の、このワクワクする感じはいくつになっても堪らない。

 車のキーを回して、エンジンを掛ける。


「じゃあ、しゅぱーつ。」

「しゅっぱ~つ!」


 二人で声をかけて、車を動かし始めた。


 家の敷地を出ようとしたところで、向かいの畑で作業をしているお隣さんが目に入った。


「おはようございます。」

 運転席の窓を開けて、挨拶をする。


「おや、朝早くからお出かけかい?二人揃って。」

 笑いながら、声を返してくれたのは、隣で農家を営んでいる志部谷(しぶや)さん。僕の田舎暮らしのアドバイスをくれている人だ。


「はい、明日の夜まで留守にしますので、……すみませんがよろしくお願いします。卵産んでたら、食べちゃってください。」


 鶏の卵は毎日回収しないと具合が悪いものなのだ。そのため、留守にする時はひと声かけて、お隣さんに食べてもらっている。


「ああ、心配いらないよ。気をつけて行っておいで~。」

「ありがとうございます。」

「いってきま~す。」


 志部谷さんに見送られて、僕たちは出発した。


 ……………


 少し山を下って、国道に出る。

「北まわりルートでいいよね?」

「うん、いつもの通りのほうが、安心だし。」

 簡単にルートについて意思相通をしてから、国道を北側に向けて進路を取る。


 走り出して、すぐ右手に鳥海山の山容が目に入った。

 山の上の方は、もう色づき始めている。


「もう少しで、雪が降り始める季節だね~」

「早いもんだね…。」


 年々、時間がたつのが早く感じる。

 人の一生なんてあっという間というのが、なんとなく理解できてしまうような、時の流れの速さだ。


 僕たちの住む遊佐町を抜け、すぐに秋田県に差し掛かる。

 走っていると、大きな風力発電の風車がいくつも見えてくる。

 初めてみた時は、その圧倒的な大きさに驚いたものだが、今では日常の風景だ。


 少し走って、いつものコンビニが見えてくる。

「寄る?」

「ううん、いらない。」


 長距離を走る前に、なにか欲しい物やトイレ休憩が必要かと思い聞いてみたが、今は必要ないようだ。


 コンビニの脇を入って、少し細い脇道を走る。

 竹林がいくつも見えてくる。


 竹林に憧れているのだが、誰に聞いてもそんなにいいものじゃない、という答えしか帰ってこないため、今は我慢しているのだが、いずれ竹を使ったあれこれも始めてみたいと思っていた。 


