あたしの方がいいよ?(鵜川あやみ視点)
どうしようー!!遠坂を誘っちゃった!
あたしは心の中だけで飛びはねながら教室に向かう。
あれ? あたしは何でこんなに喜んでるんだ。違う、違う、アイツはあくまでもミツキから奪うファンなんだから。
遠坂は言ってた。
「俺は大好きな子がいるんだ」
知ってるよ。ミツキのファンなんだって。でも、リアルじゃないんだから、手が届くわけないんだから。
だから、あたしの方に向いてよ。
あたしは本物の女の子だよ。
って、違った。あたしがミツキって幻想から目を覚まさせてあげるだけ。あ、でもそれじゃあヒカリのファンにするにはどうしたら。
あれぇ!?
そうだった。どうすればいいの? リアルで奪ったところでそこからどうするかなんて、何も考えてなかった……。
「どうしよぉぉぉぉ」
「どうしたの、あやみっち。さっきから赤くなったり青くなったり? 変だよぉ」
帰りながら、つい口から出てしまった。
いきなりでびくっとした友達の藍井梨々香が上目遣いで見てくる。
「あ、大丈夫」
「ふぅーん、変なのぉ。あやみっち、何かあるならいつでも言ってよ」
「ありがとう」
「それで、あやみっちの本命は誰なのぉ」
今度はあたしがびくっとする番だ。
「あ、あの」
「でも、嬉しいなー。あやみっち、そういうの全然興味無さそうだったからぁ。そういう話ができるようになるってぇ」
「え、あ、そうかな」
「で、本命はぁ?」
ニシシと笑う梨々香。話したいけど、話せないよ。だって、あたしがいま考えてたのって――。
「あはは、言いにくい? なら、付き合いだしたら教えてよぉ」
「つ、つ、つきあうー!?」
あたしと遠坂が結婚? 赤ちゃん? やだぁー、まだはやいよぉぉぉぉ!!
こっちを見てよ。




