21 浮かび上がる問題
開拓初の失敗から1週間が経った
この1週間で進んだのは建物15棟建築が終わったことだ
というのも3日かけ15棟の一階の木組みが完成し1日でモルタルにより壁作成
残り3日で屋根にかかったのだが
屋根本体のモルタル塗りは壁の時に同時にやっており梁を組み立て滑車で既にある屋根を設置して固定するだけでいいのだ
昨日の朝には全15棟の屋根設置が終わりその日は丸々1日休みになった
まぁこの休みに住む家決めや家の中の家具を依頼したり自由となった
まぁ家具の件は料金は全員の含めて金貨1枚で請負ってくれるとウッディさんが機転を利かせてくれたおかげで進んだ話なのだが
そしてこの1週間で井戸ができた
場所は開拓地から2キロほど進んだ森の中である
といってもまだ掘って水が出たそのままの状態で泥水でしかない
ツミキさんに頼んでいたのは所謂井戸掘り装置みたいなものである
イメージとしては水車の陸版といった見た目でやぐらを組んで取り付け回すそれだけで人力で500メートルも掘れる衝撃式のものである
念のため作っておいたが15メートルほどですぐ真水がでてくれた
今は井戸の壁を作る最中である
「なるほど小さめのモルタルレンガで井戸を作るんだね。」
「150個ほど有ればおそらくたりますね
濁ってるのは井戸の壁が出来てから炭の無数の穴で濁りをキャッチして
枯れ葉とかで泥がたまらないように屋根もつけて完成になりますね」
「炭は昨日既に作っていたしね問題は壁だ」
そう問題はどのように壁を設置していくかである
接着剤はモルタルでいいのだがどのように下まで降りてどのように材料を下まで送るか考えていなかったのだ
「やぐらを組んで動滑車も使ってやるのが1番いいでしょうね。足場付きで材料と一緒に降りれれば落石事故も防げるのでいいのですが安定した足場を作れるかが課題ですかね」
「それなら穴と同じ形の足場のやつを作ろう!そうすれば多少バランスが悪く傾こうとしだしても必ず引っかかり持ち直すこともできるはず」
リオンさんと計算、そして相談しつつ設計図を羊皮紙に書いていく
更にその設計図をウッディさんとツミキさんにもみせ改善を進め1日丸々かけて設計図を完成させた
(これは開拓地の水問題解決のための最優先事項。かといって事故とかあったら目も当てられない。見落としないかしっかり確認せねば)
日も暮れ昨日できた新居の布団に包まい問題を列挙していく
まずは水問題
今は持ってきた水は昨日底をつき今日は海水を煮詰め蒸留により真水を取り出して使っていた
しかし時間がかかりすぎ常に火をつけてないと1日分もギリギリ確保できないくらいしか貯まらない
(井戸の他に水路も建設する必要がある...既にウッディさんにパーツを作ってもらってるとはいえ高さ調整のこともしっかりしないと水路はできないから大変だな...)
問題は水だけでない
次は食料である
主食は大量の芋に保存食用のパンに大量の小麦があるため大丈夫なのだが
野菜は1週間で底をついた
というか1週間も生野菜持たせられないのだ冷蔵庫があっても1週間過ぎれば野菜に異変が生じ始めるのにこの世界だと3日で生じるのであるなのでここ3日ほどまともに野菜が取れていない
栄養バランス的にもこれは大問題である
(そろそろ山で取る必要があるな...しかし山にはどんな生き物がいるのかわからない...下手に取りにはいけないよな...)
畑では芽が出始めたところであり順調であると聞いてはいるが自然に左右されるので今後どうなるかわからない
気温調整できるビニールハウスがとても欲しくなる...
ひとまず井戸が第一だと思い直し早く寝ることにした
次の日
朝起きて前日に準備しておいたやつを再度チェックを済ませる
運ぶための台車3つにそれぞれ材料が乗ったのを確認後マッチョ2人を護衛につけツミキさんとリオンさんと俺の計5人で掘られてある井戸がある森へと向かった
ここで疑問に思う方もいるだろう
なぜ森の中に作るのか
街に作っても良いのではないか
それはその通りである
本当はそのつもりだったのだが森での資材調達などの活動を見越してどのみち掘っておく必要があったのだ
そして普段魚介類を取ってきて村の食料事情を支えてる1人の細マッチョに海の地質等の調査を依頼したところ
まず開拓村の周辺の海だがどうやら陸から100メートルほどで海底が急に深くなっていってるとのこと
ここでなぜここが火山地帯なのか思い出した
ここはプレートの交わる深海部、海溝が近くにあるのだ
水の層がどこにあるかはわからない以上無駄に掘るわけにもいかないし硬い岩盤のような層(岩盤は深さ的に来ないが岩盤のように硬い層)が先に来る恐れも高い
無論井戸掘るためのやつが壊れても困るのでまずは2キロ離れてるところを掘ったわけだ
また地殻変動により海溝に近ければ近いほど地震の際影響を受けやすい
井戸水が硫黄などの火山性ガスで使えなくなりやすいと考えれば念には念を込め村の外に掘ったのだ
(ボーリング調査ができれば話が変わるのだがそもそも俺は地理はそこまで得意ではない
そんな中途半端な知識で周りを危険に晒すわけにはいかないしな)
ボーリングのためにも石油を手に入れよう
そう心に近いながら井戸へと向かうのであった




