22 井戸建設とフラグ建設
1時間弱かけて井戸へきた
途中狼の集団に襲われたがマッチョが撃退済みである
というかマッチョの中でも力持ちのマイクもロディの2人が双璧を成した瞬間襲ってきた狼が逃げ出したのだ
元々野生の獣は自分より大きいものを怖がる習性があるものの狼やライオンなどの犬猫動物はその傾向が薄く襲ってきたりするのだ
しかし無傷で撃退できたのはありがたい狂犬病とか転生前の世界でも致死率100なので洒落にならない
さてそうこう振り返ってるうちに建設準備が完了した
組み立て職人ことツミキ氏のやぐらを組み立てる速度が異常である
手慣れた作業にはどこか美しさを感じさせ彼女の積み上げてきたものの重みというのも感じられた
今回は周りの木二本とやぐらの頂点の3箇所に定滑車をおき定滑車の間2箇所に動滑車を設けることにした
今回は荷物だけでなく人も乗るため総重量が増えてしまうので2人で紐を引く形にしてある
そのかわり紐に等間隔の目盛りを墨で引いてあるのでその目盛りを2人で合わせ下ろしていく
こうすることで不安定になりやすい動滑車の数を減らせるのだ
もし強風が吹いても多少は安心である
小1時間ほどで滑車の準備も終わってしまった
マッチョ組とツミキ様々である
「じゃっ!いってくるよ」
事前の打ち合わせでリオンが井戸へ入りツミキさんと僕の2人で紐を操り、マッチョ組のマイクとロディは護衛継続と打ち合わせしていたのでその通りにいく
僕とツミキさんの仕事としては下ろす作業と上からのチェックである
均等にピラミッド型に積まれた上にリオンさんが乗りゆっくりと下ろしていく
1目盛りが大体30センチなので最初は1目盛りずつ下ろす予定だったが意外と安定していたため2目盛りずつ下ろすことにした
「つきました、始めます」
リオンさんから作業開始の合図が聞こえた
今回の作業は壁を満遍なく10センチほど掘って掘った位置にモルタルレンガを積み液体のモルタルで固定を図る
これの繰り返しである
リオンさんが何目盛り上げてと指示してくるのでそれに従う
下手に近づいて穴が崩壊する恐れもあるのでこまめに状況報告をもらいつつ判断することにした
水の湧いてるところの少し上はそれなりに規模の大きい粘土層らしくそこそこ作業しやすいとのことで実際予想していたより早いペースで進んでいく
作業開始から7時間
日が海へ沈む直前で作業が終わることができた
後は蓋して水路作れば村にいくらでも水を引き込むことができるのだ
そうでなくともこれで自由に真水が手に入るようになった
帰り道、かなり暗くなってしまった夜の森を進む
「道は覚えているとはいえこれだけ暗いと恐怖感すら感じますね」
「そうだね、途中猛獣や魔獣に襲われないといいけど...」
どうしたものかここで盛大なフラグが立ってしまった
「.......」
「ツミキさんいますか?」
あまりに静かすぎたのでひとまず生存確認をする
「だ、だ、だ、だ大丈夫....」
生存は確認できたが等の本人は恐怖でそれどころではないといった様子だ
「ツミキさん暗いだけだよw命の危機があるわけじゃないのにw」
だからフラグを立てるな
「ま、俺らがいるんで猛獣くらいなら倒してみせますよ!」
「せやなマイク。俺らの筋肉は裏切らへん!
堅物そうな筋肉マイクとちょっとチャラくて喋りに独特の方言を感じさせる筋肉ロディがそんなやり取りをしてる
後森でて開拓地まで半分の残り1キロというところでやっぱりというべきか最悪というべきか事態が急変した
「あぁこれって僕たち狙われてますよね...」
現れたのはクマ科の猛獣である
体長は2メートル弱とクマ科の中では小柄な方だが人間からしたら充分脅威である
通常クマは人間など食べない
が襲うことはある。特に子供持ちの親クマさんは気性がとてつもなく荒くなるのだ
「だな。なんかすまん」
リオンさん...謝るくらいならフラグ立てないでくれ...
「ブクブク...」
ツミキさんがあまりの恐怖に泡を拭いて気絶した
「ツミキさんは台車で運ぼう。ルイスは後ろから台車押してくれ」
リオンが即座にツミキを台車に乗せた
「ここは俺らが!」
「おいでしゃばるな!今やるべきは撤退だぞ!」
「熊肉食いたい。というか俺らなら倒せるんとちゃうか?」
「む。一理ある。だが俺らが離れたら職人の命の保証ができないぞ俺らがついてきてるのは安全確保のためだ!」
「なら俺だけでも
緊急事態に安全面担当の筋肉同士がバラバラでまとまってない
かなりまずい状況である
「とりあえず撤退だ!ツミキさんの台車以外は置いていく!マイクは台車付近で、ロディは熊の牽制を頼む!」
リオンさんが的確な指示を飛ばした
僕らは熊を連れつつ結果撤退することになった
村につけば残りのマッチョ組と合流できるだけでなくもしも用で準備してある弓等の遠距離が確保できる
倒すにしても開拓村まで熊を引き連れて撤退が最善である
ロディが熊の攻撃をいなしつつ熊にタックルをかまして台車と熊の距離をいい感じに調整しつつ牽制を行なってくれている
当たったように見えて避けていたりしてハラハラしつつもすごいと感心せざるを得なかった
マイクは途中、太い木の根で車輪が止まるたびに即座に押し上げ台車のペースが落ちないようにサポートしてくれる
僕とリオンさんの筋肉ではできないことなので非常に助かる
そうこうしてると村の明かりが見えた
夜は町中に松明を灯し明るくしてくれている
「それでは助けを呼んできます」
マイクがそう告げ凄まじい速度で村へと走った
「くっそ。疲労が...」
なぜか熊と互角に取っ組み合いで膠着状態を保てている化け物ことロディがそう独りごちる
膠着状態を破ったのはロディ
あえて力を抜き熊の重心が前に来たのを見計らい強力なラリアットを熊の胸に一発
ロディと熊との距離が空く
この攻撃で熊の怒りが限界突破したらしく唸り声を甲高く鳴らし突進してきた
疲れ果てて回避が遅れたロディ
横腹に直撃して数メートル吹っ飛ぶ
音で気がつき僕らが後ろを振り返ると熊の攻撃をうけ吹っ飛ばされた直後だった
慌てて近づこうとしたところをリオンさんが制止してくれた
「ダメだよルイス、俺らが行っても怪我人が増えるだけだ。ロディ君を信じよう」
猟銃があれば...
そう兵器利用もできる危険な発明品であることを考慮できずに欲してしまっていた
とここでロディが立ち上がる
が立ち上がったところに再度突進
しかしまた立ち上がるロディ
その見た目とその行動はまさにレスラーを思わせるものがあった
「体が重い...」
ふらふらしているところへ再度突進が来る!
(これ以上喰らったらロディ君が死んでしまう!何か、何かないのか!くそ!僕は何も出来ず見てるだけなのかよ!くそ!)
猛進する獣がロディの体に当たる直前獣がのたうち回りました
そしてロディが限界を迎え倒れる
「ロディ〜!生きてるか!?助けにきたぞーー」
マイクがそう叫び戻ってきた
クマの方をよく見ると腕に槍が刺さっていた
(マイクさんが槍を!?凄い精度だ...)
突如刺し傷という深傷を負い逃げようとしだしたクマ
しかしその背後には現れたのは槍や木こり用の斧などさまざまな凶器を握った筋肉集団である
この時点でクマの詰みであった...




