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Vの世界で理想の美少女やってたら、幼なじみに見られた……俺。  作者: 花月夜れん
めんどくさい新人配信者と俺の話

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告白される俺

 ◆


「いっちゃん!」

「まー!!」


 日によって髪の色が変わる不思議な友達、まー。


「今日は虫取りに行こう」

「蝉つかまえよう」

「クワガタいないかな」


 そうして、二人で遊び回る。妹は母さんと一緒にいるから、自由だった。


「いっちゃん、好きだ! 結婚しよう」

「え?」


 まーからの愛の告白。同じ男の子で、無理だと思ったし、女の子じゃないよ!! って怒った。


「え、いっちゃん、ごめん」


 泣き出した俺と同じ様に泣き出した、まー。

 好きだけど、違うんだ。ごめん。俺は友達として。


 ◇


「そんな事が」


 青い顔でマキちゃんに聞く。


「あったらしいです。聞き出した次の日から樹君熱出して、寝込んじゃったみたいですよ。そして元気になったあと、まー、――マサユキとマリヤ二人の事を忘れたみたいで。思い出したくないならってお互いの両親が決めて」

「……マジか」

「マジです」

「ちなみに今でもなんて――」

「それはないです」

「あ、はい」

「遊んでいた時は樹君の事、可愛い女の子だって思ってたそうですよ」


 だよな。あの頃は、いっつも間違えられてたから。

 いつものアイスクリーム屋が見えた。店の兄さんの目が大きく見開く。

 そう、今日は俺の手にドーナツの紙箱が居座っているのだ。

 マキちゃんと俺は二人で軽くお辞儀する。うっすら涙が見えた気がする。また今度は買うから!


「ただいま」

「おかえり」


 ちょうど玄関の近くにいたマサユキが応える。

 教えてもらったけど、思い出したわけじゃない。でも、悪い気がしてしまう。転校した時、お別れも出来てなかったんだろうな。

 俺はドーナツを持ち上げる。


「みんなで食おうぜ。マサユキはオールドな」


 びっくりした顔でマサユキはマキちゃんの顔を見た。

 自分の好きなドーナツの種類を俺が言ったからだろう。


「今日、言いました。私が知ってる事は」

「……そうか。あの、樹――」

「俺、忘れてごめんな。もう一回友達になってくれるか」


 マサユキは黙ってしまった。だけど、その顔は決して嫌な感じはしなかった。


「お兄ぃ?」

「イツキ君だ」


 マリヤとナミが出てくる。


「いっぱい買ってきたからみんなでドーナツ食べよう」

「わーい」


 マサユキの答えを聞かないまま玄関から中へと引き込まれる。

 マキちゃんがマサユキの肩をぽんと叩くとやっと動き出した。


「ごめん、間違えて」


 それからもう一つ呟いていた。


「傷つけてごめんな」


 二回も謝られてしまった。大阪に帰るまであと何日かはわからないけど、昔みたいに楽しく遊んで、もう一度きちんとバイバイと言いたいな。

 あ、歌配信? もちろん歌ったさ!

 演歌歌手目指せばいいんじゃないかってコメントいっぱいもらえたよ!!

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