お土産にトラウマをもらう俺
「お土産買ってきたでー!!」
「わー、ありがとう」
マリヤ達は年始前に大阪から戻ってきた。そのほうが電車等で混雑しなくてすむからだそうだ。
「見て見て! このたこ焼きピアス。可愛いやろ。タコピ!」
可愛いが、いつつける気だ? そもそもピアス穴なんてあったか?
「こっちはたこ焼き靴下、たこやきパンツもあったけどさすがにねぇ」
いや、だからいつ着けるんだ?
「そんで、大本命たこ焼き器ー」
たこ焼き……。
「ここまでがネタやで!!」
マリヤはネタのためにたこ焼き商品を何個買ったんだろう。実はまだ隠し持ってそうな勢いだ。
「たこ焼き味お菓子のフルセット!! 年末はこれで過ごそうよ」
すげぇ、ここまでなのか、たこ焼き。
「あ、今からたこ焼きパーティーする?」
「いいねー」
マリヤとナミがウチでくつろぎながらそんな会話を繰り広げている。
「イツキ君! 一緒にやろうよ」
ぶっ、こっちに照準が定められてしまった。飲んでた牛乳をテーブルに置く。俺はこれからマキちゃんにメッセージを送る予定なんだが……。
入れ代わるように帰ってしまった彼女。
あのあと、マキちゃんはパタパタとナミの部屋に消えていった。
俺は理性に八つ当たりしながら部屋中を転がりまわった。
そのまま、朝になりお泊まり会は終わりを告げた。
思い出して少し憂鬱になり、はぁとため息をついた。
「たこ焼き、タコなんてないぞ?」
するとマリヤが立ち上がる。
「ぬかりなく!!」
その手にタコの刺身が握られていた。
「あと、ちくわとウインナーとわさびとからしと」
まて、それはたこ焼きなのか?
「さぁ、マキも呼びましょう!」
俺の彼女の危機。ヤバい。俺は心に決めた。
「ヤバいのはいれるな。いれるなら俺のにしろ」
二人がこっちをじっとみる。なんだよ。顔に何かついてるか?
ニマーと笑う二人。
「カッコいいじゃん。いいよ、その心意気に免じて――」
ナミが指の隙間に練りチューブわさびとからしを構えている。何してるんだ、コイツ。
「お兄のは全部盛りにしてあげる!!」
この日、俺の唇と舌が凄いことになったのは、後まで写真に残ることになった。
ルーレットどころじゃねぇ……。




