○第52話~バニカ=ベルナンテ~
お待たせしました!最新話投稿しました(≧▽≦)
「あら。今のこの町にお客様なんて珍しいわね。」
バニカは目を丸くしていた。
「えっと…。どちら様でしょうか?」
アキが恐る恐る尋ねるとバニカは想い出したかのような顔をして自己紹介を始めた。
「あっ!ごめんなさい自己紹介してなかったわね。私はバニカ=ベルナンテ。この町の領主よ。ようこそ『美食の町ベルナンテ』へ!歓迎するわ…。とは言っても今はたいしたお持てなしも出来ないけど…。」
バニカは苦笑していた。
─ まぁ、疫病が流行していたらしかたないよね。
「いえいえお構いなく。この様な時ですし…。」
「せやせや。」
と、アキとルーナは苦笑し、トキヤ、シャルロッテ、ソフィアは黙って頷いていた。
「そう?…。なら、見回りに来た先で偶然出会った縁と、町の美食を楽しんで頂けないお詫びと言ってはなんですがよろしければ家に来ませんか?心ばかりのお持てなしをさせてもらいますわ。」
バニカはにこやかにそう言うとアキ達を自分の屋敷へと招待した。
「アルテ!ポロ!」
「「はい!!」」
屋敷に着いたバニカがそう呼ぶと金髪青目のメイド服の少女と執事服の少年が現れた。
「お客様をランチに招待したの。食堂に案内してさしあげて頂戴。」
「「はい。」」
アルテとポロと呼ばれた2人はビシッと挨拶をした。
「お客様!この私、アルテことアルテミシアと。」
「ポロことポールが。」
「「ご案内いたします!!」」
まるで双子のように息の合った挨拶にアキ達は感心していた。
─ 後で知った事だが、実際に2人は双子なのだそうだ。
「コーンポタージュをお持ちしま…。あ~っ!!」
ズテン!!バシャン!!…。
派手に転けたポロが頭からスープを被っていた。
そして呆れた顔をしながら
「申し訳ありませんお客様。すぐにスープをお持ちしますのでお待ちください。」
と、ポロを引きずって退出するアルテ。
「ごめんなさいね。あの子そそっかしくて…。」
と、苦笑するバニカ。
─ 随分と慣れた様子であるから、このやり取りは恐らく普段からよくある事なのだろう。
この後、すぐにアルテによりホカホカのコーンポタージュと、卵とハムのサンドイッチが運ばれ、無事にランチがはじまったのであった。
─ ランチを摂りながらバニカから聞いたこの町の…。と言うかマーレン王国(この大陸の王国)の現状はかなり逼迫しているようだった。
この国に流行している病は一見したらただの風邪のような症状の物なのだが、異様に死亡率が高く、死後高確率でゾンビとして蘇ると言う物らしい。現状、王家に伝わる病を払うと言われる『薬神の匙』の力でどうにかこうにか小康状態を保ってはいるが、それでは根本的な解決とはならない訳で、国王も頭を抱えているそうだ。
「この大陸の何処かにあると言う『癒やしのグラス』があれば良いのだけれど…。」
と、バニカは溜息をついた。
─ 『癒やしのグラス』とは、そのグラスから溢れる水を飲むと、どんな病もたちまち治ると言われる伝説のグラスの事である。
─ これは冒険の予感がする話だね!
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