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異世界革命  作者: パラダイス タイム
第3章 発展する村と困惑する国
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49 スライム確保と兆候

さてスライム捕獲の日を迎えた。


まだ日は登っていない。家族ということでミリアやミカと同じ部屋になっている。


横目で確認すると姉が布団を蹴飛ばして隣で寝るミカが寒そうにしていた。


そっと布団を掛け直して部屋を速やかにでた。


やることないので筋トレでもしようかなと思い外へと向かう。


するとロビーでばったりアルベルトさんと出会ったのだ。


「アルベルトさんおはようございます。いつも朝お早いのですね。」


軽く挨拶をした。


「いや何、いつも交代睡眠だからな。暇すぎて今から散歩するところだ。」


「ご一緒しても?」


「あぁいいよ。」


朝一にアルベルトさんと散歩することとなった。

「アルベルトさんって何かしてないと死んでしまうタイプの人間ですか?」


話の切り出し方が分からず変なことを聞いてしまった。


「それはマグロという意味かな?それならそうかもな。考えたことないけど何もしない人生なんて考えられねぇな!ははは!」


結果、笑い飛ばされてしまった。



そんな笑い飛ばされるような他愛のない会話を続けていると気がつけばあの大門の前まで来ていた。


「なぁこれも軽くすることできるのか?」


門を見上げながらそんなことを聞かれた。


「重さは変えられませんが一人で簡単に開閉できるようにならできますよ。」


「それはどうしたらできるってわかったんだ?今までいくつかの物を作ってただろ、どうしたらそういうのができるって発想に思いつくのか不思議でならなくてな。」


僕の隠し事を直球に聞かれ返答まで沈黙が流れた


「....えっと計算?後は柔軟な発想?ですかね...」


相方のことなんて言えるわけもなくそう言葉を濁して答えた。


「そっか計算か。お前頭良かったもんな。リオンと同じく首席で卒業したんだろ?」


「え、えぇまぁ一応...」


これもまた言葉を濁す。


たしかに首席で卒業したのだが僕には相方という素晴らしい講師がいた。


学院終わって復習する際も色々教えてもらったものである。


それのおかげでさほど努力せずに首席となった。



とここで大門から人がやってきた。


「おやおや見ない顔ですね。


もしや噂のアルテ・ミスタ開拓村からの者ですかな?お初にお目にかかります。


旅商人のヤミーと申します。ん?お隣は見覚えありますね。


アルベルト・ホールディングさんではないですかな?


初めましてヤミーと申します。以後お見知りおきを。」


凄まじい早口で挨拶をしてきた自称旅商人ことヤミーさん。


「よ、よろしくお願いします。


アルテ・ミスタ開拓を率いているルイス・ヴァーミリオンと申します。」


気圧されながらもこちらも挨拶を返す。


「おぉ貴方がルイス様でしたか。いやぁ想像以上にお若いのですねぇ。羨ましい限りです。


確か首席卒業生でしたかな?


