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お父さん(マキちゃんの)と対戦する俺

「ん、なかなか強いな」

「いえいえ、まだまだこれからですよ。はい、ワープ! あんどハートゲット!!」

「ぐぁぁぁぁぁ」

「イツキ君ずるいー、マリヤまだ一個もないのに」


 マキちゃん父、圭さんの横に座り、パーティーゲームで戦う。

 今は俺と圭さんのワンツー争い。マリヤとマキちゃんがビリ争い。

 マサユキと由香さんは二人で何か話していた。

 俺、冷静に考えるとマサユキに悪いことしたな。代わってもらって、一人外されてしまった。

 だが、負けられない。ゲームで誰かに負けるのは悔しいからな!! たとえ、俺の彼女の父親だろうと全力で叩きのめす。


「ところで樹君。手を繋いだりなんてしてないだろうね?」


 ブッと俺は吹き出してしまう。

 ボソリと小さな声で俺に告げる、(圭さん)の声。

 すみません、手どころかキスまでしてます。なんて言ったら俺はどうなるんだ?


「あーーーーーーー!!」


 冷や汗を流しながら考えていたら、圭さんは使うと一発逆転のアイテムを拾った。


「ふふふ、どうやら勝利の女神はこちらに微笑んだようだね。さぁ、樹君、罰ゲームを決めようじゃないか」

「まって下さい。圭さん、今まで罰ゲームなんて決めてなかったじゃないですか。それが今、ここから決めるって」

「勝負とは時に非情である」


 なんだ、何を言ってくるつもりだ?


「一位と三位、二位と四位が一日買い物デートだ」

「なん……だと……」


 三位はマキちゃんだ。


「ちなみに僕は最近全然一緒に遊んでもらってない」


 すみません。彼女たしかに最近休みは俺達と配信してたりします。

 これは負けてあげるのが正解なのか? でも――。


「二人にはなんて言うつもりなんですか?」

「今から言うさ!!」


 圭さんは立ち上がる。


「このゲーム、一位と三位、二位と四位で後程一日買い物に行くことになった!! 樹君の提案だ」


 おい、なんで俺の提案になってるんだよ。圭さん!!


「さぁ、いつにする? 明日か!」


 とたん二人の女の子がふふっと笑う。


「まだ勝負は」

「決まっていませんよ!」


 画面を見ると、ハートの数が圭さんから半分、俺からも半分消えていた。

 な、何が起こったんだ。


「あー、マリヤまで使うなんて!」

「マリヤは押し間違えました……」


 まさかの順位変動。一位、マキちゃん。二位、圭さん。三位、マリヤ。四位、俺ぇぇぇ。

 あ、あー、待って、待ってぷりーず。このままじゃ俺圭さんと一日デート……。


『winnerマキ』


 進行画面は容赦なく進んでいく。

 くくくっと笑うマサユキの声が部屋に響いていた。


「はーい、樹君と圭君、マキちゃんとマリヤちゃんでデートいってらっしゃーい」


 由香さんはにこにこしながらお茶のおかわりを配っていた。


 ◇


「お父さんがだいぶ遅くまで引っ張ってしまってごめんなさい、樹君」

「いやいや、すごく楽しかったよ」


 明日の約束さえなければっ!!


「それじゃあ、お休みなさい」

「おやすみ、マキちゃん」


 キスしたいのに、監視されてる気がして俺は手をふるだけに留めた。

 家に戻ると、妹と母さんがぷふぅーと笑いながら出迎えてきた。


「おかっ……ぷぷっ、えりっ、樹君」

「お兄、おかえりー」


 これはもう、二人には完璧に伝わってるな。


「明日、圭さんとデートだって?」

「お兄、間違いのないようにねっ! 妻帯者なんだから」

「なるかっ!!」


 あぁ、明日が一瞬で終わらないかな。

 あ、明日じゃなくてデートの時間だけ。

俺の休日がっ!!

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