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異世界革命  作者: パラダイス タイム
第3章 発展する村と困惑する国
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スライムと生き残り戦略

村の橋前にてミリンと共に馬に荷車をセッティングしていた。


「ミリン、今日はやけにご機嫌ですね。何かありましたか?」


「ううん、何も。ふふ」


楽しそうで何よりである。


「ラッキーよろしくお願いしますね。」


皆が集まる前に馬に礼を尽くしておく。


とその時ちょうど皆が集まり出した。


「ふんふんふーん♪」鼻歌混じらせながらウキウキしてラッキーの毛並みを整えるミリンを他所に挨拶に向かう。


「リラさん、これで全員ですかね?」


「ええ、そうよ」


1人ずつ確認していく。


(ウッディ、アルベルト、リオン、ミリア、ミカ...ん?ミリアとミカ!?)


「あれ?ミリアとミカは見送りですか?」


「何よ私たちがいちゃダメなわけ?ほらミカも文句言ってやりなさい!」


ミリアに言われたがもじもじが止まらないミカ。割って入ってきたのは騒音に気がついたミリンだった。


「え!?何で皆さんがこちらへ?見送りですか?」


完全に別世界感状態のミリンである。


「いやミリン、ここにいる人たちは全員湿地へ向かう人たちだ。」


「え、嘘...せっかく2人きりになれると思ってたのにあうぅ...」


時折、2人きりになれているのによくわからんやつである最近だって鳩の件でぶっ叩かれたはずだが...


「期待してたみたいでごめんねぇ。今度デートに誘ってあげなさいよ。」


ミリアがまるで挑発するかのごとく耳元で囁いた言葉を俺は聞き逃さなかった。



どうやら彼女はルイスに恋してるらしい。純粋で一途なタイプの人間でちょい天然混じりといった性格なのだが一途なあまり周りをみれてなかったりどうも危なっかしいところが見受けられる。




「さて!いきますか。」


スライム捕獲隊の出陣である。


ルートはクロード先輩の村に寄りそのまま道沿いに北上して湿地帯を目指す。


クロード先輩がいる村(以後クロード村)に向かう途中外を眺めながら思いふけっていた。


(はぁ、マッチョ組まじで早いわ。何これ。てか相方爆睡中だけどミリンのことはそっとしてやろうかなぁ。元々あいつの体だしなぁ。)


マッチョ組の本気を思い知りながらミリンのことを考えていたのだ。


マッチョ組の本気、実はここ最近数日に一回程度で木こりは行ってない。おまけに切ってるのはマッチョ組と反対側のアフリター地域に向けてきり進んでいるのだ。


マッチョ組には開発重視で指示出していたとはいえここまで早いと計画変更余儀なくされるだろう。


(そろそろエンジン作って色々作り変えようかなぁ。燃料は炭でパワー弱くなるけどまぁええやろ。)


湿地帯の村に到着するまでひたすら次作るものの思案を行なっていった。


湿地帯へとついた。


外を見ると道以外ところどころ沼が見える。


木々はマングローブのような木々が生え向かってる方にはオーク類であろう林が見えていた。


それからしばらくすると馬を操っていたミリンが皆に声をかけてきた。


「皆さんもうすぐつきます。」


「ようやくですわ。6時間くらい馬車に揺られたかしら。」


「いえもう日も暮れているので12時間は余裕で経ってます。」


皆が一様に驚きを隠さず窓から空を見上げる。皆、時間感覚の狂ったご様子である。


実際15時間かけて到着したためその間寝たりごろごろしたりしていた人が大半なのである。時間感覚が狂うのも致し方ない。


「ほぉ、これがこの村の防備か...」


ウッディの声に誘われ見上げる


木製の大きな門と柵で囲われていた


柵にはところどころ木製の槍が付いており猪などの猛獣による突進防止用になっていると思われる。


到着するなり門番の方に挨拶をして門を開けてもらった。なんと人力である。


(うげっまじか。あぁそりゃ基本閉めっぱなしで小さい扉で出入りしてるわけか...)


目を移した先、門の横に人1人通れるくらいのドアがある。何重かのドアがあることが見て取れた。



帰ってきた手記には日付と時間の指定がされてあったのだ。時間は夕刻過ぎてからだというのに引っかかりを覚えていたのだがおそらく全員村にいる時間帯に来てくれとのことだったのだろう。



この湿地の村は49年前に開拓され住民は150人ほどで今は2代目文官が統治してるとのことである。


中に入った先に、文官のバッチをつけた男が立っていた。


「ウェット村へようこそ。この村を治めるアトルフ・ヘトラーでございます。」


名門ヘトラー家、つまり相方と同じ中位貴族で文官になった人であった。


「これはこれはヘトラー様。わざわざお出迎え感謝いたします。アルテ・ミスタ開拓村の開拓指揮及び統治させて頂いてるルイス・ヴァーミリオンでございます。」


相手が貴族である以上貴族礼で紳士的な挨拶を返す。



貴族礼とはこの帝国の貴族同士の作法的なもので左脚を引き右手を左胸に当て行う礼である。敵意のなさや忠義を表す礼として古くから使用されているのだ。



我々スライム捕獲隊は村の宿舎に案内をされ宿舎内にある会議室的な部屋へ通された


「目的はスライムでしたかな?理由をお聞きしても?」


疑問に思っていたようで口を開くなり直球で聞いてきた。


「スライムの主な食性はご存知ですか?」


アルベルトが質問に質問で返す。


「貪食な雑食性だと伺っておりますが違いますかな?」


「あながち間違いではありませんが少し違います。


スライムは腐臭のするようなところではあまり長生きできません。


なので彼らは自ら住みやすい環境を維持するための食べ物を食べます。


例えば他の生き物の食べ残し、死肉や生物の排泄物などですね。でも雑食というのは間違いではないです。」


アルベルトが皆に分かりやすくスライムの生態を説明してくれた


それに関しては初耳だった。自分も貪食な雑食としか聞いてなかったからだ。


ということはスライムには環境整える仕事をしてもらうことになるみたいだ


全ての生き物はいずれ絶滅するであろう種の存続レースにかけられる


生き残っている生物全ては現時点での勝ち組といえるのだ。


種ごとにそれぞれ生き残るための様々な手段、繁殖、子育てを取っている


周りの生物では食べきれないくらい数を生み生き残る者


敢えて未熟の状態で生み自らの袋で育てることで子の生存率を上げ生き残る者


逆に生まれたすぐに立ち上がり走ることができるようになることで捕食者から走り逃げることで生き残る者


多種多様、様々なのである。


そしてスライムは食べ争いを避けつつ自らが住みやすくなる物を食べることによりより数を増やしやすくして種の存続を図って生き延びてきた生物らしい。



「なので我々はスライム達に開拓村の排泄物処理をしてもらいより良い環境を整えようというわけです。」


俺はアルベルトの説明の後を追うように主要目的を話した。


「わかりました。協力いたしましょう。さてこれはこちらの都合なのですが商談よろしいですかな?」


商談、これも想定通りである。


「そちらは(ワタクシ)が致しますわ。皆さんは休まれて下さい。」


「はい。ではお願いしますね。あ、アトルフさんこちらお近付きの印にご自由にお使いください。」


俺は商談というワードで紙の存在を思い出し麻袋から紙を取り出し袋の上に添えて手渡した。


そしてリラさんを残し皆は退室してそれぞれの部屋に向かった。



明日いよいよ最弱スライムの捕獲作戦が始まるのだった。



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