追憶と発覚
ふぅ…。
12月31日。いつものように日課を終えて、僕は今、駅前の焼肉屋に向かっている。今夜は高校卒業以来10年ぶりの高3のクラス会なのだ。今年はいろんなことがあった。地殻変動によるムー大陸の再出現、動物婚の認可etc.、少し前には考えられなかったことが常識になりつつある。そんなことを思いながら、のんびり自転車を漕いでいたせいか、集合時間からはかなり遅れてしまっている。僕は、昔から時間通りに行動するのが苦手で今回もそれは例外ではなかった。焼肉屋に着くと、もう同窓会は始まっていた。中に入ると僕を呼ぶ声がした。
「潤、こっちこっち。」
振り向くと、そこには高校の頃とほとんど変わっていない面々が並んでいた。4人席に、高校時代よくつるんでいた渡辺、サイコなところがある涌井、ひたすらうざかった三郷がそこには座っていた。しばらく近況を聞いた後、宇垣の姿がないことに気づいた。
「あれ、宇垣は来てないの?」
渡辺が一瞬顔を暗くした後、答えた。
「宇垣は…、2年前に骨粗しょう症を発症して、くしゃみをしたときに折れた骨が肺に突き刺さって死んじまったらしい。」
驚きとともに不謹慎にも笑いがこみ上げてくる。
「他にも何人か死んじまってる奴もいてな、井田さんも3年前に自殺したらしい。」
渡辺が続ける。
「俺、怖いんだ。高校のときに潤と書いてたことが現実になってて…。」
「なんのこと?」
「ほら、高3のときに書いてただろ?クラス全員の未来予想図。覚えてないのか?」
……全く思い出せない。
「スマホにまだ残ってるんじゃないか?帰ったら探してみろよ。」
ー渡辺の言葉にもやもやを感じながらも、しばらくぶりの同級生との会話を楽しみ、2時間ほどでクラス会はお開きになった。