59 どうして空は蒼いのか1
昼前にでたが俺とリオン以外筋肉集団だと俺ら2人が荷物として荷車に乗り全力ダッシュすると4時間ほどかかるはずの道のりがなんと1時間で到着してしまったのだ。
いや4時間というのは道整備前の話なのだがいくら道が整備されたとはいえまさか4分の1になるとは思いもよらない。
もはや脱帽レベルである。
開拓計画に盛り込もうかなと思っていたトロッコ走らせる必要性を疑うぐらいだった。
到着して不思議に思い聞いてみた。
「あれ?皆さん疲れてないんですかw」
長距離を走ってすぐピンピンしてテントを張っているので不思議でしかない
「筋トレ後走るなり泳ぐなりすれば全く疲れない体になりますよ。」
ウォンさんが解説する。
そういえば自分は筋トレばかりであまり有酸素運動していないことに気がつく。
(走るのは筋トレ後熱すぎてあれだし泳ぐのはありかも知れないな)
そんなことを採掘準備しながら考えているとリオンが聞いてきた。
「なぁ溶かしてはいかないのか?」
それもそうだろう。溶かせば持ち帰れる量が増える。
「そうですね。リオンさんが1人で溶かすのやってくれるならいいですよ。今日帰るのでそれまででいけるなら」
無理難題の意地悪っぽくいった。
「え、あ、うん掘るわ。」
どうやらひたすら掘るぞというメッセージには気がついてくれたようである。
「というわけでリオンさんと僕で石炭は掘りますので皆さんは鉄鉱石の採掘をお願いします。班分けしましょう。」
マイクとロディの2人とジーグブリィーグウォンの3人で班を組みそれぞれ別のところで採掘してもらう。
「鉄だけやねんな?他欲しいのは?」
「鉄しかいりません。出来るだけ多く集めて下さい。さ!はじめましょう。」
俺はとてもイライラしていた。
原因は自分でもなんとなくわかってはいる。体が異常に重たいのだ。
別に風邪というわけではない。
熱っぽさも咳も喉の痛みも寒気もない。
ただ体と瞼が重く、とてもイライラしやすくなっている。
完全に寝不足であった。
(眠くはないのに体がいうことをきかん...この違和感...気持ち悪い...)
イライラを山にぶつけるように採掘を進めていくのだった。
かれこれ5時間くらい掘っただろうか...
既に日が暮れかけているため一時帰宅することにした。
リオンが先頭で松明を持ち2列並列で荷車を引いて帰っていた。
「今日は満月かぁ」
リオンがそうぼやいた...
皆もつられて一様に空を見上げる。
道路整備されてからというものの安心感というのは半端なくこうして空を見上げる余裕が生まれる。
「なぁマイクどうして空は蒼いんやろな...」
ロディも急にぼやきだした。
「え?夕方は赤くないか?」
マイクがそう突っ込む。
「いやそれは...なんでなん?」
今度は2人揃ってなぜか俺の方をみてきた。
「蒼いのは空気の色なのでは?赤くなるのは光の量が少ないのでしょう。」
適当に濁した。
ちなみにこれは40%しかあっていない。
空が蒼いのはオゾン層そのものの色で赤くなるのは白い光に含まれる青などの色が届かず赤い光のみ届くからだ。
だがこれをいう必要も説明も今はできないため、というかするわけにはいかないため適当に濁したのだ。
「空の色、ねぇ。空に浮かぶ星々が大きく見えたりしたら面白そうだなぁ」
リオンがそう溢した。
(大きく、大きくか...
そのうちあれ作った方がいいよな...)
俺らは筋肉疲労からか空に、夜空に浮かぶ星々に感傷を受けながら帰るのだった。
次の日、掘ったものをガンツに届ける。
石炭は朝一番でコークスとピッチ、タールに分離させ手に入れたタールは保存してピッチは造船の方へ回した。
コークスと鉄鉱石を大量に積んだ荷車を高炉の櫓下へと運び入れる。
どうやら昨日からエッフェルさん主体で着工しはじめたらしくいくつかの建築用木組みが組まれていた...
隣には炉が新しく建てられている。
炉の上には鉄の塊が設置してあり今リオンさんが忙しそうにガラスで配管を行なっているようである。
三角フラスコのような鉄の塊は鍋であり中に井戸水をひたすら流し込みその水蒸気で力を得る。
先日渡した2枚の図面の1つである。
「おはようございます。ルイスさん。」
振り向くとウッディさんがいた。
「ウッディさんおはようございます。船の調子はどうですか?」
ピッチはツミキさんに運んで貰っていたため船の進み具合などを直接聞いてみる。
「えぇあの黒い液体?というか固体?のようなもののお陰で多少の木の調整を省けて非常に順調です。というか後は帆とかだけです。これエッフェルから頼まれていたものです。ルイスさんにお渡ししたので俺はこれにて...」
発言まで堅くなったウッディさんを不思議に思いつつも受け取る...
ウッディさんが持ってきた荷車には大量のパーツが乗っていた。
ひとまず組み立てる。
ツミキさんとウッディさんの合作と思われるそれを組み立ててにやけだす。
後は残った歯車とまだ届かぬローラーで完成である。
すると今度はガンツさんがやってきた。
「おはようさん!さっきは鉄鉱石ありがとな!転炉分まではあれで足りそうじゃ。」
届けた物の確認と高炉のチェックをしていたガンツがやってきた。
「おはようございます。後は型に溶かした鉄を流し入れるだけですね。ソソギさんはどうされてますか?」
型に関しては任せっきりなので聞いておくことにした。
「今朝できたらしくソソギは寝に戻りおったわい。
あ、そうそう。これタングテスンじゃったか?のフィラメント作っておいたぞ!」
そう渡されたものを受け取る。
渡された複数のフィラメントをみて念入りに確認する。
「ガンツさん、タングステンですね。えぇ素晴らしい出来です。どうでしたか?」
「全然溶けなくて焦ったぞ!ふざけた金属じゃな!」
ふざけてるときたか。と思いつつも話を続けてきく。
「お主らが大量の石炭を持って帰らねば今日何もできんかったぞ!残りは倉庫にやったがありゃそう易々と加工できるものでもするものでもないわ!」
叱責に近い愚痴を聞き流していく。
話を少し遮り質問する。
「そういえば昨日溶かした際に金属以外の何かでませんでしたか?」
すると思い出したようにまた愚痴りだした
「そうじゃった!あの変な液体はどうするんじゃ...一応取り除いて端に置いておいたが...」
変な液体、それは一般的にスラグと呼ばれる鉱滓である。
それは金属を鉱石から取り除く際出るものだがどうやら普段知らず知らずのうちに履けられ溜まっていくものと同じとは知らなかったようで行って見てみると山のようになって固まっていた。
「あぁ大量に鉱石溶かすとこうなるんですね...何か使い道考えておきます。」
明らかに問題と思った僕はそう残し聞くことリストに追加するのであった。
「おはようございます!ルイスさん!」
エッフェルがマッチョを引き連れやってきた。
ダン君、デン君、ドン君のダンデンドン3人組みである。
「おはようございますエッフェルさん!ダンさんデンさんドンさんもおはようございます。」
一頻り挨拶をして本題へ移る。
「ではあれの作成をして転炉作成へと参りますか。」
あれ、それは動力の革命であり今後の村の主力動力となるエネルギー原となるものだった。




