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我が子のように大切な彼女は、僕とわたしの(樹父、樹母視点)

「なにぃぃぃ!! 男の娘だとぉぅっ!!」


 僕のデザインした衣裳を着てV配信をする子が突然の告白をした。

 衣裳の動作チェックを兼ねて配信はそれなりに追ってはいたけれど、まさかこんな事にぶち当たるとは。

 僕は顎に手を当てた。

 そうか!! 男の娘かっ! どうりでこう、シンパシーというか、同じ仲間である気がしたわけだ!

 僕にもそんな時期があったなぁ。うんうんと一人頷いていると隣にいる千夏は驚きのあまり手で口を隠しているようだった。


「そんなに驚くことじゃないだろう? ほら、僕だって」

「あ、そうね。そうだわ。あなたの子だものね」

「子? あぁ、そうだ。大事なお客さんだ。びっくりしたらダメだよ。何か理由があるんじゃないかな」


 千夏はそんなにもこの子に入れ込んでいたのか。心配しているようだ。肩が小さく震えている。


「応援してあげよう。何があっても」


 僕は彼女の次の衣裳を頭の中でイメージする。

 理想の美少女にふさわしい衣裳を!! 色は今より濃いめに、色っぽさを強調するように、だけど可愛らしさはしっかり残す。よし!

 きっと、ミツキもVを止めるつもりではないだろう。その証拠にほら、次回配信の予定を出している。

 頑張れ、ミツキ!

 何だか自分の息子イツキみたいな名前のその子を僕は全力で応援する。


 ◇


 もうダメ、なにこの子。面白すぎ。

 わたしは息子、樹がこの可愛い猫耳少女の中身だと知っている。

 真剣なんだろうけれど、わたしは笑ってしまいそうになって必死におさえている。誰か助けてー。

 隣にいるこの子の父親、繋。わたしの夫にはこの事実をまだ伝えていない。

 余計なイメージがつくとデザインにも支障が出てしまうから。あと、樹にも口止めされているしね。

 まあ、だから余計につらい!

 一緒に笑いたいわー。うん、笑いたいのよ!


「繋君?」


 離れたと思ったら仕事机に向かいだした彼。


「千夏ちゃん、今からこの子に、新しい衣裳をプレゼントしたいんだけど、いいかな?」


 わたしはもちろんオッケーと答えておいた。

 お金が貰えなくたって我が子へのプレゼントですもの。というか、この子の依頼って結局うちにきてるのよねー。

 一人で笑いながら繋の部屋をあとにする。

 わたしも少しプレゼントを考えてみた。リアルで女装させたらどうなるかなー。プレゼントがそれはあまりにアレかもしれないなー。なんて――。

 繋似のナミよりわたしに似た樹の方が可愛い服は似合うだろうけれど。

 あっと、彼女にも怒られちゃうか。

 最近出来た樹の彼女。なんと川井さんちのマキちゃん。


「そうだ!」


 彼女にプレゼントしちゃえばいいのよ。樹も喜ぶし、将来の娘ですもんね!

 うーん。息子の彼女にプレゼント、いったい何をわたせばいいのかしら。わたしは急いで検索した。

「繋君はいつ気がつくのかしら……」

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