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第6話「少年と学校」その4

ギリギリ日が変わる前の投稿、セーブし忘れて最後切れてましたオゥ

第6話「少年と学校」



【マジレース学園正門前】


僕の名はディアシー、

11歳の魔法使い見習いです。


師匠から、修行の一環として、

隣街の”マジレース学院”に入学することになりました。


入学祝に貰った魔法の杖”クラッシュ3号”に乗り、

学院へと向かう最中、魔物に襲われている女の子を救出し、

彼女も学院に向かっていたというので、

クラッシュ3号に乗って、一緒に学院に向かいます。

そして、学院前に着いたのはいいのですが……。


『マジレース学院、正門前ー!正門前ー!

オーバーブースト使用により魔力炉が異常加熱、急速冷却を行います』


”ブッシュゥゥゥゥ……”


クラッシュ3号の外装からいくつもの排気口が現れ、

そこからから勢いよく煙が噴き出した。


「きゃぁ!な、何?この杖が喋ってたの?


「うん、師匠からの入学祝、クラッシュ3号っていうんだ」


ミーナの疑問に自慢気に答えていたら、

なんか沢山の視線を感じるぞ?


”ざわ……ざわ……”


「あ……」


僕たちの周りは大勢の人がいて、

その視線は、僕たちに集中している?


「ミーナひょっとして、僕たち目立ってる?」


ミーナに恐る恐る聞くと。


「それは、いきなり空から降ってくれば……」


ミーナの言葉に、サーっと血の気が引いていく。


「しまったぁぁ、目立たないようにって決めてたのにぃぃ!」


「ぷ!くくく、おかしぃ!あれだけ派手に……

目立たない様にって、ぷぷ!あはは!もうダメ!」


僕のリアクションにミーナが大爆笑だ。

初めて見たけどやっぱり笑っている顔がいいよね。


「まさか、ミーナ?ミーナなのか!」


ミーナがびくっとした後、ゆっくりと声のした方を振り返る。


「……え…?…ヒトミお姉様?……」


人ごみをかき分けて姿を現したのは、


まるでこれから魔物討伐にでも行くんではなかろうか?

という装いの、髪の長い奇麗な女性だった。


ミーナがその女性に飛びついた。


「ヒトミお姉様!ヒトミお姉様!怖かった!辛かったよぉ!」


どうやらお姉さんらしい、ミーナはわんわん泣いていた。


「ミーナ、本当にミーナなのか?

魔物に襲われたと聞き、今から救援に向かう所だったのだぞ?

一体どうやって、こんなに速くここに?」


お姉さんらしき人はミーナを優しく抱きとめ、

落ち着かせるように、ミーナの髪を撫でていた。

うえ?、今僕の方を怖い目で見てた……よね?


「気のせいかな……あれ?」


ミーナのお姉さんの、怖い目線に気を取られてたら、

いつの間にか衛兵に取り囲まれていた……。


「え?あの?……」


「それに馬車はどうした?

護衛の者の話だと、御者がいたはずだろう?

馬車を捨て、馬で来たなら馬がいるはずだが?」


「そうだ!ヒトミお姉様!早くニナを迎えに行ってあげて!

えっと、ポイズンバジリスク?とかいう魔物が2匹も出て

私を逃がすために、囮になったの!」


「ニナが?それに、ポイズンバジリスクが2匹だと?」


”ざわ……ざわ……ざわ……ざわ……”


ん?周りが一斉にどよめきだしたぞ?

衛兵も、一斉にどこかへ駆け出して行ったし。

ひょっとして、希少価値の高い魔物でみんな狙ってたとか?

ミーナを助けるとき、1匹吹っ飛ばしちゃったよ……。

素材採れるくらい残ってればいいけど、悪いことしちゃったかな?


「ええ、でも、とても弱い魔物なのでしょう?

ニナなら全部やっつけてるはずだし、馬車も馬もダメになっちゃったから、

きっと、ここまで歩きになっちゃうはずです、だから……」


ミーナのお姉さんが、ミーナの両肩に手を置いた。


「ミーナ、いいか、よく聞くんだ……

ポイズンバジリスクは脅威度B以上、

それが2匹だと、Aランクの冒険者でも単独での討伐は、

不可能とされている……。

ましてやニナは、強いとは言っても冒険者ではない。

おそらく、ニナはもう……」


ミーナの顔が蒼くなる。


「う、嘘、嘘ですよね?ヒトミお姉様?

私がお姉様たちを驚かせようと、お姉様たちと一緒に行かなかったから、

それで私にお灸を据えようと……」


ミーナのお姉さんは静かに首を横に振った。


「わ、私知ってるんですから!ヒトミお姉様も、ジーナお姉様も、

そんなにお強いのに、ニナには敵わないって……」


ミーナのお姉さんは、辛そうな顔をしている。


「それに!それに、ニナ言ってたんですよ?

