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第5話「少年と学校」その3

残業回避、でもこんな時間におうふ、

『第5話』少年と学校 その3





【魔女の森の中から、マジレース学園へ向けて落下中】


「師匠、そろそろ起きたころかな?」


僕は師匠の行動を予測して、朝ご飯を用意しておいた。

今朝バタバタしてたので、師匠も寝ぼけ眼で手を振ってくれていたが

多分その後寝ちゃってるだろうな……あ!


「しまった!パンツ出すの忘れてた……」


師匠はボクがまだちっちゃい頃は、

家の中だと普通にすっ裸だったりしたことがある、

当時の僕は、それが普通なのだと同じ様にしたら……

師匠がシャツを必ず着るようになった。


「流石に『魔女の森』には人が近づかないからって……

裸でうろついてないよね……多分……」


とか祈りながら……

ただ今、僕は杖に乗って飛行中……いや、

”落下中”だ……なんだかんだで、

こんなに遠くに、そしてこんなに速く!

初めての体験にワクワクする、師匠に感謝しないと。


「学校かぁ、僕と同い年位の人間がゴロゴロいるんだよね?」


『いいかい?我がでし、私が魔女って事は極力伏せる事』


『どうしてです?』


『これが色々とめんどくさくてね、魔女をよく知らない人間の中には、

”この世の災いは魔女のせいだー”とか、

”魔女の生肝は不老不死の秘薬だー”とか言ってくる輩もいるんだ』


『そんな人間、燃やしてしまった方がいいのでは?』


『はは、まあ落ち着き給え我がでし、そんなこんなで、

魔女の関係者と知られるとデメリットが跳ね上がる……』


『僕は、そんなの……』


『君が”知っている”それだけで私は充分だ、いいね?』


『はい……』


『それと魔法も、基本のモノだけを使うように。

魔女式や君の応用系魔法は、彼らには刺激が強すぎる。

周りの熟練速度に合わせて、突出しないようにするのも

また修行だと思ってくれていい』


『はい……』


『そんな顔をしないでおくれよ我がでし、

心から信用できる、助け合える仲間ができれば……』


「ん?あれは?」


出発前夜、師匠に注意されたことを思い出していた時、

前方に異変を感じた……人が、魔獣に襲われている?


「助けなきゃ!」


僕はクラッシュ3号をそちらに向け、落下していく!


横倒しになっている豪華な馬車をすり抜けるようにして、

魔獣に急接近し、見えた!まだ生きてる。


「間にあぇぇぇぇぇぇ!!!」


魔獣の目の前、へたり込んで食われる寸前の人間を視認し、

掠め取るように人間を奪還したが、クラッシュ3号から振り落とされてしまった!

人間を庇いながら地面を転がる。


「あいたた…、骨よし!筋よし!人間は……まずいかも」


体に異常がないか確かめ、救出した人間に目を向けると、

意識はあるがぐったりしており、息も荒いそれに、

足を噛まれたのか、両の太ももから血が溢れている。

更に服にはべったりと、紫色の毒液が吐きかけられていた。


「魔獣じゃなくて、魔物なのが不幸中の幸いかな?」


魔獣は知能を持ち、魔法も使うという。

それこそ魔女でないと倒すのは困難、ともいわれているが、

魔物であればどうにか出来ない事はない!

幸い目の前にいるのは3メートル程の”小型”だ、

『魔女の森』の中で見る奴よりも、格段に小さい!


「ポイズンバジリスク……こんなとこにまで出るなんて」


ポイズンバジリスクは、その名の通り毒を使う、

対象に噛みついたり、毒液を吐きかけて弱らせたり、

逃げられたとしても毒液によるマーキングによって、

じわじわと追い詰め、捕食するという嫌らしい魔物だ。


「まいった、基本の魔法だけで倒せるかな?」


人間もいるし、本気は出せない……でも、


「師匠すみません、言いつけを破ります……」


被害者は毒に侵されている、時間がない。

僕は右手に火球を出現させる、だが、これだけでは奴の鱗に弾かれる。

僕は高速詠唱で更に魔力を練り上げ”火槍”へと形態変化させ、


「これなら倒せないまでも、ダメージに怯んで逃げるはず!てい!」


”パジュン!”


「あれ?えええ?」


ポイズンバジリスクの鱗を貫き、ダメージを与えるはずが……

ポイズンバジリスクは、体の前半分が蒸発した。


「よ、弱すぎる!どうゆう事?」


僕の必死の決意は何だったのか、

これならただの火球でも行けたかもしれない……

被害者をちらりと見ると、目を見開いてガン見してる!

しまったぁぁ見られてたぁぁ……


「とりあえず治療を……大丈夫ですか?」


小柄な人間だと思ったら、僕と同じくらいの年齢だろうか?

酷く華奢で弱々しい、見たこともない服装だし貴族かな?


「……あの……ないところを……」


何かを言おうとしているが、上手く喋れてない。

やばい、毒のせいか!


