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初夢と餅と俺

「明けましておめでとう二日目!」


 ナミが元気よく挨拶しにきた。


「おはよう。あけふつおめー」

「お兄略しすぎ」


 てか、男の部屋に容赦なく朝入ってくるなよ。お前……。色々あれだったら困るだろ、俺が。


「初夢何の夢みたー?」

「んー?」


 寝ぼけながら階段をおりていくとナミもそのあとについてくる。なんか、今日やたらと距離が近くないか?


「初夢……」


 見た気がする。ただ、はっきりとは覚えてない。

 なんだかわちゃわちゃと人がいて俺が押しつぶされてて、あっちこっち引っ張りだこ状態だったなぁ。

 ぽつりと呟くとナミが食いついてきた。


「へー! それって男? 女?」

「へ? あー、どうだったかな。どっちも同じくらいって何検索してるんだ?」


 ナミが何かポチポチ打っている。


「お兄、今年はモテ期かもしれませんね」


 スマホ画面をバーンと見せてきた。


「モテる夢は人との関係が良好になるチャンス」


 ほう、そうなのか?


「ただ、目が覚めたときに不快だった場合は波乱?」


 まじか。いや、目が覚めた時はナミが目の前にいて、スンってなってたんだが……。この場合どうなるんだ。


「私の初夢はねー、聞きたい? 聞きたい?」

「いや、別に」

「えー!! 聞いてよー」


 マキちゃんの初夢は気になるが、妹の初夢は特に興味ないぞ?

 うがいをして、朝食をとるためにダイニングに行く。

 父さん、母さんはすでに出掛けているようだった。

 まあ、昨日結局デート出来なかったみたいだしな。


「お餅あっためてあげようかー?」

「ん、いいのか?」

「まかせて、まかせてー」


 やけに世話を焼いてくれるナミ。何かいいことでもあったのか?


「水につけてー、レンジにごー!」


 少々不安になりながら、俺はおせちの残りをつついておく。

 雑煮を温めなおすいい匂いもしてきた。


「あっ」

「あ?」

「お餅ペッちゃんこになっちゃった」


 テヘっといつものナミらしい顔になる。


「食べられるのか?」

「ダイジョウブ! ふくらんでぽんってはじけただけだよ」


 加熱に使った皿にべっとりと餅がくっついていた。

 まるで昨日の俺の鎧のようだ。


「お兄!? どうしたの」

「いや、昨日の悲しみが……な」


 思いだし泣きで目が潤む。

 材料はほとんど在庫にあったんだが、レアな玉石だけが足りなくて、狩りにいったけれど出なくて、まだ製作できていない。今日の配信に間に合うのか……?


「あー、あの餅もちね。なむなむ。あ、そだ。お兄、なんなら今日一緒に行ってあげるよ! 二人ならはやくあつまるかもでしょ」

「断る!」

「ぷー」


 ぷーって餅みたいにふくらむな。ナミといっしょに狩りに行ったら逆に三倍、いや十倍時間がかかるだろ!!

皿がべたべただ……。

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