メイドたちに、ヒトミお姉様の舌を満足させるまではって、

ジーナお姉様に、新作を披露するまではって、

私たちが成人するまで、贖罪が終わる迄、死ぬ気はないって!」


”ぱぁん……”


「え……?」


乾いた音が響いた……、ミーナのお姉さんが、

ミーナの頬を叩いたのだ。


「ミーナ!!、現実を視ろ!ニナは確かに強い!、

なら、なんで囮になってお前を先に行かせた?

昔、ニナに教わったことがある、

”どうしても護りたい人がいる、でも勝てない敵がいく手を遮る、

そんな時には嘘でもいい、余裕を見せて道を作り、笑顔で先に行かせてやりなさい”とな、

安心させることで、より速く、より前に進めるからだと……。

ミーナ、ニナはどうだったんだ?


ミーナはぽろぽろと涙を零す……。

それに呼応するかの様にぽつぽつと雨が降ってきた。


「ニナは、ニナは、入学祝はお母様が大好きだった……、

とっておきを……用意するって……言ってくれたんですの……よ?

だから先に行って……待っていて……くださいって……」


「ふっ、ニナらしい。とっておきを用意するなら、

”先に行って待っていろ”とは言わない、

”屋敷で待っている”と言うはずだ……」


「じゃぁ、じぁあ……ニナは私に嘘をついたの?」


「そうじゃないよ、ミーナ……。

先行して、ジーナがお前の捜索に行っている。

せめて、遺品の一つでも回収できればな……。

お前だけでも、無事でよかった……」


ミーナのお姉さんも、悔しそうに涙を流している。

激しくなった雨がそれを隠す様だ……。

何とかしてあげたいけど……。


「!!」


ミーナが絶望に満ちた顔でこちらを見て、走り寄ってきた。


「ディアシー君!…いえ、ディアシー様……!

お願いです!ニナをニナを助けて!

ディアシー様なら、ポイズンバジリスクも1撃だったじゃないですか!

それに、一瞬でここに来たように、あの魔法の杖で……ニ……ナ…」


ミーナは、僕にもたれかかるように倒れた。


「ミーナ!どうしたの?」


顔が赤い、ミーナのおでこに僕のおでこをくっつける。

凄く熱い、どうして?


「ニナ、ニナぁ……やだぁ、やだよぉ……」


僕は涙を流しながら、うなされているニナをお姫様抱っこする


「クラッシュ3号行ける?……!!」


クラッシュ3号を呼んだ僕の首筋に、冷たい感触があった。


「貴様、ミーナをどこに連れて行くつもりだ?

貴様は何者だ?何故ミーナが貴様に助けを求めた?

ポイズンバジリスクを1撃とはどういうことだ?」


ミーナのお姉さんに、剣を突き付けられていた。

質問は一つずつにしてほしいが、そうも言ってられない凄みがあった。


「僕はディアシー、ミーナの……友達です!」


まだ会ったばかりで、そうとは決まってないけど。

”ミーナを助けてあげたい”という気持ちが、僕を突き動かしていた。


「ミーナの友達……だと?

ふっ、ミーナは箱入りで、男友達などおらん。

それに、女学園から今日、初めて共学になる予定だったのだぞ?」


「ミーナとはさっき知り合ったばかりです!」


ミーナのお姉さんの方へ向き直り、真っすぐ目を見て答えた。

ミーナのお姉さんは一瞬ぽかんとしていたが、

直ぐに険しい顔になり言った。


「それで、貴様は今から何をするつもりなのだ?」


僕を試す様に、剣先をおでこに突き付けられる。


「ニナさんって人を、ミーナの大事な人を助けに行く!」


「はっ!この雨の中どうやって?

馬は?馬車は?それに何時間かかると思ってる?」


「僕とクラッシュ3号なら、そんなにかからない!」


「クラ……何だと?」


『魔力炉の冷却が完了しました、出力95%で安定。

オーバーブーストの再使用には、後3分必要です』


冷却の終わった、クラッシュ3号が僕の前にやって来る、


「なっ!杖がひとりでに?しかも喋る?魔導具なのか?」


「僕は、ミーナが襲われていた場所からここまで来るのに、

10分かかっていない!」


「本当、なのか?お前は一体何者なんだ?

何故、ミーナのためにそこまでしてくれる?」


「僕はディアシー、赤の魔女の弟子……いや、

教えを乞う魔法使い見習いで、ミーナの友達です!」


「魔女だって?そんな馬鹿な、あれは伝説の……」


どうしよう!勢いとはいえ言っちゃいけないことを!

師匠に怒られる、でもせめてミーナを助けてあげたい。

この学院を……入る前だったけど……去ることになっても。

ミーナの笑顔を、もう一度見たいから。



雨は激しく振り続けていた……。











セーブ失敗してあげたので付け足し……最後の部分だけでよかった。

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