30 磁石革命1 誘導電流式腕力発電
嵐が過ぎ去った翌日
僕はガンツさんとブリィーク君とマイク君の4人でやぐらの跡を見にやってきた
「お、雷上手いこと落ちてくれたみたいですね。」
上手いことというかまぁ落ちやすいとは思ってはいたのだ
はげてる原因は地中の金属が雷をより引きつけてなおかつこの辺では1番高いので真っ先に吸われてくれるのだ
そのため木というか植物そのものが成長できなくてはげていくのだ
それらを踏まえてここに建てたのは正解だった
(これが強力な磁石...)
実物は初めて見るがこれがあの夢の世界を動かしていたのかと思うとワクワクが止まらなかった
「旦那、にやけてるが何かいいことでもあったか?」
「あぁいえ。上手くいったなと思いまして。」
本心ではあったそれが要因ではないのだが
ここで異変に気づく
「あれ?二個しかありませんね。おかしいなぁ...」
どこを探しても見つからないのだ
落雷の衝撃で斜面を落ちた可能性もあるがそもそも二本はやぐらの残骸に埋もれていたため同じく埋もれている可能性の方が高いのだが見当たらないのだ
(というか瓦礫に埋まるものだっけ?)
その疑念は持てたものの誰か別の人がいるなんて到底検討もつかないルイス達一向はそのまま村に帰ることとなった
さてここからが本番である
まずは銅の円盤を作る
これは大きい円盤作る型を作った上で今日作成してもらってる最中である
つまり冷えるのをまつ間に最近作った農場用長屋に新しい建物を併設し更に併設作業を待つ間にチェーンの作成を行う
材料は3つの部品
チェーンの本体部品
本体同士を繋ぐ部品
部品同士を固定する部品
である
繋ぐ部品はほぼ棒でチェーンの本体は自転車のチェーンを思い浮かべて欲しい
そして固定するのは片方だけ穴の空いたボタンのような小さい部品
小さいからこそやってて手が痛くなる
プルプル震えるのだ
ミリンが手伝ってくれたこともあり早く終わった
というかほとんどをミリンにお願いして次の作業へ向かう
次はギアである
まずはカザリが作った鉄のギア2枚
これはチェーンが回すスタートのギアである
次にその回転を
2つに分ける
そのうちの1つは2種のギアを計3つ使いチェーンによってギアを回した回転とは反対向きに回転させてある
そしてその回転で2枚の銅円盤を回し
回ってるところに磁石で磁場を作る
これにより誘導電流で電気を流すことができるのだ
ペダルも木で作れば
自転車を改良したかのような発電機が完成となる
ついでに余ったパーツで自転車も作成しておいた
「うおっ。尻が痛いが進む進んでる!意外と速いし楽だ!凄いよルイス君」
リオンさんが自転車に乗り興奮しておられる。
ギアができれば乗り物なんて意外と簡単にできるものである
実用的かどうかは別問題だが
「しかしこうもガタガタの地面だと衝撃がもろに伝わってきて乗ってる場合ではなくなるな」
「モルタルで道を敷けば多少はマシになりますよ」
「やる!?」
「後にしましょう。量産できるわけじゃないですし乗れる人がかぎられますから」
「そう」
リオンさんのまるで遊び相手がいなくなって尻尾の振りが止まった犬みたいな反応に笑いそうになるのを必死に堪える
話題を逸らすためにミリンに使用感を聞いてみた
「ミリンどうですか?」
「うん!これなら私でもできそう。でもこんなので本当に電気流れてるの?」
確かめる方法は考えていなかった
農場長屋の木製檻の内側に銅や鉄の金属線を張り巡らせてある
(触る?いやいや電気食うのに?どうしよう...)
そう迷いが生じて沈黙する中1人の男がやってきた
「へぇこれが新しく猪飼う所なんか。
なんやちゃっちいなぁこんなんで猪飼えるんか?」
ロディである
来るや否や耐久を心配してか徐に檻の柵を握る
「っっっ、アカン!」
びっくりして後ろに飛び退き良く通る声を響かせた
「あ、すみませんロディさんそれ内側に電気流してあるので感電します。しかしこれでちゃんと流れてることがわかりましたね。大丈夫そうです。」
「何が大丈夫や!んなわけあるかぁ!はよいわんか」
「やってきてまず柵触る人にやる前に言えと言うのは無理があるかと...」
ミリンが俺側にフォローする
「だな。確かにいう時間なかったな。」
リオンさんがミリンに続く
(((貧乏くじ引かなくて済んで良かった。ロディありがとう)))
3人の心が揃った瞬間であった
「なんや釈然としないけどこれ魔法なん?」
「いえ、これはですね。この磁石の間を金属板が動くことによって電気が流れるんですよ。動かしている間しか流れませんが暴れ出したりしたら漕ぐだけで破壊させる気を失せさせると思います。後は学習してくれるでしょう。」
簡易的に説明を施す
さて肝心の猪を捕まえていこう
今回は僕はお留守番となった
マイク君とジーグ君にツミキさんの3人である
罠の形式も作成もツミキさんが手慣れてるとのことなので全て一任することとした
生態もある程度理解してるとのことなので足跡とかを頼りに複数箇所仕掛けてくれるはずである
3人が出立し俺はロディの指導の元いつもより早めの木こりを開始していた
「だいぶええ音連発できるようになったな。長かった。」
「コツというのがやっと掴めました。ありがとうロディ君」
笑顔でお礼をいう
「よっしゃさっさと切ってくでー」
ロディの掛け声を合図に木こりのペースを上げていく
そして日も落ちかけた頃3人の客人がやってきた
「ルイス・ヴァーミリオンはいるか?急用がある」
見知らぬ3人に皆が動揺する
「ルイス・ヴァーミリオンは私です。何がありましたか?」
「俺はアルベルト。でこれシトリからの伝言だ。」
アルベルトさんがそういい1つの羊皮紙を手渡された
「え、これって...」
内容を見てそう独りごちるのだった




