18怪
「加藤の自白により、お菊殿の無罪は証明されました。
ですが、お菊殿は処刑された事になってますからこのまま普通に生活していただく事はできません。
それに政之進殿も直政公由来のお皿を割ったことは軽視できません。こちらから色々とお願いしている部分もあるのでできる限りの事は致します。」
木俣が言い、政之進と処刑されたふりをして幽霊騒動を起こしていたお菊が並んで座っていた。
政之進が
「いえ、色々とお世話になりありがとうございます。
私はどのようになっても大丈夫なのでお菊をよろしくお願いします。」
「いえ、こうなったら二人とも幸せになって頂きたいと思います。藩主様には私の方からうまくお伝えします。
悪いようにはしませんのでもう少しご辛抱下さい。」
木俣が言いその場は終わった。
―彦根城内の一室―
「・・・・・という事がございました。
政之進は・・いや、孕石家は今まで彦根藩に忠義を尽くしてきましたし、我々が問題視していた加藤の横暴を納めるのにも一役かって貰えたわけですから寛大な処置をお願いしたく思います。」
木俣が頭を下げると向かい合って座っていた男が
「良い。
加藤家と孕石家の双方を取り潰しとし、政之進は藩外追放とする。追放したあとは木俣の裁量に任せる。
あと・・問題は両家の領地が空くわけだが政之進に忠義を誓っていた家臣を木俣が預かり木俣の領地とせよ。
それが目的で今回の件にわざわざ首を突っ込んだのだろう?」
木俣はにやりと笑い、
「さぁ、なんの事でしょうか?
藩政改革の大事な時期に問題ばかりの家と古い武功で支えられている家の二つが取り払えたのですから一石二鳥だと思ったまでですよ。」
「まあ、定番だがお主も悪よのう?」
「いえ、藩主様ほどでは・・・・」
二人はにやりと笑いあった。