 10分ほど走ると、自動車道の標識が見えてくる。

「さて…、乗っちゃうよ?」

「どうぞ~♪」


 ここは象潟インター。

 現状では、日本海東北自動車道で唯一開通していない区間の終点となるところである。


「なんでこんなに時間かかってるんだろうね~?」

「なんでだろうなぁ…。」


 こっちに引っ越す前から、他の区間は早々と開通していたのに、ここだけは遅々として工事が進んでいなかった。

 道路というのは全線開通しないと利便性がいまいちだということがよく分かる。

 特にここは、国道との接続も悪く、非常に使いにくい区間になっているのだ。


 高速道に乗って、少しリラックスする。

 彼女が、車のオーディオにスマホを繋いで音楽を流し始めた。


「そういえばさ……。」


 彼女がそう言って、車の後部を振り返る。

 僕の車はフリードFLEX。

 マイナーチェンジで消滅した、少しレアなモデルだ。

 全席2つ以外は取り払っており、後部は広大だ。

 そこには床を少し嵩上げして作ったベッドと、布団が積み込まれ、他にも2日分の着替えや行動食、湯沸かし用のストーブと鍋なども積まれている。


「さっき、ぱんつ詰め込んでたよね?」


 見てたのか、目ざといなぁ。


「あれ、天音穿くやつ…じゃないよね?」

「うん、…なんでわかるの?」


 彼女はくすくすと笑って、

「だって……、さっきのぱんつローテーションの表に無いような色のばっかりだったもん。」


 あ、なるほど。


「もし、旅館とかに泊まるんだったら……、部屋で着てみてもらおうかな…、って。」

「わざわざ、旅館で~?」


 彼女は、あははは、と愉快そうに笑った。


「僕にとってのぱんつって、日常と非日常を切り替えるツールみたいなとこがあってね…。家でだと、なんか日常に非日常が漏れ出してきてるみたいで…。どうなのかなって。」


 彼女は、そういうものかしら?と、不思議そうに聞いている。


「それに、…もし、しっくり来るものがあったら、操にあげようかな、って。それには…、ちょっと穿いてみるだけじゃなくて、いくらかでも穿いて行動してみるのがいいと思うんだ。実用的じゃなかったら、あんまり意味ないような気もするし……。」


「え、くれるの?なんで~?天音穿いたらいいじゃない?」


 操はますます不思議そうに聞いてくる。


「うん…、あのね…。ちょっと、廃品活用みたいで申し訳ないとは思ったんだけど……。そのまま捨てるのが、ちょっと抵抗があって…。」

「……?」


 今回持ってきたのは、いわゆるお蔵入りとなってしまった、僕が穿けなかったぱんつたちなのだ。主に、最初の頃に買ったものが多く、サイズがフリーサイズだったりLLだったり、3Lでも小さくて無理だったものもあるのだ。   

 最近では、デザイン先行で選ぶのは諦めているので、めったにないのだが、最初の頃は結構失敗していたのだ。

 その代わり、デザインが気に入って買ったものばかりだったので、そのまま捨てるのも忍びないほど気に入っているものもある。なんとか、日の目を見せてやりたいという思いが僕にはあったのだ。


「だから…、嫌だったらいいんだ、これは。」

 僕が、申し訳ない思いで、そう言うと彼女は、


「そんなことないよ?もったいないじゃない、せっかく買ったのに。結構な金額でしょ?」


 まぁ、財布が傷むほどではないけれど、もったいないのは確かだ。


「……ねぇ、どこか車止められる所ある?」

「ん?もうちょっと走れば、西目PAがあるけど…?」


 じゃあ、そこ入って止めて、と彼女が申し入れた。

 何をするつもりだろう、トイレ…というわけではなさそうだが。


 程なく見えてきたPAに車を入れ、端っこの方に止めてエンジンを切る。

 相変わらず殺風景なPAで、辛うじて小さなトイレと自販機が置いてあるだけだ。駐車場には、大型トラックが駐車場の反対側の端に一台停まっているだけだった。

 車が停まると彼女はシートベルトを外して、座席の後ろへ身体を潜り込ませていった。そして、サイドとリアのカーテンをさっと閉める。


「天音もこっち来てよ♪」


 操が僕を後部へ誘う。

 それに従って、後部へ移動すると、彼女は前席を隔てるカーテンもさっと引いてしまった。それだけで、外部の視線をすべて遮る、即席の密室が出来上がってしまう。


 ……走るラブホテル。

 そういう呼び方をする人がいるのも、うなずける。

 視線を遮っただけなのに、二人でいるとそういう気分が湧き上がってきてしまいそうになる。


 最小限の照明をつけて、彼女がズボンを脱ぎ始めた。

 ……世の中ではズボンではなくパンツと呼べ、と言われるらしいが、僕の中ではぱんつはぱんつなのだ。


「えーと……。」

 彼女が、僕の衣装ケースをごそごそと、探る。

「これだよね?」

 袋に詰まったぱんつを取り出す。

「うん。」


 彼女は早速、その袋を開けて中から色々なぱんつを取り出し始めた。


「……え、ここで穿くの?!」


 僕が驚いて尋ねると、


「だって、旅館に泊まるかどうか…まだ分からないでしょ?それに、色々穿いてみるなら、もう今から穿かないと全部試せないよ?」


 ずいぶんやる気だ。

 そこまで協力的になってくれるとは……。

 実は操も、結構なぱんつマニアなのでは…?


