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異世界革命  作者: パラダイス タイム
第3章 発展する村と困惑する国
63/87

60 動力革命1 ギア革命2

既に部品は作ってもらっているので組み立てるだけである。


まずは動力部である


新しく作ったフラスコ型の鉄鍋は既に窯上に乗ってある


小さい窯の鍋中に水を組む手押しポンプを設置、その後鍋上部から伸びるガラス管によってすぐ横へでてくるように今朝セッティングしてもらってある。


ガラス管の太さは最初は二の腕くらいだが横に来る頃には親指二本分の太さになっておりこれにより少し圧力がかかりでてくる蒸気の威力を上げてある。


なので後はピストン式首振りエンジンを繋げて完成である。


まぁまだピストンすら組み立てられていないのだが...


というわけで鉄製のこの部品をネジやらでひたすら繋げて作っていく。


作ったらピストンを覆う外枠の中にピストン本体を入れピストンの縁、動かない部分があるのでそこを溶接で筒を固定。


イメージとしては外枠の中にピストンが入っており外枠によって逃げれない蒸気の圧力でピストンを押す形で回転運動を促しピストンごと一周そして定位置に戻り蒸気が...という流れの繰り返しで回転運動を起こさせるわけだ。


それを木製ギアにて回転そのまま伝えて鉱石運搬装置へと運動を送る形になる。


というわけで動力部の完成。

早速、試運転してみる。


ぐるん.......ぐるん...ぐるんぐるんぐるぐるぐるぐる


段々早く回転運動が持続している。


一定速度で変わらなくなっているのも確認したら鍋への水供給を止め停止させる。


完璧だった。要望通りに部品を作ってくれた職人のおかげである。


相変わらず頼もしい味方である。


いくら相方が計算し尽くした上での図面とはいえそれを寸分違わず作り尚且つ想定通りの動きを想定範囲の力で行われるのがどんなに難しいことか生まれ育ったからこそよくわかる。


彼はそれすらもまるでこうなると分かっているかのように、いやこうすると操作さえしているように思えてくるのだ。


「へぇいやぁ水だけで回転運動を得ることができるとは...ってことはそもそも高炉の上に作れば燃料入れ続けるわけだし永久なんじゃ...」


ガンツがそう独りごちる。


「ガンツさん流石に5メートルの高さから力を取り出すのは中々大変で大掛かりになってしまいますよ...


それに蒸気機関の方は木炭でもいいわけですから併設するだけでリスクなしで簡単に作れますよ。」


簡単に...簡単ではある代わりに動力としての出力はどうにも弱いらしく今回の装置が動かせるかギリギリのラインらしい


取り出した回転運動は一本書きの星のような形のギザギザローラーの回転運動へと送られる。


ギザギザローラーの他に木の棒と竹筒で作った簡易ローラーも二本用意する。


そしてウッディが作った大量の部品を組み立てて約17メートルにも及ぶ大きなベルトを作成した。


ベルト、ローラー、歯車、回転運動、ときたら作るのはベルトコンベアである。


まぁ石炭から作ったコークスを下から上に運ぶためだけのものだがコークスを大量に人力で炉の上から入れるというのはあまりに非効率的である。


これなら隣の小さい窯でひたすら火を維持するだけで上から炉に勝手に入るようにできるため人件削減できるわけだ。


丸ローラーの一つを動滑車を使い既に組まれたやぐらへと持ち上げる。


このやぐらは炉の口より2メートルほど高く建てられている。


丸ローラーの軸をやぐら上に固定したら

ベルトを動滑車を使いベルトを運ぶ。


ベルトはやぐらの下を通すためベルトの端に括り付けて持ち上げる。


「ダンさんベルトのボコボコが外側になるようにローラーに跨がせて下さい!」


「???え?ギザギザローラーって引っかけるって言ってなかった??」


頭を傾げて中々作業進まないため説明するのを諦めた。いえば余計に疑問を生みそうなのである。


ボコボコというのはベルトに付けられた凸みである。


5、6センチ四方の小さい角材を釘でベルトに固定しただけのものでベルトの進行方向の垂直方向に付けられたそれは石炭を捕まえ運ぶだけでなく凸みより溢れるものは坂道を転げ落ち結果的に一つの段差に決められた一定数のみ運ぶ役割も持つのだ。