僕は噛まれた足を見る、傷は深くはないが出血している。

クラッシュ3号を呼び戻し、荷物から治療に必要なものを取り出す。


「まずは傷口を洗って」


傷を塞ぐ前に洗浄を行わないと、泥や砂利も一緒に取り込んでしまう。

妙に長い靴下を脱がして水筒の水で洗浄する。

あ、暴れないで!毒がまわってきたのか酷く抵抗された。


「ヒール!からの……キュア!」


よし、傷口は後も残らず消えたので解毒の魔法をかける、

あれ?そんなに珍しいのかな?信じられないような顔をされた。


「これで毒は消えたはずだけど、どう?」


僕は人間のおでこに自分のおでこをくっつける……熱い。

顔を真っ赤にして、また暴れる、動悸も早い?まずいな。


僕は、荷物から薬草が小分けにされた小箱を取り出すと、

いくつかの薬草や木の実を、口の中に放り込み咀嚼する。

片手で相手の手を掴み、動きを封じてから水筒の水を口に含み、

暴れない様、相手を両手で組み伏せ口を開けた瞬間を狙って、

自分の口を重ね、口の中の解毒薬を流し込む。


「!!!!~!!!」


激しく抵抗をされるが、人命救助のためだ。

口の中のモノを全て流し込むと、相手は放心状態でぐったりしている。

どうやら解毒が効いて落ち着いたようだが、問題はまだ残っている。


「このマーキングを何とかしないと……」


相手は全身に毒液を受けてるし、

僕の上着にも相手を助けた時にべっちゃりと付着している。


「これって、乾燥したら毒気を含んだ臭気を発散し、

仲間をおびき寄せるんだよなぁ……仕方ない、ここでするか!」


僕は上着を脱ぎ、上半身裸になる。


「!?……!!!!」


あれ?顔を真っ赤にして目を逸らされたぞ?

もしかして中毒症状かな?急がないと!


「……ちょ、……いや!……いやぁぁ!!」


ボクが近づくと、いやいやをしながら怯えだしたぞ?

こんなの初めての症状だ……。


「ちょっと乱暴にするけど我慢してね!」


僕は相手を押さえつけ衣服を剥いでいく、

貴族っぽいので破いたりはしない、弁償とか言われたらやだし。


今まで以上に激しく抵抗されたけど、

パンツを剥いだら観念したのか、おとなしくなった。


「失禁してる……体が弛緩してきているのか?」


「!!……~~!!」


パンツの異変を口にすると、今度は泣きだした……。

辛いのを我慢してたのかな?言えばいいのに。


僕は師匠から借りた、次元収納式のアイテムボックスを開き、

大きなタライを、水を張った状態で出す。


「外だから、これで我慢してね」


極小に圧縮した火球をそっと水に入れて、瞬時にお湯を沸かした。

目をぱちくりとさせていた相手をタライの中に座らせ、

消臭効果のある香草を練りこんだ石鹸で、

相手の体と髪の毒液を洗い流していく。


「……あはは……もう…お…にいけない……」


何か全てを諦めたような、焦燥した薄笑いを浮かべて何か呟いている。

今度は抵抗されなかった、良かったー。

洗浄は終わり、匂いも隅々まで鼻を近づけ……

逃げちゃダメだって、チェック……うんOK


師匠の背中を流していた経験が生かされたのか、

相手は大人しくなった……洗ってた時確認したけど、

相手はどうやら人間の女の子らしい、師匠と随分と違うな。

金色の髪もサラサラで、師匠のくせっ毛とはまた違うし。


僕アレンジの『洗濯魔法』で僕の上着と彼女の服を洗い、

乾燥処理を終える頃には、彼女も回復したようだ。


「はい、これでマーキングは取れてると思うよ安心して」


「あり……います……」


奇麗に畳んだ服と下着を渡して、僕はにかっと微笑む、

師匠と森の中で修行キャンプした時より疲れたが、

やり遂げた満足感に浮かれて、肝心なことを忘れていた。


「どうしよう…使っちゃいけない魔法、

彼女の前で使いまくっちゃったよ……」


彼女の方をじっと見た……やばいやばいやばい。


「あの……そんなに。見られると着替えられ……

はい、着ます……うう」


何かを勘違いしたのか、諦めたように彼女は服を着ていく。


「あ、あのー、ここで見たことは……」


「い、言いません!言えません、あんな……恥ずか…うえぇぇぇぇ」


ありゃ、泣き崩れたぞ?どうしよう?


「魔物に襲われて、助けられて、純潔も奪われて、

マジレース学院にも、転校初日に遅刻して……

お姉さまに、なんて言えばいいんですかー!うわぁぁぁん!!」


純潔って何だろう?盗賊にでも奪われたのかな?

今、マジレース学院って……


「君も、マジレース学院に?」


泣きながら、こくこく頷く彼女。


「今頃、逃げた護衛によって、

私が魔物に殺されたと伝えられているころでしょう、

そして、ここに応援がやってきた時、

無事な私を見て、皆が私を笑い者にするのですわ……うぅ」


「じゃぁ、今すぐ行こうよ!」


よく分からないが、要は今からパパっと着けばいいんだよね?

道具はすべて収納し終えているので、いつでも出発できる。

ここで彼女を素早く送り届ければ、さっきの事を内緒にって

交換条件に、できたらいいなぁ。


「ここからだと、徒歩では数時間かかりますわ

馬車も使えませんし、とても明るいうちに…ひゃぁ!」


時間が無いので、彼女をお姫様抱っこして、

クラッシュ3号に飛び乗る。


「僕はディアシー、君は?」


「ミ、ミーナ……ミーナ・ランセル、ランセル家の三女です」


「じゃぁ、ミーナ、舌噛まないようにね?」


「え?ええ?」


「行くよ!クラッシュ3号!学院迄”全力落下”だ!」


『レディ、オーバーブーストの使用、及びシールドを展開します、

目標到達までおよそ5分、カウントスタート!5・4・3……』


「何?誰の声?何が始まるの?」


『2……1……』


「学園迄、落っこちるだけだよ?」


「落っこちるって……いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………」




【少女の声が、ドップラー効果を残し消えていく……

秘密を知られてしまった?ディアシーの明日はどっちだ?】




ちょっと長めになりましたが、自覚のない暴力的なピュアを表現できたらいいんですがorz

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