プロローグ2 新羅編
プロローグ2
俺は諏訪部新羅、大学院卒業後大学の講師となり好きな化学の研究に没頭していた。
金がないため様々な人からの援助のお陰で原子融合の法則性とその活用の研究を行うことができているわだ。
「新羅、ロシアから失敗の実験データ送られてきたぞ」
「見る! すぐ見る。」
「てかお前二徹って言ってなかったか? 寝ろよ。」
研究仲間に鼻で笑われた。
「いや寝てるよ1、2時間ほど……。」
「それは寝てるとは言えないわw 今寝ろ早く寝ろ寝てから研究しろ。」
「うぅそんなに言わなくてよくない? まぁ疲れてきたし寝るけど。」
友の言いつけは守る、俺が意識していることである。
何でもかんでも守るわけではないが優先して守るようにはしている。
人は力であるが故、その仲間の忠告などは受け入れるに越したことはないのだ。
「新羅ここで寝たら寝る意味ないだろw 」
「移動時間が惜しいんだよいいだろ? 」
「データパソコンで送ってやるから家で寝ろ。」
「……。」
「もう寝てるのかよw 相変わらず凄いやつだ。」
(風が吹き付けている……。夢か……。)
「うわ! 怖っ! 自殺する人ってこんな景色なんかよ……。」
「いや俺ら落ちてるんだって! 目覚ませ! 」
「覚ますも何も夢じゃん、てか誰? 」
「夢じゃねぇよ落ちてるんだよ! 俺は田中! 田中和也だ! スカイダイビング経験あったから頭から落ちてるお前を拾ったんだよ! いやそれどころじゃないパラシュートないのにこのままじゃ死ぬ……。まだ結婚もしてねぇのに……。」
「あぁうんわかった夢では無さそうだこんなに風を感じてる時点でそうだよな……。俺は新羅、諏訪部新羅だ、しかし詰んでるよこれもうw 海に落ちてももはや鉄の床同然……。短い人生だったなぁ。」
「死ぬのあきらめないで! 少なくとも俺は死にたくないんだ! 」
「いやそうは言われても……。後5分もしたら陸地だぞしかし見たことない地形だなどこだここまるで手みたいだ……。」
「んなもんわかるか! 服とかでパラシュート的な感じの構造できるっけ? 」
「昔は木枠とかで補強しただけでも高いところから軽傷で済んだらしいからそれ作ればあるいは……。考えても仕方ないしやるか。」
こうして2人は服を脱ぎ出すのである。
「俺のコートの中にいつも入れてる30センチ定規二本渡すから服脱ぎやすい状態になったら端を握ったまま服を脱いでくれ! 」
お互い端を握り合い外套を裏向きで脱ぐことで服の頭側が両方の外側、お尻側が内側へ向き大きな縦長の布が完成した。
「新羅、テープで仮留めしよう! 広告を張り出したり営業で出歩いたりするからいつももっているんだ! 」
「おぉナイス頼むわ、後はシャツでもう一回同じことをしてクロスにして曲げることでマッシュルーム型を作る。」
「仮留め完了、定規! 」
和也が仮留めした外套を足に挟み再度手を伸ばす。
そして二つ目を素早く作ることに成功した。
「後はこれをいい感じに曲げながら補強するだけだな竹の定規が保つのか不安だがやるしかないベルトちょうだい! 後巻けるだけ定規にテープ巻いてくれ! 」
「わかった! ベルト任す! 」
俺は15年ほど学生時代から愛用している
ズボズボズボンを履いている。
(いろんな意味でとても言いにくい)
そのためベルト三重にしてるわけだがまぁ特段汗かかないので消臭スプレーで済ませてる。
決して面倒とかそういうのではない。
偶然にもそのおかげで4本ベルトが揃ったわけだ切る手間が省けて助かった
その4本を外套の左腕からシャツの右腕へ、外套の右腕からシャツの左腕へと4本通し計8つの紐代わりのベルトがでてくる。
これを俺のズボズボズボン(相変わらず言いたくないが)のベルト通しをくぐらせて俺が書き溜めた途中のやつを壁に貼り付けるようの画鋲を使いベルト通した後に輪っかを作り留めていく。
「新羅! これでいいか?」
ちょうど終わった頃に定規が帰ってきた。
後は散々使った定規でマッシュルーム型を維持できるようにバッテンさせて外套の裏ポケットに差し込んで仮留めして完成だ。
ここまで3分ほどが経っただろうか。
いよいよ地面が接近している。
「片足ずつ持とう俺は右側持つから和也左よろしく、ベルト、手首に巻きつけておけよ! せーのでパラシュートを横向きにするから。」
「了解! 巻き付けたぞ! 」
「「 せーのっ! 」」
パラシュートは無事に機能したようだ。
機能だけだが……。
「新羅ぁぁ目、目がぁぁぁ、回ってるが大丈夫なのか!? 」
「くっそ、外套とシャツで通気性の圧倒的な差があるせいで回転し始めたんだな、目が、回る。」
「大丈夫なのかと聞いているんだ!! 」
「回転した方が安定性上がり安全だろ知らんけど。」
「んな無責任なぁぁ。」
「こんな非常に責任もへったくれもあるか! 後はお祈りくらいしとけ。」
果たして喧騒な雰囲気の中地面が近づいてきた
だがやはり再度トラブル、後地上まで5メートルというところで定規が折れた。
「嘘だろぉぉ死にたくないぃぃぃ。」
「危ない! 」
俺は和也を庇い後頭部から頭から地面へと突っ込んでいった……。
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地面への追突から6分ほど前、精霊女王の住処にて……。
「大変だ女王さま、魔族封じに弾かれて上空で呼び込んでしまった。」
「わかりました、シルフ・サンドマン・ヴォルト向かいますよ。」
「「「 はっ 」」」
6分後事故現場にて
「風よ!舞え!ノックアップブラスト」
安定していた気圧を一気に下げ低気圧を落下地点に作りそこへ大量の風が向かい、集まった風が上昇気流となり2人を包む。
どさっ
「ダメだ女王さま打ちどころが悪すぎる。」
「僕に任せて! 命よ生きるための活動を抑えて眠れ! ニンナ・ナンナ。」
シルフの魔法で落下速度を急速に落とし落ちた後、すかさずサンドマンが内臓温度を生命維持の限界まで下げて冬眠させる。
「脳へと続くところが損傷がひどいよこのままじゃどのみち治らずいずれ死ぬ……。」
「ヴォルト、一応彼の脳内の記憶や情報などをあなたの力で保存しておいてください。」
「はっ! 情報網を介する電気よ! 増幅し我、石の中で再構築せよ! リペアメモリー。」
ヴォルトが脳を駆け巡る電気信号を増幅させ脳の情報を引き出し保存していく。
「あ、あの! 俺は田中和也、彼、新羅を助けてくれあいつ俺を庇って……。」
「彼の命は助かりませんが彼の記憶、人格を保存しますので小さい子供の脳に少しずついれ転生という形で救いますがそれは今すぐではできません。再構築に時間がかかりますので……。」
「ど、どれぐらいだ? どれぐらい待てばいい! 共に命の危機に立ち向かった友として語りたい。」
「300年は無理だね。再構築に時間がかかるよ。人間の脳は複雑すぎるんだって。」
「そうか、もう俺は会えないんだな……。あんたらについていっていいか? いく当ても伝もないんだ、助けてくれ……。
果たして事故現場は鎮まり帰った。