「違います」

 あっさり否定される。


「……でも、興味あるのは本当。なんか、天音だけそんな過激なの着てるのがずるいって思っちゃって。」


 そう言って、ふふふっ、と笑った。

 走り出して既に忘れていたが、そういえば僕も色々着てたんだった。


「うーん、これは…実用的じゃないわよね…。」

 手に取ったのは、全面レースで布面積も極小さいもの。

 流石にこれは、今穿くものではないかもしれない。


「……なにこれ?」

 次に手に持ったのは、腰の周りだけ布があって、股間のクロッチ部分の布がばっさり省略されているもの。オープンクロッチの一種だが、これは紐ぱん仕様ではなかったため、残念ながら穿くことができなかったものだ。フリーサイズの落とし穴にはまっていた頃に、この手のものは結構掴まされてしまった。


「結構…、失敗もしてたのね…。」


 値段が安いものばかりを選んでいるのに、デザインでは妥協ができず…結果的にサイズで妥協して、多くの失敗をしていた時期だった。


 最終的に、サイズから選ばないと被害(金銭の)が拡大するということが身に染みて理解できてから、失敗することはなくなったのだが……。

 美しいものに憧れて踏み込んだ世界だ、デザインで妥協するのにとても抵抗があったのを覚えている。

 経費を最小限に抑えながら、いろいろもがいていた頃でもあったのを思い出す。


「なんか、束になって出てきたんだけど……。」

 あーこれは……。

 6枚セットで1,200円とか、8枚セットで1,600円とか、とにかく安いものを買って試していた時の物だ。物はそれほど悪くなかったんだけど、やはりサイズが中途半端で、まともに穿けたものはなかった。


「中には、おまかせ20枚で2,000円とか…いうのもあったりしてね。」

「一枚100円って…。バーゲンセールでも見ないわよそんなの。」


 もう、本当に何が入ってくるかわからないような有様で、

「ぱんつガチャ、って僕は呼んでた。」

「……なに、その射幸心煽りそうな名前は…。」

 操が呆れていた。


 そうして、色々と選んでいると、その中の一つに彼女は目をつけた。

「あ…、これけっこう物がいいね。」


 さすが、お目が高い。


「これね、かなりデザインが気に入ってたんだけど…、やっぱり僕には小さくてね。」


 泣く泣く諦めたものだ。値段は600円ほどで、安かったが縫製もしっかりしており、何より色とデザインが秀逸だったのだ。

 黒地のボックス型レースに、前身頃の部分に紫のあて布をあしらって、かなりローライズの穿き込み。腰の部分には重ね履きを思わせる、細い紐状のゴムが左右からクロスするように付けられていて、腰周りの景色を妖艶に飾り立てている。前身頃には大きめのリボンもあしらってある。


「じゃあ、これ穿いてみようかな。」

 操は乗り気だ。

 普段なら選ばないような、過激なデザインのものだが、その前に大量のぱんつを見ていたので、少し感覚が麻痺しているのかもしれない。


「う、うん。」


 操は、ちらりと周りを見て、外からの視線が通るところが無いことを確認したあと、…お尻を浮かせてするりとぱんつを脱いだ。


 そして、その黒地紫のぱんつを手に取り、前後を確認したあと、両足を通してから、ころんと背中側に寝転んでするすると腰まで持ち上げて穿き込んだ。


 そして、身体を横たえたまま、こちらに向き直って、


「どう、かな…?」


 彼女はそう言って、僕に確認を求めた。


 ──夢にまで見た景色だった。

 諦めていた、このぱんつの真の姿が、今……目の前にある。

 レースの隙間から覗く肌色。

 腰に巻き付いた細いゴム紐。

 前身頃の上部に付いた大きめのリボン。

 過激なまでに上下に狭い布地は、かろうじて彼女の陰毛を覆っていた。


「ごめん、……もう無理」


 僕はそう言うのが限界で、情けなくも欲望に押し流され……、彼女に覆いかぶさった。




 

 

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