頭脳明細なようで...是非取り引きいたしませんかな?お気に召す物を仕入れて差し上げますよ。


何か欲しいものでも手に入れて参りましょう。


さぁさぁ遠慮なさらずにさぁさぁ。」


人の気知らずでぐいぐい来られた。


どのみち取り引き云々はリラさんに任せているので受け流すことにした。


「えぇ、取り引きでしたらゼータ商会のリラさんに一任してますのでそちらでお願いいたします。


私はそういうのは関与しないと決めておりますので。」


するとヤミーが急にしかめ面になった。


「ちっ!ゼータめ。」


人が変わったような感じになりそんな舌打ちが聞こえたかと思えばさらに人が変わる。



「そうでしたかそうでしたか。ゼータ商会とは大きな商会と取り引きなされておられましたか。


これはしがない旅商人の出る幕ではございませんね。


また何かありましたら是非お申し付けください。お待ちしております。」



そう告げヤミーさんは去っていった



「いやぁ嵐のような人だったな。」


「えぇ商人としても凄そうな方ですね」


そう感想を述べあって宿まで戻ったのだった。




さて皆が起き、食事を取り終えた後、大門前へと集合していた。


スライムの確保のためである。


湿地帯はリザードマンやヒル、一部魚や蟹などの生物がいるのだがリザードマンや蟹は縄張りに入らないので問題なく


ヒルは毒性のあるやつはいないらしいのでさほど問題ではなく


魚は水溜りに入らなければ問題ないのでマッチョ組が呼ばれていないのだ


そして箱入り娘状態のミリアとミカが連れてこられているのもそのためであろう


知らんけど


そんなことはさておき大事なのはスライムである。


ウッディさんが作成した樽に詰めて持ち帰る予定なのだ。


樽を手で持ち大門から徒歩で向かう


流石に重労働すぎる大門開閉は帰りの時のみにしてもらうことにしたのだ。


ミリンは馬と一緒にいるとのことである


なのでそれ以外のメンバーが集まりスライム捕獲へと出発した


徒歩5分、まだ大門が小さく見える場所にてスライムがうじゃうじゃ湧いていた。


「なんか昨日より多くないですか?」


率直な感想を述べた。


「昨日は馬が蹴り飛ばして進んでたみたいだよ。ミリンちゃんがそれの掃除を今日するっていってた。」


リオンさんがそれに対して回答してくれた。


スライムは脆く体の表面に傷が入っただけで体液が飛び散り死ぬらしい。


そしてスライムは分類上魔物ではない。


「魔物の特徴、魔石を持ってて、腐りが早く、生物学での繁殖と一致しないという3つの特徴全てに当てはまらないからね。」


アルベルトの言う通り


スライムの中は体液のみで構成されており魔石なんてあるはずもない。


死にやすいが体液自体は腐りにくく街でも体液だけ売られていたりする


繁殖法は生殖細胞での分裂と予想されるだけに当てはまらないわけでもない


なので魔物ではなく生物として分類されているのだ。


相方曰く、もし生物なら細胞核とやらがあるのだとかその辺はよくわからないので後々聞いておくとしよう。


繁殖してもらうためにもひとまず生きたまま捕獲することが大事である。


なので樽を横向きに置きそこへ誘導して樽に入ってもらって持ち帰ることにする。


饅頭型のスライムは触れるとひんやりねばつき触れた手を素早く手放しただけで1匹死んでしまった。


(え、脆すぎません!?何これ...)


扱い方法を模索しつつ捕獲作業はゆっくりながらも着々と進み気がつけば15匹確保完了となった。


彼らは単体で繁殖可能らしいので数的には余剰なのだが死にやすすぎるので念のための数確保も踏まえてよしとする。



「いやぁ日暮れちゃったなぁ」


ミリアがぼそりと呟く。

その言葉に反応したのか感化されたのか口を開いたミカが訴えてきた

「うぅお手てがひりひりする...」


「どれどれ?」


看てみる。


手は少し赤みがあり触るとヌルっという感触と共に少し顔を顰めた


(ミカはずっとスライムと絡んでいたな...となると原因はスライムで間違いない。あのベタつきを気にせず触った結果がこの症状である可能性は高そうだな。)


大まかな症状による原因を突き止め告げる。


「ミカ、多分スライムの触りすぎだなこれは...刺激しないようにしていればすぐ治るよ。」


ミカのいた方をみる。触られ方を誤りまくられたのか無残な残骸が散乱していた。


ミリアがミカに包帯をぐるぐる巻いてあげている。ひとまずこれで外界からの刺激を遮断し続ければ問題なく治るはずである。



「スライムの残骸って放置してても問題ないですか?生態系破壊とまではいかないとは思っていますが...」


ふと残骸を数的に見て心配になりアルベルトに聞いた。


「大丈夫大丈夫。しかし子供に触らせるとスライムが何匹いてもたまったもんじゃないなw」


あまりの悲惨な光景に思わず苦笑いのアルベルト。


この時はミカの心に問題があることは気が付かず後に後悔することになるのだった。




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