第8話「魔女と外出と私」
帰宅後選択と夕飯と弁当作りつつ執筆、割とハードでござります。
第8話「魔女と外出と私」
【魔女の森の中】
「ふんふんふーん♪」
「ぜぇ……ぜぇ……」
「ふんふふふーん、ふんふんふーん♪」
「はぁ……はぁ……」
「……合いの手にセンスがないよ?コルセット?」
「ぜぇ、合いの手じゃ、ぜぇ……ないです、
あと、私の名前は”コルベット”です、去勢具じゃ、はぁ……はぁ……」
「もう、だらしない、たかだか魔物の1匹や10匹程度……。
それでも、この私の弟子なの?ベルベット?」
「い、一気に10倍じゃないですか!はぁ……はぁ……、
あと、凄く良い声で囁かれそうですが……コルベットですってばぁ……」
「女の子が、細かい事気にするもんじゃない、オナ……」
「ストップ、ストーップ!!いい加減、私の名前でからかうのやめてください!
コルベットです!コルベットを宜しくお願いします!!……ぶはぁ!」
「ぜひー、はひぃ、ぜひー、はひぃ、さ、酸素が……」
「女の子がそんな【バキューン!】の後みたいな息遣いをするものではないな」
「だ、誰の所為ですか!あと、すぐに下ネタに持っていかないで下さいよぉ。
街の中とかでフォローするこっちの身にもなってください……ふぅ」
ここは普通の人はおろか、冒険者でも立ち寄らないという、
”魔女の森”の中の、更にちょっと進んだ山道だ……。
”魔女の森”とは、ずっと昔に”災厄の渦”が封じられ、
其処を中心に拡がる大森林地帯の事を指す。
この森の中では、魔物も通常よりも強い個体が多く、
時には”魔獣”に匹敵するまで進化するという。
国軍でさえ、侵攻を躊躇うそんな”でんじゃらすぞーん”が
ここ”魔女の森”なのです。
私達の足元にも、ちらほらと犠牲者の亡骸があったりします。
「あ、隣の国の聖騎士の鎧だ……南無南無」
一応、冒険者タグと遺品のいくつかを回収し、
ギルドに渡すと報酬にもなり、遺族の元にも遺品が届くだろう。
まぁ、そんな場所に場違いな二人組がいます……。
胸のところが大胆に開いて、肩もむき出し、
おまけに深いスリットのドレスを纏う、長いプラチナブロンドの少女。
簡素ながら、意匠の凝らされた白を基調としたお洒落なローブ……
でもスカートが短い、を纏った金髪に褐色の肌の少女&でっかいリュック。
非常に場違いな二人、それが私達だ!
「お師様、今更ですが、なんで今日に限ってこんな遠出を?」
私の師匠である、ぽややんとした少女……実はこう見えて”魔女”です。
しかも、伝説の存在になってる”四色の魔女”の一人です。
もう、5年前になりますが、私は奴隷として売られていました。
国では違法なのですが、世の中には悪い人間もいるもので……。
”違法奴隷”というやつです、私の一族は海を渡ってきたらしく、
褐色の肌と翠色の瞳、そして金髪という変わった外見であるため。
高値で売れるんだとか……嬉しくないですねぇ。
売り物として運ばれていたのですが、セオリー通りに盗賊に襲われて、
セオリー通りに犯されそうになった時、お師様が颯爽と現れて助けてくれました。
勢い余って私を除く全てをオーバーキルしたお師様は、
『金髪に褐色のろりっこ……イイ!萌える!』と謎の言葉と共に、
私の手を引いて自分の家に連れ帰り、弟子として一緒に暮らす事になったのです。
それが私の敬愛する”白のアイリス”様なのです!
「予知夢を見たから……そう、これは運命!」
「予知夢?世界の危機とかですか?正義でドカンですね!」
「ミーシャが私を呼んでる!私を求めてる!でへ……」
「はい?」
「夢の中でミーシャが私を呼んだ、だからここに来た。」
「ここって……ひょっとして”赤の魔女”のテリトリーじゃないですか!」
地図で再確認したらここは”赤の魔女”担当のエリアだ。
”魔女の森”は四方を其々、”四色の魔女”が管理している。
”白”と”赤”はちょうどお隣さんになる。
「これって、ばれたら大ごとじゃぁ?」
嫌な汗が背筋を伝う。
「大丈夫、昔はミーシャのとこに良く入り込んでたから!」
「それって不法侵入じゃぁ……」
「ミーシャと私の仲だからモウマンタイ!」
「どんな仲ですかぁ……」
「身体を許しあう仲、ダメ!それ以上の情報は有料になる!」
「はいはい、それでこれが赤の魔女の住処……」
いつの間にか私たちの目の前に、大きく太い樹でできた家があった。
「ミーシャ!あれ??魔力の反応がない?留守にするなんて珍しい……」
くんくん……
「知らない匂いがある、それに転移の残留魔力……」
「お師様犬みたいに這いつくばらなくても……」
「犬みたいに……後ろから……イイね!」
「何がイイね!ですか……あれ?」
”緊急通信……ザザ!……スタンピード発生の恐れあり……ザザザ!”
「さっきの聖騎士さんの、遺品らしき小さな水晶が緊急通信拾ってますね?」
「スタンピード!?まさかミーシャはそこに?」
「行くよ!コルベット!」
いきなり真面目モードに切り替わるお師様、
「行くってどこにどうやってです?」
「方角は分かった、あとは……何とかなる!」
あ、これダメな奴だと思うが黙っておく。
「おいで白露露姫」
お師様が詠唱を初めて手を伸ばすと……。
空中から雪のように白い魔法の杖が現れる。
『はぁい!アイリス、ひっさしぶりぃ元気してた?』
「うん、ちょっと貴方の力が必要な予感がする、力を貸して」
『おっけぇ、まっかせなさーい♪』
魔法の杖が喋った……しかも軽い。
「コルベット、早く乗る」
「は、はい!」
お師様は杖の先端に立っているので
杖の後ろ側に腰を下ろす……ちょ、食い込む!
「うん、その表情……いいネ!」
「ちょ!急に飛び上がらないでぇぇ!!」
「超特急、発射!!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁっぁぁ!!!」
後に、魔女の森から凄まじい勢いで何かが飛翔したと人々は語った……。
因みに”ミーシャ”はアイリスによるミシェールの愛称だったりします。誤字じゃないのよ?ほんとよ?