表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界革命  作者: パラダイス タイム
第4章 降り掛かる災厄
69/87

66 大河川の賢者橋

川前のルークリー村に到着した。


ここにはルークリー大運河に大きな橋がかけられている。


といっても河口から約30キロも離れているため帝都までの最短距離の海道に大きな橋はやはり欲しいところである。


それに橋といっても馬や人が渡れる程度で馬車ごと渡ることはできない。


そのためこの橋近辺には馬車屋という変わった店が立ち並んでいるのだとか。


「へい!らっしゃい!」


荷物が多いので橋に1番近い馬車屋を利用することにした。


「すみません橋を渡る者ですが馬車の預かり依頼お願いいたします。」


高身長丸坊主の店主がニヤリと笑いこちらを見下ろす


その図は側からみればカツアゲ現場とやらであった。


「あ!おっちゃん!」


と店主と取り引き手続きしていたところ後ろから声がかかった。


「おう!ロディか!相変わらず元気そうだな。ここ何年も手伝い来てねぇじゃねぇのおめえ今何してんだ?」


まさかの知り合いであった。


店主をよく見るとロディ顔負けの肉体の持ち主であった。


いや筋肉自体ならロディは負けてはいない。


だがこの店主は約2メートルの身長がある。


その分大きく見えるというわけだ。


差し詰めロディとグリズリーベアとの再会といったところだろうか。


「何って開拓。今から帝都へ一時帰宅的な感じ。」



羊皮紙に書かれた契約内容を確認の後サインをして店主に渡した。


「おう!ちょいと待ってな。」


何やら木の板に色々書き出していく。


と筆が止まったその時、「せい!」


という大きな掛け声と共に木の板にチョップを喰らわせ木の板が真っ二つになった。


「ひぃぃぃ」


「大丈夫よ。マイクさんに守ってもらえるから」


背後でミカの悲鳴が聞こえた。


ミリアがそれを慰める。


「これ通行証兼契約証明証ね!馬車返却はこれないと無理だから無くさないように。


で支払いは前、後どっちにする?」


店主から木版を受け取りつつ答える。


「今払います。金貨1枚でしたよね?」


金貨1枚、これは庶民一般的な年収である。


なぜそこまでかかるのか、それは最も橋に近いのはともかく他にも理由がある。


まずこの店は対岸にも同じ系列店がありそこへいくと無料で馬車を貸し出してくれる。


また預かっている馬車は場所を占領するためそもそも預かって同じやつを返却してくれる店がどうやらここしかないとのこと。


そして希望すれば積荷の運搬を手伝ってくれるというわけだ。


積荷が多い僕たちからしたら願ってもいないお店であった。


他だとそもそも馬車そのものを後で高額で買わされたりする店もあるのだとか。


往復で2回も馬車買わされて荷物も自分達だけで運びなおかつ橋から遠いとなると金貨1枚払ってでも依頼すべきである。


2回も馬車買うと実際、1金貨(10万カズ)とはいかなくとも7万から8万カズはくだらない。


「おっちゃん休んでいいよ。弟子の筋トレも兼ねて俺たちで運ぶから。」


ロディがそう店主を労った。


すると店主の眉がぴくりと反応する。


「ほぉ?ロディに弟子だあ?その後ろのマッチョじゃあるめぇしさてはお主か」


睨みを効かせ僕の身体を隅から隅へと見て周る。


なぜか周囲に緊張感が走った。


「名前は?」


まじまじと身体を隅から隅まで見周した後の第一声がこれである。


「ヴァーミリオン家、次男!ルイス・ヴァーミリオンでございます。


文官としてアルテ・ミスタ火山帯の開拓を任されております。」


思わず敬礼態勢で自己紹介を行なってしまった。


(相棒の影響でちゃったじゃん。


これ絶対、最近任せすぎたからでしょ...)


そんな後悔とは裏腹に店主からの反応は好印象だったらしく...


「へぇあのヴァーミリオン家か...ってことは開拓って例の...」


ここでミリアが一歩前にでてきた。


「不束者の弟で申し訳ない。


(わたくし)、ヴァーミリオン家長女ミリア・ヴァーミリオンでございます。


こちらは妹、ヴァーミリオン家次女のミカ・ヴァーミリオンです。」


左足を引きスカート両側のポケット部分を持ち上げて深くお辞儀をするミリア


これは手で害を与える気がないことを示唆しておりまた左脚を引くことで身体の重心が下がり敬意を表する意味合いの貴族特有の挨拶方式であった。


姉に続き見様見真似でぎこちないながらもお辞儀をするミカの姿もそこにはあった。


「......」


店主の目が点になる瞬間である。


まるで魚のように口をパクパクさせて声がでてないようである。


「何で??ヴァーミリオン家が3人も??」


やっとでた発言は俺らを疑うかのような発言だった。


まぁそもそも庶民からすれば貴族というのは帝都の中心、皇帝が座するその周りに住んでそこから降りてくることすらないような存在、そんなイメージなのだろう。


強ち、間違ってはいない。


現に両親が貴族帯が住む地区から出るのは稀であり庶民と接しないということはそのまま庶民と貴族とを隔てる壁の厚さを意味するのだ。


当然妬むものもいれば憧れる者もいる。


妬むものは拗れている妬みが更に拗れて犯罪に手を染めるものがいたり


逆に憧れる者は貴族に仕えるメイドやら使用人になれるように励む者もいる。


行き着く先は幸より不幸の方が多いのも事実、だが彼らの財によって経済が回っておりその余波で庶民が裕福に暮らせるのもまた事実であるため壁はあれど割り切っていたりするものみたいである。