安定的にコークス供給という上で欠かせない存在であることは言うまでもないのである。


「引っかかるのは裏面の木々の繋ぎ目の三角にあった凹みですね。


そのため星型にしローラーの大きさも大きくして噛み合うようにされてますので。」


凹み部分だけ教えておいた。


凸む所は動きを見たほうが理解は早いのである。


そうこうしている間にベルト端が降りてきた。


これをギザギザローラーと櫓の下を通して高炉から距離開けるように離していく。


高さと距離が等しくなる位置に用意してある台座に軸を嵌め込めば完成である。


「押しますよ。せーの!」


うおおぉぉぉ


ダンデンドンの3人と僕で力を合わせて押し込む。


というのも緩ませるとしっかり稼働しないためピンピンに張る位置に台座が組まれており嵌め込むのに4人がかりでやっとなのだ。


がこん


なんとか嵌った。


「これで完成ですね。お疲れ様です。」


ひとまず完成した。


直角二等辺三角状のベルトコンベアであり動力を伝える所はちょうど直角の位置にある。


かなりの大きな設備となった。


このままでは上に運んで高炉横に落ちてしまうので高炉側へ斜めの板を高炉に取り付けていよいよ完成である。


高炉に取り付けるということでリオンさんにモルタルでサクッと作ってもらった。



「リオンさんわざわざありがとうございます。これで大丈夫です。」


「ルイス。この後壁の型にモルタル流したりしてくるよ。後で確認に来てね。」


リオンさんが去るついでにそう言伝された


「おぉいルイスや!はよ型に流すぞ!」


ガンツさんに呼ばれて慌てて向かう。


「ったくお前の張り切りが伝染しちまうだろうが...」


背後でボソッと放たれた言葉はルイスの耳には届かないのだった。


......


型に大量の溶けた金属を流し込む。


搬入ベルトコンベアも絶賛稼働中である。鉄鉱石とコークスを交互にベルトコンベアに入れてもらっている。


今は鉄鉱石を入れてるようである。


僕らの横ではスラグをせっせと運ぶダンの姿があった。


「ダンさんまだまだでそうですが大丈夫ですか?」



既に何往復もさせてるため気を配っておく。


「舐めてんのか!おら!」


舐められてると勘違いしたのか逆鱗に触れたようである。


「ダン!旦那はなあんたの心配してんだ!まだまだ出てくるぞ!口でなく体動かさんかい!」


ガンツさんがカバーしてくれた。


「うっす!」


短い返事で作業へと戻っていった。


まるで親分と子分のような構図だった。


高炉から出てきた鉄をどんどん流し込んでいく。


日が暮れても作業は続き終わった頃には皆倒れ伏しお腹の合唱が鳴り響いていた。


「皆さん!お疲れ様です。ご飯をお待ちいたしました。」


ミリンがナイスタイミングで到着、皆が貪るように食い出した。


「ミリン!ありがとうございます。ナイスタイミングです。」


「えへへ、中々来ないから持ってきちゃった」


なぜか嬉しそうなミリンを他所に僕も腹ごしらえすることにした。



次の日、土の山を削り出し転炉が完成した。



後は配管するだけでいつでも実用可能である。


配管等は一旦後回しにしてソソギの元へと向かった。


「ソソギさん壁の方どうですか?」


やつれ顔が酷くなったソソギがゾンビの如く振り返ってきた。


「モルタル流していく最中え。これを2段または3段すれば壁自体は完成するえ。」


声もかなり元気がなく萎れたといった所だろうか。


「モルタル流すだけならやりますのでしばらくお休みになって下さい。」


「いいのかえ?大丈夫かえ?」


急に依頼しておいて心身疲労させておいて休ませないほど鬼ではない。


「むしろ春まで休まれても構いませんよ。」


「それは困るえ!明日も何かさせるえ!」


ソソギは萎れながらも元気を取り戻し自宅へと帰宅していった。


「よぉルイス。ルイスいるならモルタル任せていいよね?」


リオンさんがバケツ片手にやってきた。


石灰入りである。


「えぇ僕がやっておきますので真空管作りお願いいたします。」


「うぅやるか...配線だけやってみるよ。後で確認お願いね。」



苦笑いのリオンが工房へと帰っていった。


「さてやりますか。」


誰も居ない村の縁にて1人虚しくモルタルを型へと流していくのだった。





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