表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/94

正解か不正解か、どっちだ? 俺!

「なーんてな!! おい、鵜川!!」


 俺は放課後の教室に戻り、帰る直前の鵜川あやみに声をかける。

 あやふやな状態でいられるほど今は余裕なんてないんだよ!


「な、何。遠坂君」


 教室に戻っていた鵜川とそれを取り囲む女友達達のところにいく。うーん、少し入りがたい雰囲気だ。


「あのな、さっきの菊谷の話なんだけど」


 がたりと勢いよく椅子を動かし鵜川が近寄ってきた。


「その話は向こうで出来る?」


 顔がこぇぇぇよ! 笑ってるのに目の光が消えてるんだが。

 俺は頷いて鵜川のあとに続く。後ろから「なんだー、やっぱり菊谷が本命かぁ」という声が聞こえてきた。ん、やっぱ菊谷なのか?


「何聞いたの?」

「それはだな」


 ある程度人気のない場所に来た。ここならいいだろう。


「俺は大好きな子がいるんだ」

「知ってる」


 え、知ってる? 勢いよく言った言葉が俺の心につき刺さる。これは続けるべきなのか? だが、言わないと……。


「それで、鵜川の気持ちには答えられない!」

「は?」


 は? 鵜川の視線が痛い。急所間近だ。ヤバい、俺は死んだかもしれない。


「勘違いしないでよね。あたしはただ」

「ただ?」

「めっちゃモンを教えて欲しかったの」

「え?」

「あたし、めっちゃモンしてるんだけど下手っぴで、遠坂君ゲームの話してたから、教えてもらえないかなって」

「あ、あー、そうなの?」


 あれ? 俺やっちゃった?

 じーっと見てくる鵜川の顔が動かないので嘘ではなさそうだ。

 自分の顔が真っ赤になる。まさに火を吹いた状態だ。


「ご、ごめん!! 菊谷が、その、鵜川が俺に気があるって言っててそれで」


 鵜川の表情は変わらない。もう、何だよ! あとで、菊谷覚えとけよ!!


「あ、めっちゃモンだよな。うん、わかった。今度一緒にやる?」

「ほんと!?」


 嬉しそうに笑う鵜川に俺はうんうんと頷いていると、彼女がスマホを取り出した。

 え、何ですか? アドレス交換? え、まじで?

 気がつけば完了して、約束まで取り付けられてしまった。あれ、え、ちょっと待って?

 俺、何しちゃった!? と、友達だったら大丈夫だよな。めっちゃモンするだけだし。

 って、俺のめっちゃモン、キャラクター女の子じゃねーか!!

 あ、それで引いてくれたらいいのか? よし、それだ! 鵜川はやりこむほどの上級者ではなさそうだし、自分のことをへたっぴという程だし。動画配信なんて知らないだろう。うん、大丈夫だ。


「遠坂君」

「はいぃ!」


 考えていると、鵜川は「それじゃあ、楽しみにしてる……」そう言って教室に戻っていった。

 これ、マキちゃんに言ったら怒られるヤツかなぁ。

 待ち合わせ兼ゲームする場所は家からだいぶ離れた公園だ。

 ゲームするだけだし、鵜川は違うって言ってたからいいよな。無駄に心配させるのも良くないよな。

 俺はもらった焼き菓子の答えを考えながら、家に帰った。

 ちなみにお菓子の答えは正解した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