割り切る云々は学院時代ミリンから聞いた話で彼女は「パパとママそうは言うけど絶対、ゼッタイに!割り切れてないからw」と語ってくれたのだ。


「ひとまずこれを対岸の店に見せれば良いのですね?それでは失礼します。」


「え、あ、うん。まいど!」


呆気に取られた店主が現実に引き戻されるかのように戻ってきた。


店を出て馬車を店の隣に止め直し荷下ろしを開始する。


「なんかおっちゃん、店の中で騒がしすぎひんか!?」


荷下ろしの最中にロディが話かけてきた。


ふと耳の意識をを店の方へ向けると確かにバタバタ音が聞こえてきていた。


「そうですね。色々やることがあるのでしょう。」


そう言葉を切って作業に集中することにした。


荷物を下ろした後にまとめられる荷物はまとめることにした。


「鞄とかまとめにくいわね。私が全員分持つのは無理だし...」


そんな最中スキンヘッドマッチョがやってきた。


「うっし荷物どれだ!」


馬車屋のおっちゃんである。


「おっちゃん俺らの荷物任せた。積荷は俺らでやるからええよ。」


着替えなどは手荷物として各自持ってきているためそれらを馬車屋店主に一任する。


「それじゃあいきますか。」


これを合図に一斉に移動を開始した。


僕は大量の紙が入った箱と薬品、電球等僕の発明品扱いされてしまっている物たち計30キロ、


ロディ君には三頭分の馬具を入れた箱に乾麦の非常食 [公売用]の計50キロ、


マイク君にはその他の積荷の計50キロを


それぞれ持つことになった。


ロディとマイクに至ってはその上に持参分の手荷物は自分達で持っているため荷物の総重量は60キロは軽く超えてるはずである。


それなのに軽々と持ち上げるあたり流石とかしかいえなかった。


橋まで向かう間、雑談をする。


「マイク君もロディ君も相変わらずの筋肉してますよね。


尊敬とかいうより絶句してしまいますよ。」


ヒョイっと持ち上げた時の事を話しかけた。


「絶句いう割には饒舌やん。


てかこれくらいどうってことあらへんってw」


「というかルイスさん普通に筋肉つきましたよね。


まだマッチョには程遠いですけど。」


マイクからは上げてから落とすという高等テクニックで心を傷つけられた。


これが無意識というのが質が悪い。


まぁ天然故の無意識に傷つけてしまうのは今に始まったことではないのだが。


「わぁ〜高ーい。」


そんな無邪気な声で思わず振り返るとミカが馬車屋のおっちゃんに肩車されていた。


「え、姉さんこれどういう状況です!?」


思わず聞き返すとおっちゃんの方が解答してきた。


「いや何可愛いもんでな。乗るか?と誘ったら喜んできたんだよ。


いやぁ可愛い妹さんだねぇ。」


孫を可愛がるお爺さんのような満面の笑みでそう答えられた。


味方によっては通報物の変態である。


「本当にすみません。すみません。」


姉さんは僕が聞いた言葉すらどうやら耳に入っていないようで仕切りに謝っていた。


「おう!嬢ちゃんものるかい!」


そしてミリアにまで勧誘する馬車屋の店主


「店主さん流石にそこまでいくと警備隊へ訴えられても文句言えませんよ。」


と僕が警告入れると


「うっ。」


と声をだし急に立ち止まるのだった。


どうやら過去に何かしらやらかした可能性がありそうである。


そんな他愛のない雑談をしながら僕たちは人が行き交う吊り橋を渡っていく。


渡りながらも僕の視線は周りの人ごみよりも吊り橋の方へと向いていた。


そもそも堤防があるならまだしもここには堤防などなく川と隣接状態である。


その上で吊り橋を作るということは当然橋の部分だけ土が盛られているのだが橋の作りも相まってかなり不思議な感じだった。


「おめぇさん橋に興味おありかい?」


馬車屋のおっちゃんが無言で橋観察を行う僕に話しかける。


「えぇ、わざわざ吊り橋にする必要ないのに変わっていますね。」


思ったことを素直に言う。


「そりゃおめぇこの橋は賢者様の遺物だからよ。知らなかったのか!?」


「え!?」


橋の秘密にドキッと心臓の縮こまりを覚えつつ帝都へと向け長い橋を渡っていくのだった。

修正内容


誤字


方法→方式

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